第8回 株式関係 (2)
自己株式の取得
(1)株式の消却
要綱案では、株式の消却については、自己株式の消却という制度のみに整理するものとしています。会社法部会の審議段階で内容が大きく変わった点です。
自己株式以外の株式を消却するには、株式会社が株式を取得したうえで消却するものとされています。株主が株式を保有した状態で消却を行ういわゆる「強制消却」は制度上なくなるものと考えられています。
なお、法制審議会の審議過程の案においては、「定款の定めがなくても、正当な理由がある場合には、株主総会の特別決議によって、株式全部を有償または無償で消却し、または取得することを認める。」とする提案がされていました。これは民事再生法や会社更生法などの法的整理手続において認められている株主全員の一致によらない100%減資を会社法に盛り込むことを提案していたものと考えられますが、最終的に見送られました。債務超過であることの認定の困難さ、などの問題がネックになったものと思われます。
(2)自己株式の取得
市場取引・公開買付け以外の方法による自己株式の取得手続が次のように整理されました。以下の参考表に従って解説します。
(1)の株主総会決議は取得内容の大枠を定めるものであり、1株当たりの取得価格も含めた具体的な買受方法は、(3)の取締役(または取締役会)が決めます。(2)では、株主総会の決議において譲渡人として特定の株主を定めることもできるとされています。現行の「相対取引」に対応する内容です。この場合、他の株主に売主追加請求権が認められている点も現行の取扱いと同様です。
また、譲渡人となる特定の株主を定めないで、株主総会決議を採ることもできますが、その場合は、取締役(または取締役会)は、株主全員に買受内容を通知または公告により知らせて、株主からの取得請求を受けることになります。まさに非公開会社において公開買付けに類似した取得手続が新設されることを意味します。したがって、この新しい取得のルールは、現行の「相対取引」と実質的に同様の側面と、特定の株主を定めないですべての株主を対象として「公開買付け」に類似した仕組みで買い受けるという、非公開会社の現行の制度にない新しい側面とを併せ持った制度であるととらえることができます。
なお、この新しい制度では、(1)の株主総会の普通決議が臨時株主総会でも可能となります。これによって、非公開会社においても、機動的な取得が可能となります。
(参考)市場取引・公開買付け以外の方法による自己株式の取得手続
- 株主総会の普通決議によって、有償取得する株式の種類、総数および総額ならびに1年を超えない範囲内の取得期間((3)で定める1回の取得における条件を付すときは、その内容を含む)を決議し、取締役(取締役会を設置する株式会社にあっては、取締役会)に対して授権することができる。
- (1)の株主総会の決議においては、授権に係る自己株式の取得の際に譲渡人となる株主を定めることができる。
(注)この場合は、株主は、自己を譲渡人となる株主に加えることを請求することができ、(1)の決議は譲渡人となる株主以外の株主による特別決議による。 - (1)の決議後、取締役(取締役会を設置する株式会社にあっては取締役会)は、取得する株式の種類および数、1株当たりの取得価格および取得請求期間ならびに価額の総額を決定し、株主((2)の場合は、譲渡人となる株主)全員に対して通知または公告をする。
- 株主は、(3)の取得請求期間内に、取得を請求する株式の種類および数を株式会社に通知して株式の取得請求をすることとし、株式会社は、請求した株主の株式を取得する。(4)の請求により取得すべき株式の数・価額の合計が(1)の数または総額、(3)で定めた総数または総額を超える場合には、株式会社は、株式を按分して取得するものとする。
税理士 赤木 甲太郎
[2005年10月28日 掲載]
- 第7回 株式関係 (1)
- 第8回 株式関係 (2)
- 第9回 株式関係 (3)
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