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地味な仕事をシステム化して元気印企業に
~創業のきっかけは、ホテルでの皿洗いのアルバイト~
IT関連の事業ばかりが注目されるが、元気印企業は、地味な業種の中にもある。今回紹介するセントラルサービスシステムの主要業務は、ホテル・レストランの厨房サービスの一括請負だが、基本は皿洗いや鍋洗いで華やかさは微塵もない。従来は、人材派遣型だったのを同社は業務請負型に変えることで、元気印企業となったのだ。
ビジネスの種は、ベンチャーやニューにばかりにあるのではない。従来からある地味な仕事でも、まったく視点を変えて取り組めば、新規事業としてよみがえる―――これは筆者の持論だが、本連載の第5回ではその好例として、1998年にニュービジネス大賞を受賞したQBネットを紹介した。同社は、10分1000円のカットのみに特化したサービスと80数店舗をインターネットで管理することで、理・美容業という古い業態を様変わりさせて大賞に輝いたのだが、今回登場願うセントラルサービスシステム(以下セントラル)も同じタイプの会社だ。
セントラルの仕事は、ホテル、レストランの「スチュワード業務」だという。この言葉だけを聞くと、まったく新しいビジネスのように聞こえるが、それは違う。基本となる仕事は、厨房での食器洗い業務なのだ。同社の創業者で、いまも社長を務める野口卓氏は、創業のきっかけを次の様に語る。
「私は、学生時代にホテルで皿洗いのアルバイトをやっていましたが、汗を流しているやつと流してないやつとで、どちらが給料が多いのかといえば、流してないやつのほうが多いんですね。なぜかというと、アルバイトは労働時間で管理されていますから、一生懸命働いて業務を早く終わらせれば給料が安く、逆にのんびり適当にやって長く働けば給料が増えるのです」
当時、ホテルでは、皿洗い等々の厨房で必要な人は、外部の業者から派遣されることが多かった。業者は、アルバイトの時給に紹介料を上乗せした額でホテルと契約するのが一般的だった。つまりは、評価は仕事量ではなく時間でなされていた。学生時代から、「業務そのものを請け負い、仕事量で評価されるシステムに変えれば、もっと効率は高められるのに」と考えていた、野口さんは、その思いを具現化すべく、昭和59年に同社を設立している。
狙いは、東京ディズニーランド周辺に建設予定のホテルにあった。既存のホテルには、野口さんからみると矛盾だらけではあるが、人材派遣業者から人材を調達するという仕組みが確立されていただけに、同社が業務請負の形で新規参入するのは難しい。ところが、新設のホテルなら、入り込む余地があるのではないかと考えたのだ。
「まったくの空白地域で、既存の業者がゼロですから、価格競争を含めた本当の競争ができるので、われわれのシステムを組みこんでくれるに違いないと考えていました」と野口さんは当時を振り返る。
結果は野口さんの目論見通りに推移し、昭和61年にサンルートプラザ東京の仕事を受託したのを皮切りに、ディズニーランド周辺に新規開業した5つのホテルのうち4つのホテルと契約を結んだと聞く。最近は、長引く不況の中で、ホテルがスチュワード業務の効果に目を向け始め、年間10件近くの新規契約があり、全国で約60のホテル、レストランから委託され、年商36億円で経常利益2億5千万円近くを上げるまでに成長し店頭公開の準備も着々と進んでいる。
ホテルの厨房での皿洗いのアルバイトが持った素朴な疑問が、創業のきっかけになったのだが、「スチュワード」と呼ばれる同社の業務内容は奥行きが深い。
「ホテルの厨房での皿洗いや鍋洗いなどの仕事からはじめて、食器の洗浄や管理・保管、設備レイアウトの技術指導、マンパワーの調整、ごみ処理、洗剤の管理、フルーツの盛り付け方にいたるまで、あらゆる厨房サービスを一括して請け負う会社に発展してきました」
野口社長は自分の会社を、「IT(情報技術)関連のような頭でっかちの業態と違いまして、割と根っこが生えているんですね。根っことは何かといいますと、毎日現場で汗を流していることですね。嘘偽りはないわけですよ。10のものが1000に飛躍することはないまでも、10のものが11、12、13には持っていける世界なのです」と分析するが、ここに同社の強さの秘密がある。同社の仕事は飛躍的な伸びが期待できる分野ではない。しかし、確実に伸びていく分野でもある。地味な裏方の仕事でも、それをシステム化すれば、様変わりし新しいビジネスになることをセントラルサービスシステムは見事なまでに証明して見せたのだ。
著者プロフィール
疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰- 日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp
[2001年3月28日 掲載]
- 第29回 「厳しさ」プラス「社員を優遇する」経営が元気印企業をつくる
- 第30回 地味な仕事をシステム化して元気印企業に
- 第31回 本業を続けるな、本業から離れるな、中身を変えていけ
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