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本業を続けるな、本業から離れるな、中身を変えていけ
~衰退する業界の元気印企業に学ぶ~
いまいい業界はどこですか、といった質問をされることがある。そんなときの筆者の答えは、「いい業界、悪い業界は関係ない、あるのはいい会社と悪い会社だけ」というものだ。悪い業界の中にも元気印企業はある。そんな企業はどんな手をうってきたのか。
いま手掛けている事業が頭打ちになってきたので、新しい事業の柱を打ちたてたいが、何をやっていいかわからない、という経営者がいる。そんな経営者には、筆者は、まず次のような言葉を送る。
「本業を続けるな、本業から離れるな、中身を変えていけ」
この言葉の出所は定かではないのだが、筆者は、家電量販店「デオデオ」の二代目社長、久保允誉さんを取材していた折に耳にしている。これが先代社長の口癖だったというのだ。その意味するところは、常に本業をこのまま続けていていいのかどうかと自問自答し、そのうえで、これまでに培ってきた信用、ノウハウがあるのだから、それを活かして時代の変化に対応して、事業の中身を変身させろ、というもの。
事業が不振になったからといって、いきなりまったくの異業種に出ることはない、時代に合わせて中身を変えていくことで、いくらでも元気印企業になれるのだ。それは、本連載でも紹介した、理・美容業でニュービジネス大賞を受賞したQBネットや、皿洗い等々の厨房での仕事を人材派遣から業務請負に変えて好業績をあげるセントラルサービスシステムをみれば明確だろう。
「デオデオ」も、この言葉を実践することで、不振から脱出している。久保さんが後継社長になったときには、いわゆるハコモノ家電が売れなくて、業績は芳しくなかった。そこで久保社長は、時代に合わせてどう変えていったのか。久保社長は、情報化の進展に目を向けて、同業他社に先駆けて、情報家電分野を充実させることで会社を再び活性化することに成功したのである。
筆者は、講演会などで、「本業を続けるな――」の話しをするのだが、この言葉をヒントに、事業を変身させて、好業績を上げる経営者がいる。栃木県で自動車の板金業を営む谷田貝さんがその人だ。
車の塗装をプロがやると、どうしても割高になる。しかし、設備が整っていて、プロが若干の技術指導をすれば素人でもかなりの水準で塗装ができる。そこで、谷田貝さんは、プロが100%塗装する仕事のほかに、顧客自身が塗装をするセルフのサービスを始めたところ、このシステムが大変な人気を博したのだ。車の専門誌で紹介されることも多く、青森県や関西圏からもお客さんがくる。店舗名 は、「ジュントール」だが、最近は、沖縄にもフランチャイジーができたという。いまではディーラーから紹介される顧客は2割弱にまで減ってきたとも聞いている。
本連載でも紹介したことのある、ベビー・子供服で好業績を上げる「白亜」は、本来は呉服業者だった。いまも呉服業を営んでいるのだが、その中身は様変わりしている。従来は高級呉服が中心だったのが、いまはプレタの着物専門店に変身して顧客の支持を得ているが、これも時代の変化に合わせて変身して大成功した例だ。
業績不振に陥った多くの経営者が、「うちの業界自体がよくないからしょうがない」というが、それは いいわけに過ぎない。たしかに、衰退する業界はあるが、そうした業界内のすべての企業が悪くなっ ているわけではない。悪い業界の中にも元気印企業はあるのだ。そうした企業は、冒頭の言葉を実 践してきたからこそ今日があると考えたい。
著者プロフィール
疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰- 日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp
[2001年4月6日 掲載]
- 第30回 地味な仕事をシステム化して元気印企業に
- 第31回 本業を続けるな、本業から離れるな、中身を変えていけ
- 第32回 先発企業に挑戦して伸びてきたユニ・チャーム
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