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ITの時代だからこそ、スピードにプラスして我慢強く育てる努力を
~藤田田氏(マクドナルド社長)、小林一三氏(阪急創始者)の経営哲学に学ぶ~
スピード経営の実践者として知られる、日本マクドナルドの藤田田社長は、スピード重視の一方で、企業経営では、「積み重ねが大事」と説く。 阪急・東宝グループの創始者、小林一三氏は、「平凡なことの繰り返しの結果が非凡なものを生み出す」という。そのいわんとするところは共通している。スピードと我慢が共存して初めて企業は勝ち残れるのだ。
「一攫千金はビジネスではない。ビジネスには逆転ホームランもない。今日売れなくても明日倍売るからいい、と言う人は、頼もしいように見えるかも知れないがビジネスでは成功しない。苦しくとも、目標を立てたら、それを積み重ねていくしかない。」
これは、日本マクドナルドの藤田田社長の言葉だが、最近の企業人は、全く逆の道を歩んでいるのではないかと思えるタイプが多い。とりわけベンチャービジネスにチャレンジする人たちにそういう傾向が見受けられる。情報技術(IT)の進化によって、あらゆる分野でスピードアップが求められるようになってきた。犬は人間の7倍のスピードで年取ることになぞらえて、ドッグイヤーなる言葉まで登場してきた。それだけに、意思決定、商品開発、在庫回転、売掛金回収、クレーム対応、決算等々、企業経営のあらゆる面でスピードアップが求められる時代になってきたことは間違いがない。スピーディーな展開の出来ない企業は元気印には成り得ないと言ってもいい。
ただし、ここで考えてほしいことがある。それは、スピーディーな取り組みは大事だが、結果にまでスピードを求めないでほしいと言うこと。とりわけ業績は、藤田さんが指摘するように積み重ねの中からしか出てこないのだ。たしかにITを駆使したビジネスでは、従来よりも早く業績を高めることができるようにはなったが、それでも、基本的にはビジネスは我慢強く育て上げることが何より肝要だと筆者は考えている。
ここ2、3年、ネットビジネス関連分野で、一攫千金を手にしたやに思える企業家は何人かいる。しかしそれらのケースは、たまたま株価がバブリーに高騰した結果に過ぎない。好業績が評価されてのことではないのだ。この事実を忘れないでほしい。
阪急東宝グループの創始者小林一三氏が昭和10年に書いた「私の行き方」という本に、就職を前にした青年にむけての次のような一文がある。
「これからの世の中で、有用の材たらんとする青年は平凡でなければならぬ。偉がってはもう駄目である。一芸一能のある者ない者にかかわらず、平凡な事を忠実に行い得る人でないと、人に使われることが出来ない。
学窓を出たばかりの、したがって理想の高い青年は、平凡という事を知ってこれを軽んずるが、平凡の非凡という事を知る者が少ない。平凡の非凡とは、平凡なことを忠実に真面目に実行すること以外にはない。
あたかも時計が刻々同じ動作を繰り返しながら、実は人類生活上の重要な役目を果たすがごとく、青年も平凡な事を忠実に繰り返して、結局は非凡なる結果を挙げるように心がけてほしいのである。」
藤田さんと小林さん、時代背景は全く異なるが、そのいわんとするところは実に似ていると筆者には思える。積み重ね、繰り返しの結果として、非凡な成果をあげられる、なんていうと、スピードアップが肝要なデジタル時代にはそぐわない考えだとの指摘を受けるかもしれないが、デジタルの時代だからこそ、あえてアナログ的な問いを投げかけておきたいのだ。「平凡の非凡」が元気印企業を誕生させるとも思えるのだが・・・。
著者プロフィール
疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰- 日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp
[2000年12月17日 掲載]
- 第23回 ローコストオペレーションの確立とサービス・品質の高質化が元気印企業を育てる
- 第24回 ITの時代だからこそ、スピードにプラスして我慢強く育てる努力
- 第25回 ネット販売で成功するところ、成功しないところ、その違いはどこに
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