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第1回 改正の概要と基本方針

平成16年12月8日、法務省から会社法制の現代化に関する要綱案が公表されました。これは、商法の抜本的な見直しにかかり法制化が進められている「会社法(仮称)」の要綱案です。会社法制の体系的かつ抜本的な見直しと各規定の現代語化(ひらがな口語表記)に主眼が置かれており、カタカナ文語表記である商法の会社にかかる部分は、その外見もまた中身も大きく変貌します。

商法の抜本改正に伴って、体系の見直しと会社にかかる規定の結合が進められてきた会社法(仮称)の要綱案は、「基本方針」、「株式会社関係」、「合同会社・合資会社・合名会社関係」、「その他」の4部から構成されており、

  • 株式会社と有限会社を一つの会社類型(株式会社)として統合
  • 設立時の出資額規制(最低資本金)を撤廃
  • さまざまな機関構成(取締役会のない株式会社等)
  • 会社の機関に会計参与(税理士がその資格に)を新設
  • 新たな自己株式取得手続きを新設
  • 合同会社(日本版LLC)の創設
  • 合併対価の柔軟化
  • 事後設立における検査役の調査制度廃止

等様々な変更点があります。

この会社法(仮称)は、平成18年4月の施行を目指して作業が進められており、3月22日の通常国会に「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」(会社法関連法案)として提出されました。

まず、最近の部会における審査状況等をもとに、要綱案に織り込まれる予定の内容のうち改正の基本方針について解説します。

1.形式面での改正(わかりやすさの追求)

条文の片仮名文語体から平仮名口語体への変更、用語の整理、解釈の明確化、あるいは現在の商法第2編、有限会社法、商法特例法の各規定を1つの法典(会社法(仮称))としてまとめ再編成するなど、会社法をわかりやすくするために形式面での改訂を行うことが、現代化の基本方針の1つにあげられています。

2.実質的な改正

今回の改正は、ここ数年積み重ねられてきた改正の集大成的な位置付けとして、体系的、かつ、抜本的に会社法制度の見直しを行おうとするものです。要綱案では実質改正の内容を「会社に係る諸制度間の規律の不均衡の是正等を行うとともに、最近の社会経済情勢の変化に対応するための各種制度の見直し等「会社法制の現代化」にふさわしい内容の実質的な改正を行うものとする」と表現しています。

≪ 諸制度間の規律の不均衡の是正 ≫

近年において会社法制は、短期間に多数回の改正が行われました。その中には議員立法による改正が含まれていたこともあり、諸制度間の規律の不均衡が発生し、諸制度間の整合性を図るための対応が必要とされていました。委員会等設置会社と監査役設置会社の取締役の責任や利益処分の権限の相違に対する調整などが、この例としてあげられます。また、「株式会社と有限会社の規律の一体化」や「会社財産の払戻しに対する横断的規制」なども、制度間の規律の不均衡を是正するための改正と位置付けることができます。

≪ 社会経済情勢の変化への対応 ≫

会社法はその国の経済力を高める重要なインフラであるといわれています。近年の会社法改正は、わが国の経済状況に対応し、経済界等からの強い要望があったファイナンス関係の一層の規制緩和、ストックオプションや自己株式取得の自由度の拡大などを優先的に行うとともに、よりよいコーポレート・ガバナンスが結果的には全体的な経済力を高めるとの考えをもとに、ガバナンスの選択肢の拡大と監督強化が行われてきました。

今回の改正も従来の規制緩和、自由度の拡大などの基本的理念を維持しており、上記の事項に加え、国際的な対応をも含めた企業再編に関する選択肢の拡大や、会社設立時における最低資本金の規制緩和、実務界から要望のあった新しい会社形態(日本版LLC)の創設など、経済政策面への対応がより一層試みられているものと思われます。

また、社会の変化や実態に対処する事項として、新しい企業結合の会計基準への対応や、従来から商法の大きな課題であった株式会社の規律と実態との乖離の問題を解決するため、新しい株式会社制度の提案が行われています。

≪ 情報開示の充実 ≫

このように、今回の要綱案の内容も従来の改正に見られた規制緩和やビジネス上の選択肢の拡大の路線を引き継いでいますが、一方において、このようなさまざまな規制緩和等に対応して、情報開示を充実させることにより、株主や債権者等の利害関係者保護への配慮がなされていることも特徴の一つといえます。いわゆる「合併等対価の柔軟化」における対価の内容を相当とする理由の書面での開示、取締役会限りによる剰余金分配の確定制度における剰余金処分に関する理由書の開示や株主持分変動計算書の作成、また、後述するように、株式会社の機関設計等の規律に関して大幅な緩和が提案されているなかで、決算公告制度は維持されたことなどが、この例としてあげられます。なお、新たに提案された会計参与(仮称)の制度は、中小会社の情報開示の充実を促進する役割をも持っているものと思われます。

税理士 赤木 甲太郎
[2005年5月12日 掲載]

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