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中国での「モノづくり」に勝算はあるのか。現地レポート(1)
~独資第一号「大連マブチ」にみる中国での経営~
ユニクロの成功で一段と加速した日本企業の中国での「モノづくり」。日系現地法人の社長は、「一に中国、二に中国、三、四がなくて五に中国ですよ。日本からの視察も多いですし、問合せもひんぱんにあります」と語るほどに、日本企業の中国進出ラッシュは続いている。昨年、中国は、WTO(世界貿易機関)へ加盟したこともあって注目度は増すばかりだ。果たして、中国に魅力はあるのかどうか。その答えを求めて、2002年1月中国を訪ねて取材をした。今回と次回に渡って、その報告をしたいと思う。価していることに変わりはない。それは、減収減益とはいっても、「超元気企業」が「元気企業」になったに過ぎないからだ。
小型直流モーターで世界の50数パーセントのシェアを持つマブチモーターは、中国で最も成功した日本企業といっていい。1986年に広東省に生産拠点を開設したマブチは、87年には大連に大連マブチを設立し、89年に従業員4000人規模で工場をスタートさせている。当時、日本からの3万ドル以上の投資には中国企業との合弁を義務付けられていたが、マブチの場合は、100%日本資本、「独資」での現地法人設立が許可されている。
マブチは昭和40年代に台湾で合弁会社を設立しているが、このとき、輸出価格をいくらに設定するかで、現地の出資会社をもめた経験を持っている。そんな経緯もあって、中国でも同じ思いをしたくないと考えて、「独資でないと大連に工場進出しない」(マブチモーター・馬渕隆一社長)と条件をつけたところ、法律を変えてOKを出してきたという。マブチの商品は、ほぼ100%海外に輸出される。それだけ外貨を稼いでくれる。中国にとってメリットが大きいと考えての決断だったようだ。ちなみに、大連マブチは日本企業初の独資生産子会社として設立されている。
現在、マブチの大連市郊外の工場には約6000人の従業員が働いているが、日本人は、総経理(社長)を務める西村祥二さんを含めて3名だけ。西村さんによれば、6000名の平均年齢は23歳強で、8割が中卒で96%が女性とのこと。ワーカーの平均月収は670元(1元約15円)で、同一労働同一賃金が徹底している。工場を見ると、女子従業員がほぼ1メートル間隔で並び、壮観そのもの。筆者は、教科書で教えられた女工哀史の世界そのものではないか、との思いを持ったのだが、西村さんは明快に否定された。
「日本から視察にきた労働組合の幹部も女工哀史ではないか、といわれたがそれは違います。中国は1週間の労働時間44時間、週休2日制が徹底している上に、2時間働いては10分休憩を取るようもなっています」
それに、ワーカーのほとんどは工場に隣接して建てられた寮住まいで3食付で全てが会社負担。寮ではカルチャー教室もあり、ダンス大会等々のイベントがひんぱんに開催されるともいう。
今後、労働力の供給に問題はないのか、これから賃金が上がるのではないかといった問題点について西村さんに聞いてみた。
「ワーカーは大連市郊外の農村から主に採用していますが、ほとんど宣伝もしないのに、募集人員の4~5倍の人が集まります。求職者が多く、労働市場に競争力が働くために、良質のワーカーを大量に集められます。給料のほうも、求職者のほうが多いこともあって、ここ数年は生産性の向上以上に上がることはありません。一人っ子政策が始まって20年になりますが、小学生の数がピークになるのは2004年だと聞いています。それだけに後10年は今のような状況が続くのではないでしょうか」
大連マブチは、昨年世界的不況の影響を受けて出荷額はマイナスになったが、利益は横ばいだった。そんなことが可能になるのも中国ならではのことのようだ。
中国には終身雇用の考えはない。社員とは雇用期間を設定して契約する。大連マブチでは、人によって4ヶ月、1年、最長でも3年とごく短期間の雇用契約を結んでいる。それだけ、雇用調整が容易にできるということになる。
西村さんは、「中国は、労働集約型の組立て型製造業にとって、一番条件が整っている」というが、問題点はないのだろうか。また中国で成功するためには、どのようなマネジメントが必要なのかについては、次回に書く。
著者プロフィール
疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰- 日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp
[2002年3月15日 掲載]
- 第51回 「ユニクロ」「日本マクドナルド」の現状をどう考えればいいのか
- 第52回 中国での「モノづくり」に勝算はあるのか。現地レポート(1)
- 第53回 中国での「モノづくり」に勝算はあるのか。現地レポート(2)
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