第10回 合同会社(日本版LLC)関係
1.合同会社の仕組み
(1)定款の変更
合同会社の成立後の定款の変更は、原則として社員全員の一致によるものとします。会社の内部関係については組合的規律が適用されるため、会社の基本原則を定めた定款の変更には、社員全員の一致が必要とされます。
(2)社員
社員1人のみの合同会社の設立および存続が認められるとされているため、1人社員による機動的な経営も可能となります。合同会社の社員の氏名または名称および出資の価格は、登記事項とはしません。また、合同会社成立後の社員の入社および持分の譲渡の承認については、それぞれ原則として社員全員の一致によります。
社員の出資は、金銭その他の財産のみに限られ、労務出資や信用出資は認められないとされています。この点は社員の有限責任制に配慮しています。合同会社の社員は、会社の債務について、責任を負わないとされ、この点株式会社と同様の出資額の範囲内での責任が課されます。
(3)社員の取扱い
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 社員の数 | 社員1人のみの合同会社の設立および存続を認める |
| 社員の氏名・持分の譲渡 | 1. 合同会社の社員の氏名または名称および出資の価格は、登記事項とはしない 2. 合同会社成立後の社員の入社および持分の譲渡の承認については、それぞれ原則として社員全員の一致による |
| 社員の出資 | 1. 合同会社の出資の目的は、金銭その他の財産のみに限る 2. 合同会社の社員の出資については、全額払込主義をとる |
| 社員の責任 | 合同会社の社員は、会社に債務について、責任を負わない |
(4)合同会社の業務の執行
合同会社の社員は、原則として、業務を執行する権限を有するが、定款の定めまたは社員全員の同意により、社員の一部を業務執行社員として定めることもできます。法人が業務執行社員になることもできますが、その場合は、自然人を職務執行者として選任する必要があります。
業務執行社員は、合同会社に対して民法の委任の規定に基づく善管注意義務および忠実義務を負います。この点は、株式会社の取締役と同様です。ただし、業務執行社員が合同会社に対して負う責任の減免については、特別の規定を設けないことになっています。
合同会社の業務執行社員の合同会社に対する責任を追及する訴えについては、合同会社の業務執行社員以外の者であっても提起できます。その場合の訴えについては、株式会社の代表訴訟の提起手続等と同様の措置が講じられています。一方、合同会社の業務執行社員の第三者に対する責任については、株式会社の取締役の第三者に対する責任の規定と同様の規定が設けられています。
(5)合同会社の計算
合同会社の社員は、株式会社や有限会社と同様に有限責任ですから、貸借対照表、損益計算書、社員持分変動計算書(注1)を作成しなければならず、債権者はその閲覧または謄写の請求をすることができます。剰余金の分配に関しても、株式会社と同様の財源規制が課せられます。違法な剰余金の分配が行われた場合の分配した社員(その分配に賛成した社員を含む)の責任(商法266条1項1号)および分配を受けた社員の責任(商法266条の2、290条2項)、その責任の減免についても株式会社と同様とされています。
(注1)株式会社の場合の株主持分変動計算書に相当するものと考えられます。
(6)社員の退社
合同会社の社員は、やむを得ない事由があるときは、定款の定めにかかわらず、退社できます。合同会社の社員が退社するときは、その持分の払戻しを受けることができます。
持分の払戻しに際して払い戻す金銭等の額が剰余金の額を超える場合には、業務執行社員の決定(業務執行社員が複数いる場合には、その過半数の同意)をもって、債権者保護手続(帳簿上の純資産額を超えて払い戻す場合には、清算手続に準じた手続(注2)を経て、払戻しを行わなければなりません。上記の手続に違反して払戻しをしたときは、すべての業務執行社員は、その払い戻した額につき弁済責任(過失責任)を負います。
2.合同会社および民法組合等の税務
(1)合同会社の税務
会社法上の仕組み・取扱いは固まりましたが、税務上の取扱いは固まっていません。米国では、LLCは事業体課税とするか、組合員に損益が帰属するものとして構成員課税とするか、納税者が選択できるチェック・ザ・ボックス制が採用されています。合同会社は法人格を有するため、現行の法人税法上は納税主体となってしまいます。何らかの立法手当てがなされない限り、構成員課税の取扱いはできないと考えます。この構成員課税の取扱いについて財務省が強い難色を示しているのが現状であり、経済産業省はLLCとは別に、民法上の組合の特例としての「LLP」(有限責任事業組合)の創設に動いています。LLP制度が導入された場合に、組合に係る税務上の取扱いについて、組合税制を整備していこうという動きが出てくる可能性は高いと考えられます。
(2)組合税制に係る最新動向(平成17年度税制改正を踏まえて)
平成16年12月15日に公表された「平成17年度税制改正大綱」(以下、「大綱」)において、組合税制に関する注目すべき改正点が含まれています。第二の十一「その他」の4に次のような改正内容が示されています。
「民法組合等」とされているが、これは民法上の任意組合だけでなく、現行の投資事業有限責任組合や今後導入されるLLP(有限責任事業組合)も対象範囲に含まれるのかと思われます。早くも節税策を封じる規制措置を手当てするとみることができます。
このような情勢から判断すると、LLPについてはそれ自体が納税主体とはならず、構成員課税の取扱いが適用される一方、節税策に対する厳格な措置を手当てするスタンスのように思われます。
税理士 赤木 甲太郎
[2005年12月22日 掲載]
- 第9回 株式関係 (3)
- 第10回 合同会社(日本版LLC)関係
- 第11回 組織再編行為に関する見直し関係
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