第12回 現物出資及び事後設立規制の緩和
1.現物出資規制の緩和
株式会社の設立時に、その価額の総額が「資本金の5分の1」以上の財産を現物出資の目的とし、または成立時に譲り受けることを約する場合であっても、その財産の価額の総額が500万円を超えないときは、検査役の調査は不要となります。新株発行の場合の現物出資については、財産の価額の総額が500万円以下であれば検査役の調査が不要とされており( 商法280条の8第1項 )、資本金の5分の1以上であるかどうかにかかわらず、総額が500万円以下であれば不要となる点において同じ取扱いとなります。
また、検査役の調査を要しない有価証券の範囲を「取引所の相場のある有価証券」から「市場価格のある有価証券」に拡大します。この改正は、新株発行の際の現物出資についても、同様とします。上場有価証券に限定されていましたが、店頭市場の有価証券なども対象範囲に含められます。
発起設立の場合の株式会社の設立時の取締役および発起人は、会社成立時の現物出資財産の価額(実価)が定款に定めた価額に著しく不足していた場合のてん補責任を負わされていますが( 商法192条の2第1項 )、現行の規定では過失の有無にかかわらず責任を負う、いわゆる無過失責任です。この点を改めて、取締役および発起人は、財産価格の調査について過失がないことを証明した場合には、てん補責任を負わないとされます。いわゆる過失責任化であり、実質的に責任が緩和されています。これに対して、募集設立の場合は、現行と同様に、無過失のてん補責任が課せられます。
2.事後設立規制の緩和
事後設立規制が大幅に緩和されます。事後設立とは、会社成立後2年以内に、会社成立前より存在する営業用の財産を資本金の5%以上にあたる対価で取得する契約を締結することです( 商法246条1項 、有限会社法40条3項、4項)。事後設立について検査役の調査は廃止されます。
また、株主総会の決議の要否についても、営業全部の譲受けについて決議の要否を判断する基準に合わせるものとされます。
さらに、新設合併、新設分割または株式移転により設立された会社については、事後設立規制が課されないものとされます。
これは事後設立規制の大幅な緩和であり、この改正の持つ意義は大きいといえます。すなわち、この改正によって、企業組織再編、MBO、証券化等がやりやすくなる効果は大きいものがあります。
例えば、従来、新設合併、新設分割、株式移転により設立された新設会社が、設立後2年以内に営業用財産を取得する場合に、この事後設立規制に抵触しないように慎重に対応してきました。このような規制がなくなることにより、企業組織再編のスキームを策定しやすくなる効果は大きいものがあります。また、事後設立規制を免れるために、実務界において行われてきた様々な合理的ではない努力も不要となる点で画期的な改正なのです。
税理士 赤木 甲太郎
[2006年2月22日 掲載]
- 第11回 組織再編行為に関する見直し関係
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