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「ユニクロ」「日本マクドナルド」の現状をどう考えればいいのか

~現象面だけを見て評価することなかれ~

筆者が本連載で何回も紹介してきた「ユニクロ」と「日本マクドナルド」が、最近はマスコミで、成長にかげりが見えてきたと面白おかしく取り上げられている。たしかに両社とも、減収減益を余儀なくされているが、筆者が、いまなお両社を高く評価していることに変わりはない。それは、減収減益とはいっても、「超元気企業」が「元気企業」になったに過ぎないからだ。

冷静に判断していただきたい。ユニクロの場合、悪くなったとはいっても3800億円の売上で800億円の経常利益(2002年8月期予想)を上げる予定だ。今一度の下方修正があるかもしれないが、それでも立派なもの。これだけの好業績企業が他にあったらお目にかかりたいとも思う。前期の4200億円弱の売上で経常利益1000億円強の業績にくらべて、成長にかげりがといいたくなるのだろうが、それはうがった見方といわざるを得ない。

いままでの数字が異常によかったのであり、ユニクロの柳井正社長自身も、いつかはピークアウトすることを理解した上で、ロンドン出店等々、様々な手をすでにうってきている。さらには、徹底したローコストオペレーションで、ユニクロは売上げがピーク時の半分になっても利益の出る体質になっている。

単純に、減収減益といった現象だけを捉えて、同社の経営に問題があるかのような指摘は、実におかしいと思う。筆者も、同社の安易な出店戦略には疑問を持っている。ユニクロの強さは、店舗レベルできっちりと仕事をこなしているところにもあった。ところが、出店ペースに店長クラスの人材育成が追いついていない。必然的に店舗でのマネジメントに問題が出てきて、売れない店が出てくる。

小売業の場合、いかに品質のいい商品を安く売る仕組みを作り上げても、店舗のマネジメントがまずくては売上が伸びないもの。ユニクロの一部の店は、間違いなくそうした状況に陥っている。しかし、これは出店スピードがダウンすれば解決できる問題でもある。それは、当初はマネジメント力を発揮できなかった店長も、経験を積むことによって立派に務まるようになるからだ。まあ、こうした問題点はあるものの、ユニクロの経営そのものは、高く評価されてしかるべきだと思う。

日本マクドナルドにも同様のことがいえる。マクドナルドは狂牛病の影響を受けて売上げを減らしてきた。そこに円安の逆風が吹いて減収減益になったが、それでも2001年12月期には200億円前後の経常利益を確保しているではないか。どうしてマクドナルドの経営が危惧されないといけないのか、筆者は不思議に思う。

先ごろ、マクドナルドは2002年2月14日から半額セールはやめると発表した。この発表を受けて、「音を上げ値上げ」と書いた新聞もあるが、同社の経営をウオッチしてきた筆者は、これこそマクドナルドの経営だといいたい。

まず、マクドナルドが平日半額セールに踏み切った経緯を考えていただきたい。1)世の中がデフレ傾向にあること、2)創業時に比べてはるかに円高になっていること、3)平日と週末で集客力に大きな格差があること、等々を考慮して、平日半額セールに踏み切ったのだ。インフレに移行するかどうかは別にして、2)と3)は全く変わっている。いまは週末よりも平日の集客力のほうが高くなってきている。世の中が変わったのだから、マクドナルドの戦略が変わったのは当り前のことなのだ。

マスコミは平日半額セールをやめたことばかりを取り上げるが、これはおかしい。平日は65円から80円に値上がりしたが、週末は130円から80円に値下げしている。週末に顧客を取り戻したいとの狙いが、今度の価格改定にはあるのだ。

狂牛病が発覚する少し前、アメリカの同時多発テロの直後に、藤田 田社長にインタビューしたが、そのときすでに、円安を意識して、「昔はマクドナルドのハンバーガーは安かったといわれるかもしれないし、いつまでハンバーガーを売っているかはわからない」といった趣旨の発言をしていた。ハンバーガーを意識しない「マック東京カフェ」は、狂牛病でその登場が早くなったが、当時から、藤田社長の構想に入っていたのだ。

現象面だけを捉えてのマスコミ報道は感心しない。

著者プロフィール

疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰
日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp

[2002年2月28日 掲載]

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