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第4回 営業キャッシュフローを管理する(売上債権編)
1.売上債権の増加はキャッシュを減らす
前回のテーマである在庫と同様に、売上債権の増加も営業キャッシュフローを減少させる原因となります。先方の資金繰り悪化などの理由により当初の予定よりさらに回収期間が伸びてしまったり、最悪の場合は貸倒れにより回収不能という事態にもなりかねません。資金繰りに余裕の無い企業の場合は、日々の入金に神経を集中しているはずですから、売上債権の管理をしていない、というようなことは無いはずです。売上債権の管理は、売上が伸びている成長中の企業が気をつけなければならない問題です。それこそ、売上はあがって利益も計上されているのに、資金ショートで「黒字倒産」という最悪の事態を招くかもしれません。
2.売上債権の持つ意味を考える
現金商売である業種以外では、売上代金の回収は商品等の引渡しよりも後になることが一般的です。会計上、売上は発生主義で計上するため、それと同時に売上原価も認識され、代金を受け取っていないにもかかわらず利益が計上されます。このことが、利益とキャッシュが違う、という一因です。通常の営業循環で言えば、売上→売上債権→キャッシュという流れになるので、売上が増加すれば当然売上債権も増加します。そのため、営業活動によるキャッシュフローを見て、売上債権の増加がキャッシュ減少の原因であるとわかっても、すぐに問題であるとは判断できません。前回述べたような財務分析手法を用いて、売上債権の資産効率を判断する必要があります。売上債権回転率の算出式は、売上高÷売上債権です。売上債権の絶対額が増加してキャッシュを減少させる原因になっていたとしても、同じ割合で売上高が増えていれば、売上債権回転率の数値は前期と同水準になるはずです。これが悪化しているのなら、早急に売上債権の増加原因を突き止め、対処する必要があります。同水準であるか、あるいは改善している場合、次に考慮しなければならないのは資金繰りです。これには、短期の支払い能力を表す財務指標である当座比率(または流動比率)を分析する必要があります。
当座比率=当座資産(流動資産-棚卸資産)÷流動負債×100(%)
流動比率=流動資産÷流動負債×100(%)
当座比率については100%以上、流動比率は200%以上あることが望ましいとされています。売上債権の増加について、資産効率で分析しても、短期の支払い能力で分析しても問題ないという場合は、売上増加に伴って必要なものであり、資金手当ても適切になされているので喫緊の課題ではないと判断できます。
3.代金回収までが営業活動である
売上債権回転率が悪化しているような場合は、取引先別、あるいは営業担当者別などで売上債権の残高を把握することによって原因を正しく特定する必要があります。売上債権回転率が悪化しておらず、適切に資金手当てがなされていれば喫緊の課題でないとは言え、手当てした資金は遠からず支払わなければなりません。支払は必ずやってきますが、回収は自ら働きかけないと実施されない可能性があります。また、売上至上主義で、売上を上げることが営業マンの評価基準になっているような場合は、回収可能性を無視して契約だけ取り付けてしまう、というような行為を暗に助長してしまうことが考えられます。こういったことの結果は、最終的に会社の損失となって返ってきます。販売したらキャッシュで回収するまでが営業活動であり、営業キャッシュフローをしっかり稼ぐことになるという意識を持つことが重要です。
中小企業診断士 那智久代
[2007年1月25日 掲載]
- 第3回 営業キャッシュフローを管理する(在庫編)
- 第4回 営業キャッシュフローを管理する(売上債権編)
- 第5回 投資キャッシュフロー・財務キャッシュフローを管理する
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