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2000年代は中小・中堅企業の時代

~情報技術の進化が追い風に~

ビジネスの世界では、組織は大きいほうが有利だといわれるが果たしてそうなのか。筆者は、これまでも中小・中堅の組織のほうが有利だとの論を展開してきた。最近は、そうした思いがさらに強くなってきている。それは情報技術の進化によってだ。すでに、大手が有利だといわれた小売り業界でも中小・中堅企業の優位がみてとれる。

筆者は、2000年代は中小・中堅企業の時代だと考えている。こんなことを書くと、「何を言っているんだ。名だたる大企業の多くが合併、合併と規模拡大を目指しているではないか。大企業でないと勝ち組になれないのではないか」との指摘をうけるかもしれない。

たしかに、従来基幹産業と呼ばれていた業界では、規模のメリットを求めて合併するケースが増えてきた。しかし、これは競争力を失った従来型の基幹産業に限ってのことと考えたほうがいい。日本企業のすべてが基幹産業の影響下にあるわけではない。すでに、基幹産業以外の多くの業界において、中小・中堅企業が、こと経営の内容で大企業に勝つ姿が見て取れる。

一番の例が小売り業界だ。小売り業界では大手量販店の優位性ばかりがいわれるが、現実はそうではない。小売り業界でいま一番の不振を極めているのは、かつては「小売業の王様」といわれたデパートで、次に苦労しているのはナショナルチェーンの大手量販店ではないか。一人勝ちともいわれたイトーヨーカ堂も、先の決算では、上場以来初めての減収減益を余儀なくされている。

そんな業界で健闘しているのは、北海道の「ラルズ」、岐阜の「バロー」、滋賀の「平和堂」、和歌山の「オオクワ」、広島の「イズミ」、鹿児島の「タイヨー」、沖縄の「サンエー」等々の、地方に拠点を持つ中堅企業だ。セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートといった大手量販店系頑張りが目立つ、、コンビニ業界でも、北海道の「セイコーマート」や広島の「ポプラ」といった、独立系の地方の中堅企業が業績を伸ばしている。大手が有利と言われる小売業の世界だが、これが現実の姿なのだ。

筆者は、これまでもトップの舵取りがよければ、中小企業が大企業に経営の質の競争では勝てると考えてきた。それが、2000年代は中小・中堅企業の時代と改めて強調するのには理由がある。それは、情報技術(IT)の進化がそうした傾向を加速させると考えているからだ。

すでに大企業の多くは、コンピュータの専用端末と専用回線を使ってITの恩恵に浴してきた。しかし、その裏ではかなりの投資が必要だった。ITが自社の経営を変革させることを理解はしていても中小・中堅企業は活用できないでいた。ところがITの進化によって同様のことがウェブ上で低コストで行えるようになった。極論すれば、これからは、大も中も小も全く同じ立場でITの恩恵に浴することができるのだ。とするならば、あらゆる面で身軽な中小企業のほうが競争力があるというものだ。

中小・中堅企業が有利になってきたとはいっても、大手企業の縦の系列下にあるところは、2000年代に入っても厳しくなるばかりだろう。しかし、あらゆる業界ですすみつつあるネットワーク化やサプライチェーンマネジメントの鎖の中に、その会社ならではの特徴を生かして参画できる中小・中堅企業の将来は本当に明るい。

ところが多くの企業人は組織は大きいほうが強いという先入観をもっている。 大企業といえども万全ではない。弱点はいくらでもある。組織は大きいほうが強いというのは幻想に過ぎない。中小・中堅企業が大企業を制するのが2000年代のビジネス社会だ。

ただし、大企業も手をこまねいてはいないだろう。持ち株会社のもとに、事業分野毎に分社化を進め、実践舞台の組織を、中小・中堅化してくるに違いない。いずれにしても、これからはITを自社の事業に融合させた中小・中堅企業のほうが強いと筆者は考えている。

著者プロフィール

疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰
日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp

[2000年6月21日 掲載]

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