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ネット販売で成功するところ、成功しないところ、その違いはどこに
~ITをフル活用する「アスクル」に学ぶ~
ITの進化で大きな期待をもたれたB2Cビジネスに否定的な報道が目立つようになってきた。ネット商店街を運営する「楽天」は、ネットショッピングの一番の成功例とも言われたが、最近は、その成長に陰りが見えてきたとする指摘もある。はたして本当はどうなのか。筆者は、誰がなんといおうがその将来は明るいと考えている。「アスクル」を例にその理由を書く。
「ネット販売」に否定的なマスコミ報道が増えてきた。明確に、「ネットショッピングは儲からない」といったタイトルを掲げる雑誌まで登場してきた。企業が消費者にインターネットを会して直接販売するB2Cが、ITを有効に使うビジネスとして、大いに期待され、現実に参入する会社も増えるばかりだったのに、期待はずれもいいところだ、との指摘もある。
ネット販売の先駆者でその将来性を高く評価されていたアメリカのアマドン・ドット・コムも、サイト訪問者は増えるばかりなのに、過大な先行投資の結果もあってか、ついに債務超過に陥ったと聞く。
確かに、ネット販売では明るい話よりは、暗い話のほうが多い。では本当にネット販売に期待は持てないのだろうか。筆者は、誰がなんと言おうが、その将来は明るいと思っている。その理由は単純で、「アスクル」のように、ネット販売を加味することで、急成長した事例があるからだ。
「アスクル」は、文具メーカーのプラスが、生き残りをかけ、「古い商品を新しいシステムで売る」と考えて1993年にスタートさせた事業だ。当初は、中小企業のオフィス需要をターゲットに通信販売を行っていたのだが、設立後3年目の売上は19億円で10億円の赤字だったという。そんな「アスクル」が、年商500億円近く売るまでになった。これはひとえに1997年から始めたインターネット販売のなせる結果である。
それでは、ネット販売で失敗するところと成功しているアスクルではどこが違うのだろうか。
失敗しているところは、単純には、リアルな店舗でも通用しない商売をしているところといっていい。価格が高く、品質が悪いでは、バーチャル、リアルを問わず、商品が売れるわけがない。現状の商売で売れない商品をネットに乗せれば売れるのではないかと考えて、参入したところが失敗しているのだ。
インターネット販売に踏み切る前に、アスクルは、平均で2割から3割価格を引き下げているのだが、これが飛躍のひとつのきっかけになったという。もうひとつの大きな違いは、アスクルはITをフルに活用しているのに対して、失敗しているところはインターネットのみに過度に依存しているところにある。
アスクルはネット販売に乗り出して急成長を可能にしたとは書いたが、同社の売上中インターネットからの注文の占める割合は増えるばかりとはいっても、20%程度に過ぎず、注文の8割は電話かフ ァックスだという。
それだとITをつかったネット販売は、たかが知れているといわれるかもしれないが、それが違う。500億円の売上中100億円がインターネットによるものだが、残りの400億円もITがあって生まれたものなのだ。これが重要なところだといいたい。
同社のカスターマーリレーションシップセンターと呼ばれる受注センターには、100台のコンピュータと100台の電話が設置され、約100万のユーザー企業の購買履歴等々が蓄積されていて瞬時に受発注のできるシステムになっている。今日注文すると明日来るので「アスクル」と名づけたと聞くが、これを可能にしているのがITだと考えればいい。
ネット上に販売チャネルを開いただけでは成功は覚束ないということだ。あのユニクロが10月18日からネット販売に乗り出したが、あまりのアクセス数の多さに、システムがダウンし、完全復旧までに3日かかっている。これもネット販売の将来の明るさを象徴している出来事と見ることもできる。
ITが経営システムの中に組みこまれている企業が、ネット販売に乗り出せば、成功する可能性は限りなく高く、逆の場合には失敗する可能性が限りなく高いということだ。
著者プロフィール
疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰- 日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp
[2001年1月12日 掲載]
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