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第2回 株式会社と有限会社の規律の一体化

1.現行の株式会社と有限会社を、1つの会社類型(株式会社)として規律

現在、出資者である社員の有限責任が保障された会社形態として、有限会社と株式会社があります。株式会社に関する規律は大規模かつ公開的な会社を想定して厳格なものとなっており、有限会社の規律は閉鎖的な中小企業を想定し、株式会社のものと比べ緩やかな内容となっています。しかし、現実には日本の株式会社の大部分は小規模かつ閉鎖的であり、株式会社に関する規定の多く、たとえば、決算公告、附属明細書の作成などが守られておらず、さらに取締役会や監査役の監督が形骸化されるなど、法規制と実態が著しく乖離している状況が生じています。この状況を解決するために、従来から法制上の対応がなされてきましたが、依然として形骸化の状況は改善されたとはいえません。

要綱案では、このような実態を踏まえ、大部分の株式会社には現在の有限会社的な規律を適用するのが適当であることを正面から認め、株式会社の規律を緩やかな方向に広げることにより、有限会社の規律との一体化を図り、現在の株式会社と有限会社を1つの会社類型(株式会社)として規律することとしています。 なお、有限会社法は廃止されますが、現行の有限会社法に基づいて設立された会社については、新しい会社法施行後も、「有限会社」の文字の使用も含め、現行の有限会社で認められている制度を将来にわたって利用できる措置がとられることになっています。

2.株式会社の機関設計の選択肢の拡大

1で述べたように株式会社と有限会社の規律を一体化した場合に、まず、端的に取り上げられるのが、機関設計のあり方です。現行の株式会社のうち、どのような考え方に基づき、現行の有限会社型機関設計を許容するかの検討が行われました。要綱案では、株式会社を、まず、会社の閉鎖性、すなわち株式譲渡制限の有無で区分し、次に中小会社(現行の大会社以外の会社)か大会社かで区分し、さらに株式譲渡制限会社については、取締役会の設置の有無により分類することとしています(図表1参照)。

図表1 株式会社の分類

それぞれの分類により選択可能な機関設計は図表2のとおりです。
機関設計は現在、原則として資本等の規模により規律されているため、選択肢はほとんどなかったのですが、有限会社型を認めることや、すべての中小会社で会計監査人等の設置を認めること、さらに会計参与の制度の導入などもあり、株式会社の機関設計の選択肢は大幅に拡大されます。

図表2 「株式会社の機関設計」について

(法制審議会現代化部会参考資料17より)

  分類
株式譲渡制限中小会社 (図表1との対応)
(1) 取締役 (A)
(2) 取締役+監査役(注1) (A)
(3) 取締役+監査役+会計監査人   (A)
(4) 取締役会+会計参与   (B)
(5) 取締役会+監査役(注1) (B)
(6) 取締役会+監査役会   (B)
(7) 取締役会+監査役+会計監査人   (B)
(8) 取締役会+監査役会+会計監査人 (B)
(9) 取締役会+三委員会+会計監査人 (B)
株式譲渡制限大会社
(1) 取締役会+監査役+会計監査人   (C)
(2) 取締役会+監査役+会計監査人   (D)
(3) 取締役会+監査役会+会計監査人 (D)
(4) 取締役会+三委員会+会計監査人 (D)
公開中小会社
(1) 取締役会+監査役 (E)
(2) 取締役会+監査役会   (E)
(3) 取締役会+監査役+会計監査人   (E)
(4) 取締役会+監査役会+会計監査人 (E)
(5) 取締役会+三委員会+会計監査人 (E)
公開大会社
(1) 取締役会+監査役会+会計監査人 (F)
(2) 取締役会+三委員会+会計監査人 (F)

(注1)定款により、監査役の権限を会計に関する事項に限定することも可能
(注2)会計参与については、原則として、いずれの機関設計においても任意に設置可能

●は現在、有限会社で認められているもので、新たに株式会社にも認められるもの
◎は現在の株式会社で認められている機関設計
○は現在、中会社のみ認められているもので、新たに小会社にも認めるもの
無印は、今回の改正で新たに認められる機関設計

≪ 機関設計の主なポイント ≫

  1. 株式会社の最低限必要な機関は、株主総会と取締役(1名でも可)です。
  2. 株式譲渡制限のない会社は、取締役会の設置が必須です。
  3. 取締役会を設置しない会社の機関の規律は、原則として、現在の有限会社のものが適用されます。たとえば、株主総会は、強行規定に反しない限り、いかなる事項についても決議することができます。
  4. 取締役会を設置する会社の機関の規律は、原則として、現在の株式会社のものが適用されます。
  5. 取締役会を設置した場合には、監査役(監査役会を含む)、会計参与(株式譲渡制限中小会社に限る)、または三委員会等(指名委員会、監査委員会、報酬委員会、執行役)のいずれかを設置しなければなりません。
  6. 大会社は、会計監査人の設置が必要です。

税理士 赤木 甲太郎
[2005年6月9日 掲載]

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