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この不況の中で7期連続増収増益の「サンエー」(沖縄)に学ぶ

~ナレッジ・マネジメントのベースに「早期ミーティング」あり~

筆者は、経営者は景気動向に一喜一憂しない方がいい、不況のなかでも元気印の企業は数多くあると主張し、その事例をこのシリーズのなかで紹介してきた。しかし、これほどまでに不況感が強くなると、そんな主張も真実味を帯びなくなってくる。本当にいまどき元気印企業があるのかと、最近はよく聞かれる。そんなときに例にあげるのが、ここに紹介する「サンエー」なのだ。

本連載で何回か紹介したことのある沖縄のサンエー(総合スーパー)を久しぶりに訪ねたのだが、相変わらずの好調ぶりに驚かされた。2001年11月の業績が目標以上だったので、12月のボーナスを10%程度増額して支給するというのだ。サンエーは過去6期連続で決算賞与を支給してきたが、2002年2月期もその予定だという。ちなみに2001年8月中間決算では487億円の売上で経常利益が29億円だった。総合スーパーで5%を超える経常利益率は群を抜いて高いものだ。

沖縄だけは景気がいいのではないかといわれるかもしれないがそれは違う。失業率は9%を超えるなかで、ダイエー、ジャスコといった本土スーパーとの競争をも強いられているだけに、サンエーだけが恵まれた経営環境下にあるわけではない。本土企業と同様に厳しい環境にありながら、なぜサンエーは好業績を上げ続けることができるのか。筆者は、その答えとして、過去本シリーズで同社の「思考する経営」と「社員を豊かにする経営」を紹介したことがある。

しかし、先の同社訪問で、この二つだけでは説明不足だとの思いを強く持った。そこで今回は、同社の「情報共有の経営」を紹介したい。

サンエーの経営の特長が一番顕著に表れているのが、毎朝8時から開かれる「早朝ミーティング」だ。本来は9時始業で、この会は自由参加が原則だが、会長、社長以下の本社勤務の幹部社員はほぼ全員が沖縄にいる限り参加する。仕入れ担当、営業担当、財務担当、総務担当、物流センター担当等々、異分野の担当者が一堂に会しての毎日の会議と考えればいい。

最初は、出張者の報告から始まる。会長、社長も出張から帰ってきたときには、この「早朝ミーティング」で報告する。同社にも「出張報告書」はあり、出張者は当然のように書くが、それは自分の覚書のようなものだという。上地哲誠社長は、「出張報告書はほとんど読みませんね。早朝ミーティングで聞けば十分です」という。

会で発言を希望するものは、ホワイトボードにその主旨を順次書き込んでいくのだが、それらがその日の議題となる。筆者が取材に訪れた日には、スタート時点で50名程度の参加があり、途中参加も含め最後には70名程度にもなっていた。幹部社員ばかりでなく、新入社員であっても参加していい。

「早朝ミーティング」に参加すれば、自分の担当以外の分野で何がおこなわれ、何が問題になっているかが、実によくわかる。まさに「早朝ミーティング」が、同社の情報共有の場として機能しているのだ。サンエーでは、2001年のスローガンは「自分のこととして真剣に考えよう」だった。しかし、担当分野以外のことも自分のこととして考えようと思えば、ほかでなにが起こっているのかを理解しておく必要がある。「早朝ミーティング」があるから、「自分のこととして真剣に考えよう」というスローガンが価値を持ってくるのだ。

懸命な読者には、すぐにご理解いただけるだろうが、サンエーの「早朝ミーティング」は「情報共有をベースにしたナレッジ・マネジメント」そのものなのだ。当然のように、サンエーでもITを活用してネット上での情報共有も行われている。しかし、そのベースに「早朝ミーティング」での情報共有があるから、ネットもより有効に活用できているのだ。

日産自動車のカルロス・ゴーン社長は、ニッサン・リバイバル・プランを実行するに当って、異分野の若手社員で構成した「クロス・ファンクショナル・チーム」をいくつかつくった。このチームが、日産再建の原動力になったのだが、サンエーの「早朝ミーティング」は、会社あげての「クロス・ファンクショナル・チーム」と位置付ければいいだろう。

著者プロフィール

疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰
日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp

[2002年1月28日 掲載]

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