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中国最新ビジネス事情
~中国人の気質を理解しないとマネジメントはできない~
中国に進出している日系企業を取材して回ると、全く違う話を聞かされもする。しかし、それが中国でのビジネスなのだ。いまなお、文化大革命の影響を受けているという中国人の気質はどのようなものなのか。またWTO加盟で中国はどう変わるのか。前2回に続けて、中国現地取材レポートをお届けする。
前回も登場願った大連マブチの西村祥二総経理は、「日本人が中国人を管理するのは難しい」と話してくれたが、「中国人に中国人を評価させることも難しい」ともいう。
「中国人の上司に部下を評価させると、みんないい評価を出す傾向が強くありました。上が下にへつらう姿が見て取れるのです。なぜかと聞くと、なんと文化大革命の影響だというのです。下克上を体験している世代は、下をいじめると、いつの日かに、かつての文化大革命のように、いじめ返されるのではないか、と考えて厳しい評価ができないということでした」。
連載52回目に書いたように、大連マブチでは、社員の契約期間を4ヶ月、1年、3年に分けている。契約期間満了後、更新しない場合には、なぜダメなのかを、納得させる材料がないといけない。そのために、A、B、Cの3段階で社員を評価しているのだが、中国人の上司は、B、Cの評価をほとんどつけないというのだ。西村さんは、評価を明確にしないと経営がスムーズに行かないことを根気よく訴えて、日本並みの状況にまで持っていったというが、これは、国民性を理解しないと、中国人をマネジメントすることは難しいことのいい例だと思える。
大連に進出しているほかの日系企業の総経理からも中国ならではの体験談を聞かされた。ある従業員の作業が遅れ、納期に間に合わないような状況になった。周辺の従業員には充分余裕があって、中には、自分の仕事を終えて新聞を読んでいるようなものもいる。ところが誰一人として手伝おうとしないのだ。思い余って総経理自らが手助けをしてなんとか納期に間に合わせて、事無きを得たというのだが、その後が問題だった。
「総経理が手伝ったということは、自分の仕事が過剰だったからだろう。これからも納期に間に合わないときは、総経理が手伝うか、誰か応援を出すべきで、自分には責任はない」といったと聞く。
この総経理は、「遊びのチームワークは実にいい。しかし、仕事については個人主義で、絶対に自分の責任は認めない」と、中国人の気質を分析しながらも、「大連のような北の人たちは純朴で勤勉、日本人が受け入れやすい環境ではあります」という。同様の話しは、先の西村総経理からも聞かされた。
ところが、この総経理は、政府機関に対しては、「最近の大連市政府は、苦情を言えば、すぐに係官が企業を訪問して、即座に対応してくれる」という西村さんとはまったく違う思いを持っている。「政府機関に文句を言うと意地悪をされる。担当が替わると、それまでできたことができなくなることもある。結構ストレスはたまりますよ」というのだ。
大連マブチ総経理の西村さんの話しと、この総経理の話し、どちらが真実を伝えているのだろうか。筆者には、どちらも真実だと思える。二人の思いに差があるのは、業態が違うからだ。大連マブチは中国が最も歓迎する外貨を稼ぐ企業であり、後者の会社は外貨を稼ぐことのないサービス産業だからだ。中国は、本当に外貨を稼ぐ企業を大切にしている。これだけは、今後とも変わる事はないだろう。
WTO加盟後、中国は関税率を引き下げ始めた。当然のように中国を大きな市場と捉えて進出を図る企業も増えてきつつある。これからは中国を、資本主義市場と同様に考えていたいのだろうか。こんな筆者の疑問に、上海に拠点を持つ日系企業(中国の国営企業との合弁)の総経理は次ぎの様に答えてくれた。
「中国政府は、WTOに加盟した後も、自分たちが手にしている利権は離さない。利益は政府に入れるというルールが中国にはある。ある程度は稼がせてくれるだろうが、一企業だけに利益を出すような仕組みはつくらないと思う」
この言葉が、現状では的を射ているようだ。日本には、非関税障壁という言葉があった。関税はさげても何かと理由をつけて、輸入を制限しようとの動きだ。この非関税障壁が、これから何かと出てくるのが、WTO加盟後の中国だと考えて間違いはないだろう。ただし、これは中国にモノを売ろうとする場合に限ってのことだ。大連マブチのように、外貨を稼ぐ企業にとっては、中国は天国ともいえる。
いずれにしても、中国が後ろ向きに走ることはもうありえない。
著者プロフィール
疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰- 日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp
[2002年4月30日 掲載]
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