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ハードワーキングこそが成長の原理原則

~24時間仕事に思いをはせる企業人が元気印企業をつくる~

いまどきハードワークが企業を伸ばすといえば、時代錯誤もはなはだしいといわれるかもしれないがそれは違う。この不況の中で好業績を上げる企業の共通項にハードワークがあることは間違いのない事実だ。その最たる例が、小型精密モーターで世界一のシェアを誇る日本電産だ。

前回のレポートで深夜消費族に対応できる小売業が不況の中で伸びていると書いたが、製造業でも同じようなことがいえる。製造業ではハードワークをいとわず、24時間思考を切らさない企業が元気印企業となっている。

ハードワークをいとわず、一生懸命に働けなどという話をすると、「それでなくても日本人は働き蜂といわれているのに、より働けなんてことは言わないでほしい。一週間の労働時間40時間を守れといわれているのに、よく働きなさいというのは時代錯誤もはなはだしい」、といわれるかもしれないが、それは違う。日本人がよく働くというのは過去の幻想に過ぎないと筆者は考えている。そんな思いを持っているのは筆者ばかりではない。いまから10数年も前に、京セラの稲盛社長から次のような話を聞いたことがある。

「日本から一生懸命真面目に働くということがなくなりつつある。これがなくなったときに日本経済はがたがたになるのではないかと心配している」

稲盛さんの憂いが現実になってしまっているのが今の日本経済の現状だと思う。稲盛さんの心配事は、現実に数字で裏付けられている。国際労働機構の調査によれば1995年時点で、先進国一の働き蜂は米国人と報告されている。

同年の労働時間は、米国人は1966時間で、日本人は1889時間だというのだ。なぜ米国人が日本人より働くようになったのか、それは景気がよくなって残業時間が増えたからだと指摘する人がいる。たしかにその通りなのだが、なぜアメリカは景気がよくなったのかを考えていただきたい。いまから10年前、アメリカ経済はどん底で失業率は10%前後あった。そんな状況の中から、なぜ景気は回復し、失業率が4.1%までになったのか。それはひとえに、マイクロソフトのビル・ゲイツのように、ハードワークをいとわずに働く企業家が増えてきたからにほかならないのだ。

ハードワークが企業の業績を伸ばすのは、今の日本も同じといえる。小型精密モーターで世界一のシェアーをもち、東芝の子会社を買収して話題になった日本電産は、その最たる例といえる。日本電産の永守重信社長は自身365日ほとんど休みなく、毎朝6時55分に出勤、夜11時まで仕事をし、「ハードワーキングこそが成長の原理原則」という。最近日本電産は、積極的にM&Aを行い、傘下企業を増やしている。それまで不振を極めていた企業が日本電産のグループになったとたんに優良企業に変身している。日本電産の資本が入って負の遺産が払拭されて業績が好転しているとの見方もされるが、それは一面に過ぎない。なぜ業績が好転するのかと問われた永森社長は、「うちのグループに入って、「一生懸命真面目に働くようになったからだ」と答えている。

真面目に働くなどという言葉は使わないが、ハードワークが業績を向上させる姿はアメリカでも見て取れる。シリコンバレーの技術者連中はノーネクタイ、ジーンズ姿で出勤してくる。なぜそんな格好でと聞けば、それは、仕事を始めて興が乗ってくれば、3日3晩の徹夜もいとわないで仕事に没頭し着の身着のままで仕事場に寝泊りするからだという。徹夜もいとわず、ハードワークに徹する姿勢が、誰もが思いもつかないような商品をスピーディーに開発する原動力になっているとも聞く。

製造業で、とりわけ商品開発に定評のある企業の経営者は異口同音に同じような話をしている。エクステリア業界で日本一の東洋エクステリアの杉本英則社長は、自宅の寝室の側面は言うに及ばず天井にまで、そこかしこに商品開発に関する資料を貼り付けていて、24時間もの作りに思いをはせているという。撮影済みのカラーフィルムを目の前で現像からプリントする機械を発明したノーリツ鋼機の西本社長に、商品開発について話を聞いたときにも、徹夜で考え抜いた結果新商品のアイデアがでてきたとの答えが返ってきた。

いつの頃からか、日本人は知らず知らずのうちにハードワークを嫌うようになってきている。これが日本企業の活力をそいでいるのではないかと筆者は考えている。ハードワークが競争力につながる現状を筆者も単純に肯定しているわけでないが、一生懸命に働くことすらできていない企業が多いだけに、日本電産が勝ち組になってしまうのだ。これは理屈抜きの世界といわざるを得ない。

筆者も長時間労働を美化するわけではない。しかし、現実問題として、元気印の企業になるためには、ここ一番のハードワークが条件になることを指摘しないわけにはいかないことをご理解いただきたい。

著者プロフィール

疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰
日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp

[2000年4月4日 掲載]

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