第4回 機関に関するその他の主な改正点 (1)
1.取締役の会社に対する責任の見直し
現行の商法266条1項1号~5号(図表3参照)に規定されている取締役の会社に対する責任は、5号の任務懈怠責任以外は基本的に無過失責任(故意・過失がなくても賠償責任を負う)と解するのが一般的です。これについては、従来より厳格すぎるとの批判や、多くの部分が過失責任(自己の無過失を立証すれば、賠償責任を負わない)とされている委員会等設置会社の規定との調整が必要とされていました。要綱案では、商法266条1項のこれらの責任は基本的に過失責任とすることとしています。
また、取締役の責任全般につき規定されている商法266条2項(取締役会決議に賛成した者に行為者と同じ責任を課す取扱い)の規定は設けないものとし、個々の責任内容に応じて同様の取扱いの有無を規定することとしています。更に、これらの責任に対しての一部免除や株主の同意による免責決議に関する取扱いの改正も提案されています。
なお、剰余金分配の期末のてん補責任に関しても、後述するように、取締役会における剰余金分配の権限の拡大や分配可能額の算定時の変更が行われることもあり、その取扱いの改正が提案されています(図表3参照)。
| 1.商法第266条第1項による取締役の会社に対する弁済または損害賠償責任の改正 | ||
|---|---|---|
| (1) | 違法配当等(1項1号) | 原則として過失責任とする |
| (2) | 株主の権利行使に関する利益供与(1項2号) | |
| (3) | 取締役に対する金銭貸付(1項3号) | |
| (4) | 利益相反取引(1項4号) | |
| (5) | 任務懈怠責任(法令・定款違反)(1項5号) | 従来より過失責任 |
| 2.期末のてん補責任(商法210条の2等)の改正 | ||
| (1) | 定時総会決議(定款の定めによる取締役会決議の場合も含む)にもとづく分配はてん補責任を課さないことを明確化 | |
| (2) | てん補責任が課せられる範囲や欠損の判定を決算期基準から決算確定基準に変更 | |
2.取締役等の任期についての定め
取締役等の任期については、任期の定めがない現行の有限会社の規定との関係において、どのように定めるかについて部会で活発な議論がなされましたが、以下のように規定することとなっています。
(1) 株式会社(委員会等設置会社を除く)の取締役の任期は原則として2年とし、監査役の任期は原則として4年とする。ただし、株式譲渡制限会社については、定款で、これらの任期を10年まで伸長することができるものとする。
(2) 委員会等設置会社の取締役の任期は、一律1年とする。
3.取締役会における内部統制システムの構築の決定および開示の義務
現行法では、委員会等設置会社は監査委員会の職務の遂行との関連において、取締役会が、いわゆる「リスク管理システム・内部統制システム」を構築することが義務付けられています。しかしながら、上記のシステムの構築は、委員会等設置会社のみならず、会社経営の重要課題であると考えられます。
要綱案では、取締役会設置会社においては、上記の内部統制システム等の基本方針は取締役会の専決事項とし、当該決議の概要を営業報告書に記載することとしました。さらに、大会社については、その基本方針の決定を義務付けることとしています。基本方針の具体的な内容は、現行の委員会等設置会社向けの商法施行規則193条に定められている事項とほぼ同様のものとし、同規定につき所要の整備を行うこととしています。
会社経営におけるリスク管理や内部統制システムの構築とそれらの有効な運用は、ますます重要度が高まっています。証券取引法でもコーポレート・ガバナンスの状況の開示が義務付けられており、今後、これらの開示内容がより注目されることになると思われます。
税理士 赤木 甲太郎
[2005年7月27日 掲載]
- 第3回 設立等に関する規制の緩和
- 第4回 機関に関するその他の主な改正点 (1)
- 第5回 機関に関するその他の主な改正点 (2)
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