![]()
「厳しさ」プラス「社員を優遇する」経営が元気印企業をつくる
~知恵を出し、よく働く社員は、「厳しさ」だけでは育たない~
「社員を金持ちにしようとした企業は少ない」と、マクドナルドの藤田 田社長はいう。その少ない会社の中に入るのが、同社であり、ユニクロであり、ここに紹介する沖縄県のNO1スーパー「サンエー」だ。この3社は、不況をものともせずに増収増益を続けている。「社員を豊かにする」ことが元気印企業をつくるのだ。
不況の中で好業績をあげる企業に共通するのは、「厳しさ」だ。本連載の26回目では、ユニクロの「半端でない厳しさ」について紹介した。そこでも書いたことだが、経営者が社員に厳しさを求めるだけでは、会社は継続して栄えることはできない。ユニクロの場合には、ストックオプション制度で、社員の働きに報いる仕組みがあるから、厳しさに応えるのだとも書いた。
元気印企業になりたければ、「厳しさ」の一方で、社員を豊かにしようとの経営者の思いがなければならないということだ。同様のことを前回もご登場願った日本マクドナルドの藤田 田社長もいっている。藤田社長は、「商売上の社員管理は厳しいですよ」というが、一方で、「明治以降の資本主義では社長は金持ちになっても、社員を金持ちにしようとした企業は少ない。私は月給とボーナスとは別に、3月に決算ボーナスを奥さんに出しています。人を大切にしないと事業は伸びません」ともいう。
この姿勢があるから、マクドナルドは好業績をあげられるといってもいい。筆者は、経営者対象の講演会では、「社員を甘やかすな、知恵を出させろ、一生懸命働いてもらえ」といった趣旨の話しをする。その折、よくある質問が、「自分もそうしたいのだが、それをやれば社員がついてきてくれないのではないか」というものだ。たしかにその通りで、「厳しさ」ばかりでは、社員は期待に応えてはくれない。社員は、「業績が伸びれば、自分も社長と同じように豊かになれる」と思えるからこそ、厳しさにも耐えられるのだ。
その実例として、沖縄のスーパー「サンエー」の経営を紹介する。同社の2000年8月中間決算の数字は、売上げ451億円で経常利益27億円だった。この不況の中で、いずれも対前年比12%増だというのだから、素晴らしいという外はない。6%近い経常利益率は驚異的ともいえる。同社の「思考する経営」については、本連載の第6回をご参照願いたいが、今回は、好業績を支える「社員を優遇する経営」について書いてみる。
いまでこそ、沖縄県で、就職したい会社の2位にランキングされるサンエーだが、平成3年には、思うように学生が応募してこなかった。就職希望者が少ないのには、理由があった。本土から沖縄に進出してきた、ダイエー、ジャスコの初任給に同社のそれが劣っていたからだ。理由を聞かされた、サンエーの折田 喜作社長は、「私は、ダイエーやジャスコに負けずに頑張れといっているのだから、初任給は両社以上にすればいい」と指示を出したところ、人事担当者は、「それだと、先輩社員の給料が新人よりも安くなってしまいます」と答えた。このとき、折田社長は、「古い人たちの給与水準も引き上げなさい」といったというのだ。
そんなことをすれば、人件費率が高くなりすぎて経営がおかしくなるのではないかといわれるかもしれないが、そこが違うのだ。サンエーでは、経営がガラス張りの上に、社員教育が行き届いているから、上がった報酬を自分たちの働きで稼ぎ出してくれるのだ。
筆者はサンエーと20年来の付き合いだが、幹部社員のほとんどは7時半には出社しているし、社員も本当によく働く。サンエーは、昨年9月に店頭公開を果たしているが、公開に際して、創業者が保有していた株式の一部を全社員に贈与も している。2001年2月期の通年決算でも増収増益は確実で、当然のように昨年同様に決算賞与が支払われると思われる。
最近は、社員に厳しさばかりを求める経営者が増えるばかりで、本当に嘆かわしい。不況の中で厳しさに耐えて好業績をあげてくれる社員を育てたいのなら、ユニクロ、マクドナルド、サンエーのように、「社員を豊かにする」という考えを、経営者が持ち実践しないといけないということだ。
著者プロフィール
疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰- 日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp
[2001年3月22日 掲載]
- 第28回 日本マクドナルドの価格破壊への挑戦
- 第29回 「厳しさ」プラス「社員を優遇する」経営が元気印企業をつくる
- 第30回 地味な仕事をシステム化して元気印企業に
ジャーナル最新のテーマ
お客様の声をお聞かせください

富士通ジャーナルに掲載している記事やコンテンツについてのご意見・ご感想を、ぜひお寄せください。
お寄せいただいたご意見・ご感想については、富士通からの回答をお約束するものではありません。ご了承ください。
なお、富士通からのご回答を必要とするお問い合わせについては、
富士通ジャーナルに関するお問い合わせをご利用ください。





