第6回 機関に関するその他の主な改正点 (3)
1.会計参与(仮称)制度の導入
会社が作成する計算書類の信頼性を高めることを主な目的とした会計参与制度が、新たに導入されます。会計参与の役割は取締役・執行役と共同して、計算書類を作成することです。監査役や会計監査人のように監査を行うことにより計算書類に信頼性を付与するのではなく、会計専門家が計算書類の作成者側に参加することにより計算書類の信頼性を高めようとする制度です。会計参与の設置は任意であり、株式会社のいずれの機関設計においても設置可能ですが、本来的には、会計監査人が設置されていない中小会社において有効に利用されるものと考えられます。中小会社の円滑な資金調達を促進するため、計算書類の信頼性を向上させることは、従来から重要な課題とされてきましたが、新しい会計参与の制度がこの解決策の1つとして、適切に運用されることが期待されます。
会計参与の制度の概要は以下のとおりです。
- (1) 会計参与の設置と選任等
- 定款で会計参与を設置する旨を定め、株主総会で選任する。任期・報酬等は取締役と同様の規律に従う。
- (2) 資格
- 公認会計士(監査法人を含む)または税理士(税理士法人を含む)。
- (3) 兼任禁止
- 会計参与は会社またはその子会社の役員、会計監査人、使用人等を兼ねることはできない。
- (4) 会計参与の職務等
- ア. 取締役等と共同して計算書類を作成する。
- イ. 株主総会において、計算書類に関して株主が求めた事項について説明する。
- ウ. 会社とは別に、計算書類を5年間保存する。
- エ. 株主および会社の債権者は会計参与に対して、いつでも計算書類の閲覧等を請求することができる。
- (5) 会計参与の責任
- 会計参与の会社・第三者に対する責任は、社外取締役と同様の規律を適用するものとし、株主代表訴訟の対象ともなる。
- (6) 会計参与の登記
- 会計参与を設置した旨、および会計参与の氏名または名称を登記事項とする。
2.会計監査人に関する事項

- (1)会計監査人の任意設置の範囲の拡大
- 大会社以外の株式会社は、定款で、会計監査人を設置することができるものとし、現在のみなし大会社の制度は、廃止することとしています。
現行の小会社においても円滑な資金調達を図るために信用力の増大を目的とし、法律の裏付けられた会計監査人制度を利用したいとのニーズに対応したものです。今後は中会社、小会社の区分がなくなることへの対応がなされたともいえます。 - (2) 監査役会等への会計監査人報酬決定の同意権限付与
- 監査役会または監査委員会に、会計監査人の報酬の決定に関する同意権限を付与することとしています。
従来より、会計監査人の会社経営陣からの独立性を担保するため、その選解任と同様、 報酬に関しても、監査役会または監査委員会が関与する規定を設けるべきとの意見があり、要綱案では、会計監査人の報酬の決定に関する同意権限を付与しています。 - (3) 会計監査人の会社に対する責任
- 会計監査人の会社に対する責任について、株主代表訴訟の対象とし、社外取締役と同様の一部免除制度を導入することとしています。
会計監査人も取締役等と同様、会社が責任追求を怠る可能性は否定できないとの理由から、株主代表訴訟の対象となります。また、自然人である取締役等に比べ資力を有する監査法人に対する濫訴のおそれがあることなどを考慮し、責任の一部免除制度を導入することとしています。具体的には、社外取締役と同様、報酬の2年分を限度とし、定款の定めにもとづく事前契約の方法により免除額を決定することになります。
税理士 赤木 甲太郎
[2005年9月8日 掲載]
- 第5回 機関に関するその他の主な改正点 (2)
- 第6回 機関に関するその他の主な改正点 (3)
- 第7回 株式関係 (1)
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