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日本マクドナルドの価格破壊への挑戦
~「半額」で売りながら、なぜ利益が確保できるのか~
安く売ることは誰にでもできる。しかし、それで利益を確保することは至難の技だ。マクドナルドは、革命的ともいわれるほどに価格を下げながら、高い利益を確保している。なぜそんなことが可能になるのか。藤田田社長の声を交えながら、その戦略を紹介する。
日本マクドナルド(以下マック)の藤田田社長の話しを久しぶりに聞いたので、今回は、同社の戦略を簡単にレポートしてみたい。
藤田社長は、「景気は後5、6年はよくならない」との予測のもと、「デフレ傾向の世の中では、いかに安く売るかが重要になる」と、氏自身が数年前から言い続けてきた持論を今回も展開された。前回お目にかかったのは平成7年1月だったが、その時も同じような話しをされ、その年の4月から価格破壊に突入すると宣言されたことを思い出す。
周知のとおり、マックは平成7年4月から、それまで210円で売っていたハンバーガーを130円までに値下げし、何回か100円でテストした後、昨年の2月からはウイークデイに限ってはまったく同じものを 「半額」の65円で販売するようになった。藤田さんは、価格破壊による顧客の変わりようを次の様に説明している。
「当社では、お客様がいくらだったら買うかを顧客満足度と呼んでいて、210円のハンバーガーの顧客満足度は30%しかない。それを130円にしてみたら80%になり、100円にすると100%になった。さら に65円にすると120%の人が満足する。120%ということは、マクドナルドの店の前に来た人は皆入ってくるということ」
事実、価格破壊後の集客力は驚異的で多い時には8倍、通常で5倍に伸びたという。従来210円だったハンバーガーを65円で売って利益が出るのか、という疑問が出てくるが、売上ばかりでなく、利益も二桁の水準で増加していると聞く。なぜそんなことが可能になるのか。
ひとつは、売上全体に占めるハンバーガーの比率が13%と、それほど大きくないことがある。売上の20%を占めるシェイクやその他の商品で利益は確保できているという。
いまひとつは、素材調達の巧みさによってだ。マックでは、牛肉、ごま、ピクルスなどの食材を、その時期世界中で一番安いところから調達するシステムができあがっている。しかし、これだと為替変動によるリスクがでてくる。そこで、藤田社長の場合には、為替を先物で予約してリスクをヘッジしているのだが、その先見性で、かなりの差益を出していると思える。
以上にプラスして、藤田社長のスピードについてのこだわりが、価格破壊をしながらの高収益を可能にしているのだ。藤田社長は、「当社は、注文を受けてから32秒以内に商品を提供する。ハンバー ガーを売っているのではない、時間を売っている」というほどに、スピードについての思いが強いが、このスピードアップが、「いかに安く売るかを考える」うえでは、重要な要素になると、藤田社長は言うのだ。作る時間、売る時間を短縮すれば、それだけ利益が出るとの考えだ。
マックでは、これまで、完成後10分以内に売れなければ捨てるとの条件付で、作り置きのハンバーガーを販売していた。これだといかに効率よく販売しても2%のロスが出ていた。金額にしておおよそ100億円だという。このロスをなくするために、ハンバーガーを作る時間を短縮することが考えられていたのだが、最近、その実用化が一部の店で始まっている。
メイド・フォー・ユーの名で呼ばれるシステムだが、最新の機械で調理すると、これまで平均2分半かかっていたハンバーガーの仕上げ時間が20秒程度にまで短縮できるのだ。まだ数店舗が導入しているだけだが、廃棄ロスが10分の一程度にまで削減できるという。このあくなきスピードアップへの挑戦が、価格を下げながらの高収益を可能にしたのだ。
著者プロフィール
疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰- 日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp
[2001年2月27日 掲載]
- 第27回 ユニクロ・柳井正社長に見る「プロフェッショナルの条件」--その2
- 第28回 日本マクドナルドの価格破壊への挑戦
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