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「我が道を行く」で超優良企業になったオオゼキに学ぶ
~坪当たり売上が同業他社の5倍-その秘密はどこに~
東京都世田谷区松原に本店を持つ食品スーパー「オオゼキ」は群を抜く高効率経営企業だ。チェーン展開をする小売業者は、そのほとんどがアメリカ流の経営理論をベースにしているが、「オオゼキ」は違う。創業者の佐藤達雄氏が、実践の中で自得した独自の経営スタイルで今の体質を築き上げてきた。なにが好業績をもたらしたのか―――。
前回、「同業他社と違った戦略をもち得た企業が勝ち残る」と書いたが、その最たる例ともいえるのが、今回紹介する食品スーパーのオオゼキだ。店舗数は20弱で年商約410億円強と規模的には中堅の域を出ないが、何より素晴らしいのは、その経営効率の良さ。経常利益は32億円。なんと経常利益率は8%弱と同業他社の倍以上という効率の良さだ。
本店は世田谷区松原、東急世田谷線松原駅のすぐそばにあり、売り場面積は230坪に過ぎないが、年間45億円を超える売上を達成している。常識的には、食品スーパーの坪当たりの年間売上は400から500万円といったところだが、オオゼキの場合には2000万円。これは驚異的な数字といってもいい。
なぜオオゼキはこれほどまでの好業績をあげられるのか。創業者であり、現在は会長の佐藤達雄さんは、「チェーンオペレーションとは無縁で、『我が道を行く』でやってきたことが良かったのではないか」という。中堅とはいえ、オオゼキほどの規模になれば、常識的にはチェーンオペレーションを意識する。しかし、オオゼキでは徹底した個店主義を貫いているのだ。
一般的には、本社のバイヤーが仕入れを担当し、店は売ることに徹するのが普通だが、オオゼキは違う。各部門とも、店舗の社員が仕入れを行い、数字の管理から業績の責任まで部門長が担うシステムをとっている。これが好業績の原動力になっているのだ。部門長は、売上から利益までの管理を義務付けられ、さながらミニ社長といった位置付けである。数字をオープンにし、部門長に管理させる理由を聞くと、「自分たちがやったことが目に見えて分からないとダメ。数字をオープンにしないのは、目隠しをして働かせているようなものですよ」との答えが返ってきた。
また、従業員の7割強が正社員だという。パートの比率が7割を超えるスーパーが当り前の中で、これもオオゼキならではのことといっていい。なぜ、正社員にこだわるのか。佐藤会長は次ぎのように答える。
「正社員でない人に社員の心得を教え込んでも意味がない。商いでは、商品の目利きが出来ないとダメだが、パートでは難しい。お店に信頼にたる社員がいつもいるからお客さまは安心してきてくださる。よそがやっていないことをやっているからうちが光る。人件費は販売管理費の中で高い比率をしめるが決して無駄だとは思わない」
オオゼキでは、「中途採用では余裕を持って教育ができない」との考えから、基本的には新卒を採用して、時間とお金をかけて育成しているともいう。
「我が道を行く」ことの証は、店舗展開にも見ることができる。松原店を視察した某スーパーの経営者は、「立地に恵まれているからこその好業績」と行ったと聞くが、これも違う。佐藤さんが昭和32年に1号店を松原に開いたときには、誰もが、「なんでこんな場所に店を出したのか」と訝るほどに条件は悪かった。ただそれまで食料品を引き売りしていた佐藤さんは、人口の割には可処分所得者が多いと判断しての出店にすぎなかった。
1年間は苦戦を強いられたが、その後は順調に売上が伸びる。必然的にお金がたまってくる。そこでいい土地があれば買って支店を出せばと考えるようになる。小田急沿線に絞り込んで探してみるが町田でも地価が高すぎて手が出ない。仕方なく支線に足を運ぶと中央林間にいい土地がある。中央林間なら手元資金でまかなえるので二号店を出す。後はこれの繰り返しで、結果として多店舗になったと佐藤会長は言う。
なぜ、チェーンオペレーションに見向きもしないのか。そんな質問を投げかけると、佐藤会長は、「自分たちは間違っていないのだから、人の真似をする必要もないし、やろうとも思わない」との答えが返ってきた。こんな思いを持てる経営者が伸びる企業をつくると考えたい。
著者プロフィール
疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰- 日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp
[2002年9月20日 掲載]
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- 第63回 「我が道を行く」で超優良企業になったオオゼキに学ぶ
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