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ローコストオペレーションの確立とサービス・品質の高質化が元気印企業を育てる

~しまむら、ユニクロ、マクドナルドは、なぜ顧客に支持されるのか~

景気が悪い、モノが売れないといわれ続けてきた。しかし、そんな状況の中でも、しまむら、ユニクロ、マクドナルドは、顧客の支持を得、業績を伸ばしている。過去の不況では、日本の企業は減量経営や売上を追求することで活路を見出してきたが、いまの不況はそんな策が通用しない。いま何をなせばいいのか、その答えを先の3社の経営戦略から引き出してみる。

景気回復がなかなか軌道に乗らない。一時は活気付いたかに思えた株式市場も相変わらずの低迷振りだ。こんな時代にあって、経営者は何をよりどころに舵取りをすればいいのだろうか。その答えを考える前に、日本企業は過去の不況をどのようにして乗り切ってきたのかを振り返ってみたい。

ひとつは、1973年のオイルショック後の不況がある。このとき、日本企業が取った戦略は、減量経営であった。エネルギーの消費量を削減するところから始まって、企業経営のあらゆる分野にわたっての贅肉落しが行われ、それに成功した企業がオイルショックを乗り切り、新たな成長路線に入り込んでいった。

いまひとつは、1985年のプラザ合意後の急速な円高がもたらした不況があった。この円高不況では輸出依存度の高い企業が苦境に陥ったが、一方で円高のメリットを享受した企業も多く、日本は内需を拡大させることで景気を回復させ、企業は売上を拡大することで不況を克服した。皮肉なことに、その行きついた先がバブル経済だったともいえる。

そこで、今回の不況をどう克服すればいいのか、という問題になるのだが、筆者は、減量経営や売上追求だけでは、いい結果を得られないと考えている。

いま企業が取り組むべきことは何なのか。その答えを、元気印企業の代表格でもある、「しまむら」「ユニクロ」「マクドナルド」の戦略を分析することで見出してみたいと思う。

この3社に共通しているのは、徹底したローコストオペレーションの確立と、サービスと商品の高質化を、同時に高いレベルで実現させているところにある。低価格を武器にするこの3社は、一般的に価格訴求型の企業だと思われている。確かに3社ともに安く売ることに対するこだわりはある。しかし、質を落としての安売りではない。

マクドナルドの場合には、数年前に、それまで210円だったハンバーガーを同じ品質を維持しながら130円に値下げし、今年の2月からはウイークデイに限っては65円で販売している。いかに世界最適調達で材料の調達コストを下げているとはいっても粗利を落としていることに間違いはないが、しまむらとユニクロは、粗利も落としていない。高品質を維持し、なおかつ低価格で販売しながら利益も確保できるのは、徹底したローコストオペレーションがあってはじめて可能になってくるのだ。

一般的な小売業では、坪当たりの年間売上が200万円前後を損益分岐点としているが、しまむらの場合には、120万円弱で利益の出る仕組みが出来上がっているという。これもローコストオペレーションのなせる技だ。ローコストオペレーションは単なる減量経営では実現できない。先の3社は、経営の仕組みそのものを抜本的に改革することで、それを具現化してきたのだ。

日本の多くの企業も、コスト削減に励み、低価格にも目を向けているが、経営の仕組みそのものは旧態然としているケースが多い。いわんや、サービスと商品の高質化といったことには、全然と言っていいほどに目が向けられていない。それでは、この不況の中で活路を見出すことは出来ない。

ユニクロは、「これまでの経営は、あらゆる面での質向上への挑戦だった」というし、しまむらの場合は、「商品の品質向上に取り組み出したことが、好転するきっかけになった」と聞く。マクドナルドの場合にも質を維持した上での低価格だから、実質はこの両社と同じ戦略だといっていい。

一度豊かさを享受した日本の消費者は、いくら安くても質が伴わないと買ってはくれない。安く売ることが武器になるのは、あくまでも質が伴ってのことだとご理解いただきたい。繰り返しになるが、徹底したローコストオペレーションの確立とサービスと品質の高質化が、同時に成し遂げられたうえでの、価格訴求が元気印企業への道なのだ。

著者プロフィール

疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰
日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp

[2000年10月17日 掲載]

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