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日本マクドナルドの「知られざる経営」その1

~「ロードマップ会議」で8年間で30%の仕入れコスト削減~

平成7年、マクドナルドは210円だったハンバーガーを130円に値下げし、さらには、昨年の二月からウイークディに限ってではあるが、半額の65円で売っている。マクドナルドのすごさは、あそこまで値段を下げながら、利益をも十分出しているところにある。なぜ価格訴求で利益が出せるのか。その理由の一端は、本連載の28回に書いたが、その後取材を続ける中で、新しい発見があった。今回はその話を書く。

日本マクドナルドの藤田 田社長は、「ビジネスに満塁ホームランはない」という。ようするに、積み重ねの中からしか利益は出てこない、業績は伸ばせない、ということだ。この積み重ねが、価格訴求で利益の出せる同社の経営体質を作り上げているといってもいい。同社の仕入れコストの削減活動を例に、その姿を紹介する。

マクドナルドには、原価削減の部隊となる、「ロードマップ」と呼ばれる会議がある。この会議の狙いとあり様を、同社の工藤英昭購買部部長は次の様に話す。

「参加メンバー10人ぐらいで、サプライヤーの工場を見てまわるのですが、目的はコストダウンだけです。まず、既成概念を捨てて、初めから、こんなことはできるわけがない、というような判断をしないで、純粋に考えます。例えば、ダンボールをなくしたらどうなるか、といったような意見を各自が10個づつ書きます。そうして出た意見を一個づつ、これを実行するにはどれぐらいの時間がかかって、どれぐらいのコストが削減できるかを議論します。コストダウンに結びつかない判断したものについては、その時点で廃棄します」

次に、十字のマトリクスの縦軸にコスト削減効果が高いか低いかを、横軸に時間がかかるかからないを目盛り、該当する場所に貼りこんで、優先順位の高い順に、チャレンジするというが、効果のほどはどうなのだろうか。

「93年の第一四半期における主要品目30種類の仕入れ単価を100としますと、今は70にまで下がっています。ロードマップ会議で、仕入れコストは継続的に下がってきています。」(工藤)

マクドナルドでは、サプライヤーに一方的に、「納入価格を10%下げろ」といった類の要求は一切しないともいう。8年間に渡っての、ロードマップ会議の結果として、30%も仕入れコストが削減できたのだ。

時間をかけて、あくなきまでにローコスト化に取り組む姿は、マクドナルドのあらゆる分野で見ることができる。環境問題への取り組みでもコスト削減効果がでているというのだから面白い。

環境担当部部長の田子公道さんは次の様に語る。

「3700店舗近くありますと、そのエネルギー消費量は凄いものがあります。そこで環境担当部では、省エネと超高効率の機器を開発することで、環境問題の改善に取り組んでいます。温暖化防止と熱効率を高めるために、石油や電気から、クリーンなエネルギーで無尽蔵の資源である都市ガスへの切り替えをすすめています。例えば、空調を電気のヒートポンプからガスヒートポンプに代えたのです が、一店舗当り年間金額にして70万円強の省エネによるコスト削減効果があります。」

マクドナルドでは、大きなキュービックアイスではなく、ちいさなチップアイスを使っているが、これも省エネへの取り組みが生み出したものだ。キュービックアイス1キロ作るのに130キロカロリーが必要だが、チップアイスなら73キロカロリーですむ、と田子部長は言う。消費カロリーが少ないということは、いうまでもなくローコスト化につながる。

これまで、企業における環境投資は、収益面ではマイナス要因と思われてきた。ところが、マクドナ ルドでは環境投資でもローコスト化に大きく貢献しているというのだから、素晴らしいではないか。

マクドナルドの強い経営体質は一朝一夕にできたわけではない。ローコスト化への取り組みでもわかるように、そのベースに、地道な努力の積み重ねがあることを、知っておいて欲しい。

著者プロフィール

疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰
日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp

[2001年10月31日 掲載]

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