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大流行は流行の終わり
~どんな時代にも勝ち残る「白亜」の経営哲学に学ぶ~
白亜は、お客様と業績不振で悩む経営者が列をなすことで知られる会社だ。社長の小山氏が目指してきたのは、どんな時代にも勝ち残ることのできる企業づくりだ。現実に、同社はこの長引く不況の中でも好業績をあげている。その成功の秘訣はとの問いに、小山社長は、「流行を追わないこと」と答える。
私事で恐縮だが、昨年「どんな時代にも勝ち残る白亜の経営哲学」(日本能率協会マネジメントセンター)を上梓した。白亜の年商は、小売り・貿易・ビル賃貸業を含めて50億円程度で中小企業の域を出ない。なぜ、そんな規模の企業を取り上げて一冊の本を書いたのか。それはひとえに、長引く不況の中でもびくともしない強靭な経営体質を評価してのことだった。
白亜の小売り部門は服地、呉服、ベビー・子供服を主体としている。呉服は将来性のない分野の代表的存在だし、ベビー・子供服も少子化の時代では魅力あるマーケットとはいい難い。白亜は、格好よく言えば成熟した、本音で言えば衰退するばかりの事業分野で好業績をあげている稀有な存在として、筆者はかねてから注目していた企業である。
特筆すべきは、ベビー・子供服分野での元気印ぶりだ。わずか100坪程度の売り場で年間15億円も売り上げている。一坪あたりの年間売上が約1500万円、一般的なスーパーで300万円程度だから、そのすごさは理解できるだろう。白亜の素晴らしさは小売り部門にだけあるのではない。小売りで確たる業績を上げる一方、不動産の賃貸で年間5億円もの収入を得ている。本業で稼いだ原資を元に副業でも安定した収入を確保することで、不況にもびくともしない企業体質を築き上げてきたことがなによりも素晴らしいのだ。
白亜の創業者であり、いまも社長を務める小山武夫氏は、経営を実践するに際して強く意識していることは、「流行を追わないこと」だという。この考えは、どんな時代にも勝ち残る企業を作る上で大きな示唆を与えていると筆者は考えている。少しばかり小山氏の言葉を紹介しておこう。
「私は、本業でも副業でも始める時には流行を追わないようにしています。なぜなら、いま流行っているものはやがて流行らなくなるからです。日本人が熱しやすく冷めやすいのはいまに始まったことではありません。フラフープ、ダッコちゃん、ボーリング場等々、パッと咲いてパッと散った例はいくつもあります。大流行は流行の終わりを意味していることは過去の経験から容易にわかるのに、時とともに忘れてしまいがちなのです。つい最近ではバブルの時がまさにそうでした。不動産投資や株式投資がブームになると、乗り遅れてはならじと、多くの日本人が土地や株を追いかけたのです。」
その結果がいかに悲惨だったかは、ご承知のとうりだ。
白亜は不動産の賃貸事業で年間5億円の収入を上げているが、この投資もかつての不動産ブームに乗ってのものではなかった。不動産市場が低迷し、買い手の誰もいないときに、売り手から請われるような形で格安で手に入れた、利回りのいい物件ばかりだという。
ブームが去った後、ブームを追いかけたものがいかに悲惨な目にあったかは、小山氏ならずとも誰もが何度も見ているはずだ。ところが多くの人たちが、そんな単純なことを時間とともに忘れ去ってしまっているのだ。
年初来の株式市場におけるIT関連企業の急騰も、冷静に考えればおかしいことに気づくはずなのに、流れに流されてその加熱振りに目が向かない人が多かった。そ後の結末を見れば、まさに小山さんの指摘通りだったにもかかわらず多くの投資家がブームを追いつづけて痛い目にあってしまっている
日本の企業社会は、流行の追いかけっこの世界だといってもいい。他社が事業を拡大すれば自分たちも同じようにやる。よそがベンチャーに投資すれば、自分たちもといった具合に、付和雷同型の経営を行う企業が実に多い。そんな企業が長引く不況の中で勝ち組になれるわけがない。いま元気印の企業は、白亜のように、どちらかといえば、流行に逆らうような形で、わが道を歩んできたところといえる。
著者プロフィール
疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰- 日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp
[2000年5月16日 掲載]
- 第7回 日本一のめがね小売業「三城」の「考える社員」を育てる経営
- 第8回 大流行は流行の終わり
- 第9回 遊び上手な経営者が元気印企業をつくる
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