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「全社員公募によるチーム制」で企業内企業家を育成する「ミスミ」の経営に学ぶ
~組織は1年ごとに再編成。社外の人がチームリーダーになることも~
どのような組織が最も力を発揮するのか。これは、企業人にとって永遠のテーマといっていい。事業部制がいいのか分社化がいいのか、ピラミッドなのかフラットなのか―――様々な試みが成されているが、ミスミの組織運営は、これまでに例のないユニークなものだ。ミスミのチャレンジングな組織運営に学ぶところは多い。
プレス金型用部品やFA用部品、切削工具等々の「生産財」の商社、「ミスミ」は、実にユニークな会社だ。230人の社員で年商530億円の超優良企業だが、営業マンは実質的にゼロで、これだけの売上げを維持している。購買代理商社を標榜するミスミは、約40万点もの商品をカタログ通販するだけに、営業マンは必要ないのだ。
ミスミのユニークさを象徴するのが、その組織運営だ。ミスミの組織は極めてシンプルで、代表取締役社長・副社長以下、担当ユニットリーダー(執行役員の経営陣と、各チームを統括するチームリーダー、チームを構成するチームメンバーの3階層で構成されている。現在、7人のユニットリーダーの元、35人のチームリーダー及びチームメンバーの体制を取っているが、このチームは、毎年つくりかえるという。
チームリーダーの一人は次の様に説明する。
「毎年1月ごろに、ユニットリーダーが取締役会で、来期にやりたい課題、ビジョンを提案し、役員毎の担当が決まります。担当が決まったユニットリーダーは、全社的に『こういうチームを僕は作ります』と発表するのですが、これがチームリーダー募集の告知になります。それに対して、私は誰の元で00のチームリーダーをやりたいと立候補します。次に各チームのリーダー候補者が、リーダープレゼンをするわけです。候補者の中からユニットリーダーがチームリーダーを選び、今度はチームリーダーがチームメンバー募集のプレゼンをしてメンバーを選びます。人気のあるチームには希望者が多くなりますから、必ずしも希望のチームに選ばれるとは限りません。ちなみにメンバーは第3希望まで応募できるようになっています」
組織は一年ごとに白紙に戻されるので、ミスミではこの作業が毎年繰り返されるというのだ。前述のチームリーダーは、「1月、2月、3月はないのと一緒ですね。社長は、社員をモルモットのようにして組織のありようを考えているのではないかと思います。毎年波乱万丈ですよ」と笑いながら話す。
チームリーダーとチームメンバーの募集は、社外に向けても行われるので、社外の人がいきなりリーダーに立候補してくるケースもある。社員と社外の人でコンペになり、社外の人がリーダーになった例もあるという。3年ほど前には、ユニットリーダーのもとにチームリーダーの応募が一人もなく、チーム編成ができなかったこともあったと聞く。
年棒制をとってるが、チームの稼ぎに応じて利益が配分される。チーム毎の営業利益の6割を税金用としてまず残し、残りの33%をミスミの暖簾代に、33%は株主に、33%をチームで分けるシステムだ。2、3人は、社長よりも年収が多いとも聞く。
ミスミは、こうした制度を1994年から採用しているが、その狙いは、「徹底的に個人を重視したチャレンジングな組織をつくる」ところにある。従来、サラリーマンは、組織に忠誠を誓って仕事をこなしてきた。言葉は悪いが、組織にぶら下がって生きてきたようなところがある。ところがミスミではそのようなタイプのサラリーマンは存在し得ないのだ。
ミスミでは、「自己の責任において自律的に仕事を遂行する人材が欠かせない」という。「自ら育つ気のある人」をなにより大事にするだけに、「あてがいぶちの社内研修」もない。ただただ、「活躍の場と環境を提供するだけ」だともいう。ミスミでは、会社と社員は主従の関係にはない。個人と企業は、仕事を通じて結びついているに過ぎず、お互いが束縛されない自由な関係を構築している。社員ひとりひとりが企業内企業家との位置付けだ。
ミスミの「全社員公募によるチーム制」は、社員自身が自らをモルモットになぞらえるほどに実験的な試みだが、現段階では見事に機能しているといえる。
著者プロフィール
疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰- 日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp
[2001年9月5日 掲載]
- 第41回 業績不振企業も1年で再生、日本電産永守社長の経営に学ぶ
- 第42回 「全社員公募によるチーム制」で企業内企業家を育成する「ミスミ」の経営に学ぶ
- 第43回 「ミスミ」の持たざる経営に学ぶ
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