![]()
第5回 取引構造変化への対応の実際 -その2
今回は「<1> QCD改善等による業績向上」のうち、「得意分野の工程に特化」した事例について、「中小企業白書(2006年版)」より抜粋し、検討を加えます。
「得意分野の工程に特化」した事例
株式会社 山本製作所(埼玉県、従業員230名)は現社長が1967年に金型専業メーカーとして創業した会社です。現在では、加工分野においてファインブランキングというプレス技術により競争優位を確立し、自動車関係を主な取引先として、特定の系列メーカーに依存することなく、独立系プレスメーカーとして業容を拡大しています。
株式会社 山本製作所様の場合
創業当時の事業である金型は受注変動が大きいという問題があったため、安定受注のため加工分野に進出するとともに、ファインブランキングというプレス技術に特化しました。
特に90年代以降、取引先や同業他社はこぞって海外へ進出しましたが、同社は国内に最新鋭の工場設備を導入し、ファインブランキングに関する設備投資と人材育成を怠りませんでした。
こうしたコア技術への集中が奏功し、高収益体制を確立。上場も視野に入れています。また、地元に立地している日本工業大学の敷地内にファインブランキングセンターという技術研究所を設立し、コア技術の一層の高度化と人材育成にも取り組んでおり、名実ともにファインブランキングを代表する日本のトップ加工メーカーといえます。
同社が、同業他社などの動きに惑わされず環境変化の本質を見抜き、主体的で的確な意思決定をおこなっていることが強く印象に残ります。
ポイント
本事例のポイントは次の通りと考えます。
1. 特定技術への特化と特化する領域の決定
限りある経営資源によりコアコンピタンスを獲得し、競争優位を確立するには、分野や工程・技術などを絞り込み、領域特化をした上で、当該領域に経営資源を集中投入することが必須となります。また、特化する領域を的確に選定する必要もあります。
同社は経営環境を踏まえてプレスという新分野に進出し、さらにファインブランキングに特化するという決断をおこなっています
2. 腰を据えた長期的な投資や取り組み
一時的な投資や短期の取り組みで競争優位の源泉となるコアコンピタンスを獲得するのは困難です。また、獲得したコアコンピタンスを持続し、さらに強化することも不可欠となります。従って投資や取り組みは、将来を見据えて長期的・持続的におこなう必要があります。
同社は、工場の国内立地、設備投資や人材育成、更には技術研究所の設立といった基本的・長期的な戦略を策定し、投資や取り組みを着実に実行し続けています。
次回は「<2> 販路開拓」「<3> 情報交流の促進」に関わる事例を紹介します。
中小企業診断士 島田 豊慈
[2008年3月27日 掲載]
- 第4回 取引構造変化への対応の実際 -その1
- 第5回 取引構造変化への対応の実際 -その2
- 第6回 取引構造変化への対応の実際 -その3
ジャーナル最新のテーマ
お客様の声をお聞かせください

富士通ジャーナルに掲載している記事やコンテンツについてのご意見・ご感想を、ぜひお寄せください。
お寄せいただいたご意見・ご感想については、富士通からの回答をお約束するものではありません。ご了承ください。
なお、富士通からのご回答を必要とするお問い合わせについては、
富士通ジャーナルに関するお問い合わせをご利用ください。





