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深夜マーケットが元気印企業を育てる
~ドンキホーテ、ジーンズメイトはなぜ伸びた~
消費者の行動パターンが24時間化してきた。この変化は加速するばかりで、深夜には大きなビジネスチャンスがある。それを実証して見せたのが、ドンキホーテとジーンズメイトだ。深夜にモノが売れる現状を両社を例に検証する。小売業者ばかりでなく、消費の24時間化は、メーカー、卸業にも大きな影響を及ぼすことも理解してほしい。
不振を極める小売業界にあっていくつかの元気印の企業がある。セブンイレブンに代表されるコンビニエンスストアーに、カジュアルウエアーのジーンズメイト、ディスカウントストアーのドンキホーテといったところだが、まったく業態の違うこれらの企業にはひとつの共通項がある。それは「深夜営業」ということだ。
コンビニは別にして、ジーンズメイト、ドンキホーテの両社が、長引く不況の中で好業績を上げ東証2部上場を果たせたのは、ひとえに深夜営業のお陰といっていいと筆者は考えている。深夜の売上がジーンズメイトは30%強、ドンキホーテは60%を超えていると聞く。ドンキホーテの場合には、「熱帯雨林方式」と呼ばれる独特の圧縮陳列が顧客の支持を得ているという見方もあるし、両社のトップが分析するように、価格の安さ、豊富な品揃えが好業績をもたらせているともいえる。しかし、これらは際立った特徴とはいえない。もっといえば、それらが生きるのも深夜営業があってのことだ。
これまで、遅い時間、深夜の時間帯には、食品ぐらいしか売れないのではないかといった見方がされていたが、現状はまったく違うと、イトーヨーカ堂の鈴木敏文社長は言う。平成6年に大店法の改正があり、大型店の閉店時間が、それまでの19時から20時までに延長され、年間60日については21時まで営業が可能になった。イトーヨーカ堂でも営業時間延長の指示を出したのだが、当初は店長のほとんどが、遅い時間には食品しか売れないとの理由をあげて反対した。なかば強権発動的に時間延長に踏み切ったところ、思わぬ結果が出ている。遅い時間帯で、食品ばかりでなく、アパレル、生活関連用品といった分野の売上が伸びたというのだ。これを深夜の時間帯で実証して見せたのが先の両社といっていい。
これまで深夜のマーケットはコンビニの独壇場だった。しかし、コンビニにも弱点がある。日本小売業協会が実施したアンケート調査に、コンビニに対する不満を尋ねたものがあるが、一番が「品揃え」で二番が「接客態度」、三番「価格」となっている。
こうしたコンビニに対する不満を解消することで伸びてきたのがドンキホーテなのだ。コンビニは売り場面積が30坪程度だからおのずと品揃えに限界があり、置かれている商品は3000アイテム程度。一方ドンキホーテは4万種類もの商品を置いている。それで激安がうたい文句なのだから、同社の安田隆夫社長が、「コンビニに勝っています」と胸を張るのも無理はない。ジーンズメイトの場合には、深夜に限っていえば競争相手はないに等しい。
深夜営業のもうひとつのメリットが、意外かもしれないが効率の高さだ。ジーンズメイト、ドンキホーテともに、営業時間の延長で増加するコストは、売上増加分で充分吸収できているという。両社ともに賃貸での出店が多いが、家賃は8時間営業でも24時間営業でも同じだから、8時間営業の店を24時間営業にすれば、単純には投資コストゼロで3倍の売り場を手に入れたことになる。従来の昼間型の店と24時間営業の店では営業効率が大きく違ってくるのだ。ジーンズメイトでは、早朝の4時から8時にかけて売上が落ち込むのだが、この時間帯は伝票処理や発注等々の作業に当てるので問題はないという。
消費者の多くが、深夜型に行動パターンを変化させてきたのだが、これは小売業以外の業態にも大きな影響を及ぼすといえる。深夜営業の店が夜中の納品を求めるようになると、メーカー、問屋、運送業者も夜中に機能せざるを得なくなってくる。深夜消費族の横行が自社にどのような影響を与えるのかを真剣に考えていただきたい。深夜マーケットは、まだまだ早いもの勝ちの世界だということも付け加えておく。
著者プロフィール
疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰- 日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp
[2000年4月4日 掲載]
- 第1回 徹底したターゲットの絞り込みが元気印企業への道
- 第2回 深夜マーケットが元気印企業を育てる
- 第3回 ハードワーキングこそが成長の原理原則
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