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第1回 ~人財って何、人材の確保と育成の基礎知識を学ぶ~
企業人が持つべき人財理解力!
まずは人財力って何か、を理解することから
人と“材料”と書いて、「人材」。しかし近年、人は“財産”=「人財」という考え方が広く浸透してきました。では、“材料”と“財産”の違いとは一体なんなのでしょう? 一般的に“材料”は、ものを作るパーツの元と言えます。“財産”は、すでに価値のあるものとしてとらえられます。
企業は、人によって支えられています。すぐれたリーダーがいても、人財に恵まれず、事業が発展しないという話をよく耳にします。ただ人数合わせで人材がそろったとしても、本当に必要とする能力を持った人財がいなければ、効率は一向にあがりません。ではまず、最近の一般論的な観点から、「いま求められている人財の姿」≒人財力とはどんな能力なのかを再確認してみましょう。
【「人財力」と呼ばれる3つの基本能力】
- 基本能力1.(自分を分析できる≒周囲を見わたせる)=「広い視野」の能力
- 基本能力2.(問題を見つけられる≒問題を放置しない)=「問題解決力」の能力
- 基本能力3.(自分だけで考え込まない≒周りに相談する)=「グループ力」の能力
基本能力1. 「広い視野」とは
- 何事にもアンテナを高く張り、より多く周りの情報に常に関心を持つこと。
- 自分の状況を把握するだけでなく、周囲の状況の把握にも努めて、自分を客観的にコントロールすること。
いずれも「広い視野」と呼ばれているものです。しかし、この2つの微妙なニュアンスの違いが重要なのです。項目1は、自分を中心にして、アンテナをくるくると動かして情報収集しているような姿。項目2では、自分と周囲を、さらに別の場所から見渡して観察しているような絵を思い描いてください。いかがでしょう、「絵」にして言葉のニュアンスを解釈することは楽しいことですが、2つの違いを感じ取っていただけましたか?

基本能力2. 「問題解決力」とは
問題解決学という学問まであるほどで、さまざまな手法が提案されている問題解決の分野。その基本は、基本能力1の「広い視野」を使いこなし、そのうえで何が問題なのか、問題はどこにあるのか、問題を生んでいる問題はなんなのか、といった発見と探索をおこない、それを放置せず分析しようとしなければなりません。
これは「意欲」という発動機によって動作する能力ですので、モチベーションを測る能力ともいえるでしょう。
基本能力3. 「グループ力」とは
- グループとして活動するための協調力と適応力
- グループを動かすリーダーシップ
グループ力には、自分がグループに溶け込むための能力と、グループを動かす力、もしくは刺激を与える力があり、それを両立してこそグループの本領が発揮できるものです。その根底には、コミュニケーション能力などありますが、それは次回以降お話ししたいと思います。
「広い視野」の応用 → 「問題解決力」の成長 → 「グループ力」の発揮。
広い視野で観察することから、問題発見、および問題解決する。それぞれに、自分だけではなくグループ・組織としての力を応用して高速化、効率化、精度アップする。
これらの能力をまんべんなく有している人物像を想像していただければ、人財の理想像=「任せられるアイツ」であることがわかるのではないでしょうか。そして、皆さんがいかに“人財”を欲しているかを再認識することになったと思います。
人財力を求める前に、人材を確保し、方向性を確かめよう!
理想の人財、もしくは人財候補の像は、頭のなかにうまく描けたでしょうか。期待される人材は、人財力の基礎となる能力を有しているだけではなく、経験を積んだ者から見た方向性のチェックと適切な指導があってこそ、期待にそえる人財に成長していくものです。それでは、能力にあふれた新人社員を見つけ出し適切に指導する、人財育成について話を進めていきましょう。
人財の育成にあたっては、どの企業でもさまざまな努力をされていることと思います。「人材育成」チームを編成して啓発から始めてもよし、独自に「人材教育システム」を開発して提供するのも効果があるでしょう。ここで、実際に私がコンサルティングさせていただいた案件のうち、「感情の記録」という手法を用いた事例をご紹介いたします。
ある日、大きな企業のシステム開発とコンサルティングを請負い、業務をこなしておりました私のところに…詳しく申しますとLANケーブルをつなげるために机に潜っていたところに(笑)、その企業の常務さんが近づいて来られました。そして、なにげない立ち話になり、ご相談を受けたのです。
「うちの会社は毎年400人も営業を採用して、数億もの研修費を使っている。けれど、一年以内に300人も離職してしまう。どうにかならないものかね…」
そこで、私はかねてから練っていたシクミについてご説明をおこなったところ、即実行となりました。スタートは簡単です。日報システムに、“今日の調子” “良い要因” “わるい要因”という項目を新設するだけでした。
“今日の調子” = 「気持ち良く仕事ができた」「少しスランプ」…。
“良い要因” = 「よく頭が回転した」「アポのタイミングが良かった」…。
“わるい要因” = 「トークがさえなかった」「他のスタッフとの意識合わせが不十分だった」…。
上記が、各項目のマスターの一例です。システムを稼働させて3カ月後、各営業スタッフのデータをグラフ化します。すると、いままで見えなかったものが見えてきたことに、常務さんに感心していただけました。
ある新人営業スタッフの例として、入社当初、営業がうまくいかなかった日の“わるい要因”には、「商品知識が不十分であった」などと、自己反省の意識がよく表れていました。ところが時が経ち仕事に慣れていくうちに、「商品の競争力が低い」「宣伝効果が弱い」というように、営業成果が上がらない原因を、会社、社内に向けて増えていく傾向がデータとして見えてきたのです。
その他、いくつかの「要注意パターン」を洗い出したうえで、人事部のご担当者にお願いし、該当する各新人スタッフと面談していただくことにしました。面談といってもごく簡単なものです。新人スタッフの思っていることが、「自己中心的な不平不満に近いもの」なのか、「的確な視点による会社に対する改善点・問題点の指摘に近いもの」なのか、といったことを丁寧に聞き取るという作業です。
この面談作戦を、3カ月ごとにおこなっていただいた結果、400人中、300人が…離職しなかった!のです。この結果に驚かれた常務さんは、満面の笑みで私を呼んで言いました。
「やりすぎですよ!」
この面談で何が起きたのでしょう。
向上心は、その方向性をうまく見出し適切に誘導しないと、間違った勢いの元になってしまうことがあります。問題点を見つけても、新人では口に出しにくい、解決できない。そんなフラストレーションが自己の内面に蓄積されると、能力のあるスタッフほど息苦しくなるといったことが起きます。
この面談は、フラストレーションの吐き出し口であるとともに、会社はあなたを認めているよ、というメッセージでもあるのです。当然、会社としても的確な問題点の指摘は情報資源となるメリットもあります。

営業成績、特に達成率や数値目標だけでなく、感情やイメージに由来するデータを同時に記録し、定期的に分析、面談する。適切な誘導は、まるでカウンセラーの仕事のようなものです。そして経緯を見つめ、必要なスタッフから丁寧に話を聞くことからはじまります。
このときの面談する側の気持の持ち方は、「彼or彼女のために、どうしてあげられるだろう」「どのようにさせてもらえば、気持ち良く仕事をしてくれるだろう」ということを忘れないことが大切です。最近では、部下をどうやって使おうか、という考え方から、部下にどのように上手に仕事してもらおう、という考え方にシフトしてきています。
このような概念を、上司がサーバーになって、部下を引っ張っていくというところから「サーバント・リーディング」と呼ばれています。
また、精神的な面を踏まえたうえでの指導でもある、という意味からは、「メンタル・リーディング」「メンタル・コーチング」と呼ばれることもあり、上司が部下に何がしてやれるのか? という観点からの指導法に関するさまざまな書籍も数多く出版されていますので、ぜひ、参考にしてください。
連載第1回は、人財力の基本になる能力と人材の確保と人財への指導、そしていまの時代だからこそ誰もが再認識していただきたいメンタル面にも少し触れ、「企業の人財理解力」について、お話しさせていただきました。人財育成はもちろん、先輩たちも含め今一度「人財」としての基本能力を検証するとともに、組織として人財育成の仕組みづくりに立ち向かう姿勢を示すことが重要であることを再発見してみてください。
次回は、自身の能力向上の突破口を見つけるための「キロク力」について、お話していきたいと思います。
[2008年11月4日 公開]
著者プロフィール
- 山岡 敬章(やまおか たかあき)
株式会社ワイズシステム 代表取締役 1964年生。経営(新規事業・販売促進・戦略人事)および、知的財産、ITシステム コンサルタント。
http://www.wides.com/yamaoka.htm

- 第1回 ~人財って何、人材の確保と育成の基礎知識を学ぶ~ 企業人が持つべき人財理解力!
- 第2回 ~人財育成のためのメンタル基礎知識~ 自分チェックからはじめるキロク力育成法
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