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焼肉の「牛角」急成長の秘密
~お手本はミスミの持たざる経営~
日本経済新聞社の調査で、チェーン店で成長率ナンバーワンにランクされた焼肉の「牛角」。創業以来の6年弱で、360店舗で年商145億円というのだから、急成長そのものである。外食産業ではずぶの素人が、短期間で成功を手にしている。なにがそれを可能にしたのか―――。
前回はミスミの「持たざる経営」について書いた。そのミスミの「持たざる経営」を研究し応用することで急成長を遂げているのが、焼肉の「牛角」をフランチャイズ・チェーン展開する「レインズインターナショナル」だ。
現在35歳の若き経営者、西山知義さんが「牛角」一号店をオープンさせたのは、5年8ヶ月前のこと。それがいまでは360店舗を擁し、年商145億円をあげるまでに急成長している。
成功の要因はいくつもあるが、一番は、比較的可処分所得の多い20代、30代のサラリーマン、OLにターゲットをあてたことだろう。西山さんは、この世代の人たちに、月に2、3回は足を運んでもらえる焼肉店をとまず考えたという。可処分所得は多いとはいっても、若い世代だけに外食にかける費用には限界がある。何回も来店してもらうには、飲み物を含めて一回の消費単価を3000円に押さえる必要がある。若い人たちがなじめるおしゃれな雰囲気の店舗で、低価格で焼肉を食べてもらう。牛角の経営は、全てがそこからスタートしているのだ。
しかし、これほど、言うは易く行うは難しこともない。価格で勝負の店といっても、商品とサービスの質が悪くてはきてもらえない。質のいい肉を3000円で腹いっぱい食べてもらい、なおかつ利益を出すのは至難の技だが、牛角は、徹底したローコストオペレーションでそれを可能にした。牛角では、食材毎に仕入れ先を変え、半年に一回、入札をして指定業者を選定し、仕入れコストを下げている。また、店舗運営ではアルバイト(同社ではパートナーとよぶ)をフル活用して人件費コストを低く押さえている。
牛角を始める前は不動産管理会社を経営していた西山さんは、アルバイトに質のいいサービスを してもらうノウハウを学ぼうと、身分を隠して半年マクドナルドでアルバイトしたともいう。
しかし、どうだろうか。先のような取り組みで一つの店を繁盛店にすることはできるだろうが、6年弱で360もの店舗を展開するだけの原動力になるとは思えない。牛角が、短期間で急成長した理由は別にある。それが、ミスミ流のアウトソーシングを活用した「持たざる経営」なのだ。
360店舗のほとんどがフランチャイズ店だが、その募集をアウトソーシングしている。そればかりか、食材の購入、加工も自社でスペックを決めた上ではあるが、外部の企業に委託しているという。考えてみれば、フランチャイズ・システムそのものが、資金と設備と人材をアウトソーシングしているといえなくもない。
フランチャイズ・システムで一番難しいのは、加盟店の募集だ。不動産管理会社を経営していたとはいえ、西山さんには、加盟店募集のノウハウもなければ人材もいない。そこで西山さんは、自前でノウハウを蓄積し人材を育成するよりは、その道の専門家がいるのなら、そこに委託すればいいと考えたのだ。食材の購入、加工についても同様の考えを貫いている。
このアウトソーシング活用の経営手法は、1980年代にアメリカで生み出されたものだ。まず、情報システム分野でとり入れられたが、90年代に入ってからは、人事、総務、営業、経理等々の仕事もアウトソーシングされるようになってきた。経営手法としてのアウトソーシングは、10数年も前から日本にも持ち込まれたが、当時は、自前で人も設備も保有することが是とされていたこともあって、とりいれる企業は少なかった。とりいれようにも、アウトソーシングを受託する企業そのものがなかった。
それがいまでは様変わりしてきている。受託する企業が増えてきたし、ミスミや牛角のように、「持たざる経営」を標榜する企業が、好業績をあげている。スピードが競われる時代にあっては、自前で育成していては追いつかないことも多い。いまは、アウトソーシングが威力を発揮する時代だと、筆者は考えているが、いかがなものか。
著者プロフィール
疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰- 日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp
[2001年10月10日 掲載]
- 第43回 「ミスミ」の持たざる経営に学ぶ
- 第44回 焼肉の「牛角」急成長の秘密
- 第45回 日本マクドナルドの「知られざる経営」---その1
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