第11回 天災など不可避なリスクのマネジメント
不可避なリスクとは
不可避なリスクとして、地震や台風などの天災があげられます。いずれもわが国では発生頻度の高い天災といえます。地震は建物の倒壊やインフラストラクチャーの破壊だけでなく、さらに火災や津波なども引き起こします。企業においてもこうした不可避なリスクについて対応計画を立てておく必要があります。
日常の準備や訓練が重要
地震や災害が発生した直後は、多くの企業において、その恐怖や受けた被害の巨大さから、次の災害時に備えた準備や訓練がおこなわれます。実際に災害直後には防災グッズが飛びように売れています。しかし、災害から時間を経過するにしたがって、「喉元過ぎれば、熱さを忘れる」という諺のように、こうした非常時への取り組みに対する緊張感がなくなる傾向があります。そして、一般的に企業の災害訓練や非常時の責任者が異動などで交代すると、訓練が形式化したり、頻度が減少するようになります。
非常時後の体制
2004年10月の新潟県中越地震の被災によって、長岡市にある自動車部品会社A社が被害を受け、サプライチェーンに問題が発生しました。部品供給ができなくなり、顧客メーカーの組立ラインが止まったというものです。A社の工場は顧客メーカーの応援でなんとか再開できる体勢ができましたが、別の問題が明らかになりました。従業員の多くが自宅をやられ、出勤できなくなっていたのです。
食料品製造業のB社では、非常時に備えて工場の近隣の消防署と共同で消防訓練をおこなっています。また、社員の消防士資格取得者も増やしています。非常時の対応については、B社のように社内の定期的な訓練だけでなく、地域社会とも連携を確保し、社外組織との共同訓練も必要となってきます。
新潟県中越地震で製造のサプライチェーンに係る問題が発生したこともあり、改めて企業では、防災計画の見直しに加え事業継続計画を整備する動きが活発になっています。地震や台風、また工場火災、製品事故、環境汚染など、企業活動に支障をきたす災害や事故が相次いで発生しています。こうした災害・事故は企業にとって、収益に影響を及ぼすとともに、その対応如何によって、事業の継続、さらには経営の存続そのものを脅かす大きなリスクとなっています。 これらのリスクを最小限に留めるために、単なる防災対策だけではなく、事業をいかに早く復旧させるかという視点に立ったBCP/BCMの構築が重要です。
- 事業継続計画
Business Continuity Plan(BCP)
危機発生時に重要業務を中断しないため、または中断しても可能な限り短い時間で再開するために、あらかじめ策定した計画 - 事業継続マネジメント
Business Continuity Management(BCM)
危機発生時に重要業務を継続するため、事業継続計画(BCP)を立案し、その運用・教育・是正・見直しを行う管理体制
非常時を想定したITインフラの整備
阪神大震災の際には、テレビやラジオといったマスメディアよりもインターネットが重要な役割を果たしたことが伝えられています。とくに被災者の状況や避難先といった個人の安否情報の伝達に大きな力を発揮しました。安否情報は家族や親戚、知人にとって最も重要な情報ですが、マスメデイアでは必ずしも十分に伝えることができませんでした。
ITは日進月歩で進んでいます。阪神大震災時に比べて現在は、携帯電話や無線ネットワークなどの技術は格段に進歩しています。非常時の対応を想定して企業のITインフラを整備し、定期的にレベルアップを図っていくことが望まれます。
中小企業診断士・ITコーディネータ 林 誠
[2008年1月8日 掲載]
- 第10回 新規事業立ち上げに関するリスクマネジメント
- 第11回 天災など不可避なリスクのマネジメント
- 第12回 海外進出のリスクマネジメント
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