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先発企業に挑戦して伸びてきたユニ・チャーム

~ユニ・チャーム高原慶一朗社長の経営に学ぶ~

マーケットを寡占する先発企業のある事業には、一般的には挑戦しないほうがいいと考える。しかし、ユニ・チャームの高原社長は違った。90%を越えるシェアを持つアンネに果敢に挑戦しながら、数年にして地位を逆転してしまった。勝算はどこにあったのか――――。

前回は、時代に合わせて中身を変えていくことで、衰退する業界にありながら元気印企業になった例を紹介したが、今回は、先発企業のある事業分野に、果敢に挑戦することで成長してきた会社、ユニ・チャームを紹介したい。

生理用品、紙オムツ等々、自社で製造する10種類以上の商品で国内トップシェアを持つユニ・チャームは、そのほとんどが後発でありながら、現在の地位を得ているという注目すべき会社なのだ。

古い話で恐縮だが、企業が新規事業に打って出ようと考える際に、示唆に富んだヒントがあると思えるので、同社が生理用品を手掛けた当時を振り返ってみたい。

ユニ・チャームが生理用品に参入した昭和38年当時は、90%ものシェアを持つアンネという揺るぎ無いトップ企業があった。そんな状況での挑戦で、ユニ・チャームは、6年目にしてアンネを追い越し、いまでは40%近くものシェアを持つまでになった。

普通、アンネのような寡占といえるほどの高いシェアを持つ先発企業があれば、新規参入はたいがいの場合あきらめるものだ。ところが、創業者の高原慶一朗さんの見方は違った。なぜ、アンネに挑戦したのか。

ひとつは、アンネの商品に優位性を感じなかったことが上げられる。アンネ以上の商品は開発できるとの思いが、最初にあったというのだ。

ふたつめは、アメリカの事情との比較だ。昭和37年に、日本生産性本部の「中小企業新商品開発専門視察団」に参加して、アメリカのビジネス事情を見て回った高原社長は、スーパーマーケットを見て愕然とした。日本では、薬局で、それも恥ずかしげに売られていた生理用品が、アメリカではスーパーマーケットで店頭に山積みされて堂々と売られていたのだ。いずれ、日本でもアメリカ並みになると考えた高原社長は、この渡米を期にアンネへの挑戦を強く決意したという。

先発企業があるといって遠慮することはない。この例のように、商品の差別化が可能であり、違った販売チャネルを使えるとの読みができれば、挑戦するだけの価値はあるのだ。

たしかに、これは古い事例だが、最新のIT関連の分野に限らず、先発企業はあるものの未成熟の事業はまだまだある。そんな事業への新規参入を考える企業は、このユニ・チャームの事例を参考にしていただきたい。

高原社長が、ユニ・チャームの前身である大成加工(木毛セメント板製造販売)を創業したのは、昭 和36年、29歳のときである。それが、先発企業に次々に挑戦することで、創業15年後には東証2部に 上場、その後1部に昇格し、いまではグループ全体で、年商およそ2100億円強で230億円強の経常 利益をあげるまでに成長している。

高原社長が、ユニ・チャームの前身である大成加工(木毛セメント板製造販売)を創業したのは、昭和36年、29歳のときである。それが、先発企業に次々に挑戦することで、創業15年後には東証2部に上場、その後1部に昇格し、いまではグループ全体で、年商およそ2100億円強で230億円強の経常利益をあげるまでに成長している。

高原社長の素晴らしさは、果敢に先発企業に挑戦して打ち勝ったばかりでなく、自らが創業した会社を、この不況のなかでも継続して発展させてきたところにある。そんな高原社長が、新しい企業が誕生して一定の成長を成し遂げたにもかかわらず、その後衰退するのは、3つの壁を越えられなかったからだと、実に興味深い指摘をしている。

1.商品サイクルに限度があり、いつかは競合が出てくる。
2.成長するにつれて創業の精神が薄れ、企業文化・風土の壁が出てくるようになる。
3.創業時の謙虚さがなくなってき、市場の変化が読めなくなって、機敏に対応できなくなる。

こうした壁を自らの手で突き破れる企業だけが、継続して栄えると考えれば間違いない。

著者プロフィール

疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰
日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp

[2001年4月13日 掲載]

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