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「自らつくらず、自ら売らず」の東洋エクステリア

~経営の常識よりも緊張感が企業を伸ばす~

ITが進化したビジネス社会では、「中抜き」が起こるといわれる。しかし、逆に、ビジネスの真中に自社を位置させて元気印企業になった東洋エクステリアのような会社もある。東洋エクステリア、杉本 秀則社長の実践的経営論を紹介する。

日経ビジネスは2月19日号で、「中抜きに負けるな」との特集を組んでいるが、その書き出しは、次の様なものだった。

「インターネットによる企業間取引の増加はメーカーと小売りの直接取引の動きを加速している。卸・商社などの中間流通業者が取引から外される『中抜き』がいよいよ始まったのだ」

ITの進化で一番の変化として指摘されるのが、この中抜き問題だが、これは、ここ10年来日本のビジネス社会で問題視されてきたことでもある。日本は、価格破壊が進んだとはいっても、物価が欧米諸国に比べて高い。その原因となっているのが、流通が何段階にも分かれていることだといわれてきた。そこで流通のパイプをよりシンプルにしようとの動きがあった。この動きが、インターネットの登場によって、より加速してきたというわけだ。

中抜き後の理想形は、生産者が直接消費者に売ることだと、多くの識者が指摘する。しかし、こうした考えに異論をとなえて元気印企業をつくりあげてきた経営者もいる。門扉・フェンス・カーポート等々のエクステリア事業で日本一の東洋エクステリア・杉本英則社長がその人だ。

杉本社長に、好業績企業になり得たのはなぜかと問うと、次の様な答えが返ってきた。

「つくることは協力メーカー群、売ることは協力ディーラーにまかせて、東洋エクステリアは商品開発とロジスティクスの構築に力を注いでコーディネーター役に徹しているからではないでしょうか。日本は世界一の工業国ですから生産技術はどこにでもあります。工場も技術も持っている人がいるのだから、当社は仕事を供給する側に回ればいいとの考えです。

売るのも、エクステリアは施工が伴うということもあって、その地域に根を張った専門代理店にまかせたほうがいいのです。直販で、クッションをひとつ少なくして、その分儲けるか、安く売るかにしたほうがいいのではないかと考える人もいるでしょうが、私は逆です。協力メーカーや協力ディーラーは、私たちが仕事を怠ると、取引をしてくれなくなります。そこに緊張感がでてくるのです。緊張感があるから企業は成長するのです。これは、クッションを抜くか抜かないかという議論よりはるかに重要なことです」

当然、商品開発力をつけるためやリスク分散のために、自社で生産活動を行っているが、「基本は自らつくらず、自ら売らず、目指すは中小企業の大同団結」だと、杉本社長はいい切る。

東洋エクステリアは、メーカーだが、ビジネスの真中に自社を位置付けることで成長してきた。中抜き論が幅を利かす中で、コーディネーター役に徹する、中に位置する企業があるから、いい事業が展開できるとする杉本社長の考えは一聴に値すると思うがいかがなものか。

ただ、このシステムで東洋エクステリアだけが業績を伸ばしていれば問題だが、そんなことはない。すでに、協力メーカー、協力ディーラーの中から、株式を公開する会社も出てきているから素晴らしいのだ。

杉本社長も、机上の計算でいけば、自らつくって、自ら売ったほうが、いいに決まっているという。しかし、経営は計算通りにいかないともいう。流通のパイプは短くしたほうがいいとする経営の常識には反するかもしれないが、あえてクッションを置いて、緊張感を持たすほうが経営の現場では大きな効果を発揮するのだ。経営学は実践学ともいわれるが、まさにその通りで、実践の中から醸し出された知恵のほうが、学者先生の経営理論よりはるかに役に立つと筆者は考えている。

ただし、杉本社長も筆者も、ユニクロのように、自らつくって自ら販売することで顧客の支持を得ている企業があることは承知している。最近は、あまりにも中抜き論がいわれすぎるので、あえて杉本社長のような考えもあることを紹介したかったのだ。

著者プロフィール

疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰
日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp

[2001年5月7日 掲載]

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