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第8回 投資にまつわるリスクマネジメント

投資とは

日常用語になりつつありますが、あらためて「投資」について定義してみましょう。

「投資」とは、収益を得るために金融資産や不動産、設備、事業等に資金を投じることを意味します。今回はこの投資にまつわるリスクマネジメントについて考えてみます。

リターンとリスク

投資から得られる収益(投資結果金額マイナス初期投資金額)のことを「リターン」と呼びます。パチンコや競馬などのギャンブルにおける「今日1万、勝ったよ」「まあトントンだな」「1万、負けたよ」という言葉がまさにリターンを表しています。投資の世界では、投資収益率(収益額÷初期投資金額)もリターンと呼びます。一方、「リスク」は、平均リターンからのばらつき(ぶれ)の大きさを意味します。

リスクを減らすには

もともとリスクの低い、すなわち将来の収益が予想しやすい資産への投資だけを行う方法もありますが、ハイリスクでもハイリターンが期待できる資産への投資をする場合に、リスクを減らすにはどうしたらよいでしょうか。

それには、一つの資産にのみ投資するのではなく、複数の資産に投資を分散し、投資全体の収益を上げていく方法があります。これが「分散投資」です。この場合の資産の集合体を「ポートフォリオ」と呼びます。

金融資産の分散投資においては、銘柄分散とか資産分散(株式や債券など)、セクター(業種)分散、地域分散(国、通貨)、時間分散(短期投資、長期投資)といった観点から、価格変動の関連が小さい資産同士を集め、全体としてリターンを確保するポートフォリオを組むことが重要です。例えば、ある状況下でA資産の価格が上がってもB資産の価格は下がり、逆にA資産の価格が下がってもB資産の価格は上がるということになれば、資産全体としてリスク(ばらつき)を減らすことができます。

投資の意思決定ステップ

金融資産の投資の基本的な手順としては、具体的な投資対象の選択を行う前に、投資環境の分析(期待リターンとリスクとの相関関係の分析等)、投資側の分析(特にリスク許容度の決定)、投資方針の確定、アセットアロケーション(資産の配分)の決定などのステップを踏むことが大切です。事業投資においては、経営戦略との整合性と採算分析がより重要になってきます。

投資実行後のステップ

そして、投資実行後の状況をモニタリング(定量評価や定性評価)し、期待するパフォーマンスが上がりそうにない場合など、状況に応じて、リアロケーション(資産配分の見直し)などを行います。事業投資においては状況により事業の撤退も検討します。

投資にまつわるリスク要因

リスクの要因を分析することも大切です。投資から得られる収益に影響を及ぼすリスク要因には、市場リスク、信用リスクなど様々なものがあります。ここでは、リスク要因を単にリスクと記述しています。

1)市場リスク

金利、為替レート、株価、商品価格など、金融市場における様々な要因が変化することにより、保有する資産・負債の価値が変動して損失を被るリスク

2)信用リスク

与信供与先が倒産等で支払不能になったり、信用状態が悪化したりすることで、債権の回収ができなくなるなどの損失を被るリスク

このようなリスクに対応するには、基本的に、リスクマネジメント体制をつくり、リスクマネジメント方針を策定し、リスクマネジメント計画・実施・評価のしくみを確立し、PDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを回していくことが重要なポイントです。

なお、本稿で説明いたしました分散投資は1)市場リスクへの具体的対策となります。2)信用リスクに関しては、次回「債権未回収のリスクマネジメント」の項で記述いたします。

中小企業診断士・ITコーディネータ 柳生 謙
[2006年1月12日 掲載]


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