Fujitsu The Possibilities are Infinite

 

  1. ホーム >
  2. 富士通ジャーナル >
  3. 経営お役立ち情報 >
  4. 元気印企業の経営戦略に学ぶ >
  5. 開高 健氏もびっくりのルアーで日本一の会社

開高 健氏もびっくりのルアーで日本一の会社

~素人集団が、技術力、商品開発力に定評のある会社をつくる~

ルアーで日本一の会社「デュエル」は、「アイデアと商品開発力、技術力」を武器に伸びてきたのだが、創業者は、こと技術については素人同然だった。技術力や商品開発力はどうすれば高めることができるのか。デュエル、創業者北川安洋さんの考えを紹介することで、その答えを探ってみた。

釣りに興味のない人は、「デュエル」と聞いてもぴんとこないだろう。しかし、この会社は釣り好きの人には、技術力に定評のあることで知られる会社なのだ。いまは亡き開高健氏が、「オーパ オーパ 国境の南」のなかで、同社のことを書いている。まず同社のことを理解していただく意味で、少し引用して紹介しよう。

「私は佐賀県の武雄という市まで出かけ、そこに本社と工場を持つ『洋釣漁具』(旧社名)という会社を訪れる。これはブラックバスからカジキまでのありとあらゆる魚のルアーと漁具をつくっている会社である。――略――カジキ用の特大のルアーと漁具を買出しに行ったわけである。――略――同社の幹部諸君は若くして新鮮な創造力と闘志に火をつけていそいそとブツを選んでくれた。この会社は清潔で、若くて、探求心がみなぎり、神経が爪のすみずみまでヒリヒリと活性状態にあり、何の話しをしても返答がピンポン玉のように戻ってくる。爽やかであった」

デュエルは、金属加工からプラスティック成型までの一貫生産システムを持ち、技術力の高さでルアーで日本一の会社に成り得た企業だが、創業者で現在は会長を務める北川安洋さんは、学校は文科系で、技術面では素人同然だった。そんな北川氏が創業した会社が氏自身が「アイデアと開発力、技術力で伸びてきたと思う」というのだから面白い。

なぜ、技術に疎い人間が始めた会社が技術力を高めることができたのか。北川会長はつぎのように話す。

「知らないことを謙虚に聞く耳があればいいのです。学ぼうとする心さえあれば、今の日本でできないことはないと思いますよ。聞いたら誰でも教えてくれるということです。東大でも出ていれば、東大を出ていてもそんなことも知らないのかと思われるのが嫌で質問もできないだろうし、聞かれたほうも、東大出だったらそれぐらいは知っているだろうと思って何も教えてくれませんよ。私どもは素人集団だからよかった。専門用語ひとつ知らなかったのですから、教えるほうも気軽に教えられたんでしょう」。

謙虚に聞く耳を持つことで自前の技術力を高めてきたデュエルが、持てる技術を武器に、開高氏も驚くほどの商品を開発してきたのだが、「商品開発」についての北川氏の考えも紹介しておこう。

「私の場合は、欲しいものを見たら、まず自分で作れないかと考えます。たとえば、つまようじを見れば、これをつくるにはどうしたらよいかを考えます。材料は木か竹だろうがどこの国のものだろうか、どのようにしてあのように細く削るのか、先のほうはどうして尖らせるのか、木綿針に似ているから木綿針の先を尖らせる機械を使えばいいのだろうか、包装はどうするのか、衛生問題はどう考えればいいのだろうか、容器にはどうして詰めるのか、売値はいくらで原価はいくらか、果たして自分はそれで出きるのか、できたとすればどこに売ればいいのか――そんな感じで、思いつくままに疑問を頭に思い浮かべるのです。疑問点を多く持つことが創造につながるんじゃないかと思います。ですから、発明の才能というのは、自分自身で鍛えればどこまでも伸びるんじゃないでしょうか」

北川さんは、新しい素材が手に入れば、いついかなる時にも肌身離さず持っている。食事のときにも風呂の中、ベッドの中でも、果てはトイレにまで持ちこんで指先でその感触を楽しんで、何に利用できるかを考え続けているという。そんなことを積み重ねていると、たいがいの問題なら即座に解決策が出せるとのことだ。最近の北川さんは、お年寄りを集めて「ジーバ」なる会社を作って、介護用品の開発に取り組んでいると聞くが、氏の「技術や商品開発」についての考えは、ものづくりを指向する企業には大いに参考になると考えて紹介した。

著者プロフィール

疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰
日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp

[2001年7月2日 掲載]

ジャーナル最新のテーマ

今月のテーマ:新世代ERP 迅速な経営判断と戦略展開を支援します 続きを読む


今月のアンケート Q:社内にある情報を会議や営業活動、資料作成などに利用していますか 集計結果は11月10日より毎週公開 回答する


お客様の声をお聞かせください

富士通ジャーナルに掲載している記事やコンテンツについてのご意見・ご感想を、ぜひお寄せください。

ご意見・ご感想フォーム いただいた、お客様の声


お寄せいただいたご意見・ご感想については、富士通からの回答をお約束するものではありません。ご了承ください。
なお、富士通からのご回答を必要とするお問い合わせについては、
富士通ジャーナルに関するお問い合わせをご利用ください。