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第2回 営業キャッシュフローを管理する(利益編)
1. 間接法と直接法
キャッシュフロー計算書には、間接法によるものと直接法によるものがあります。
投資キャッシュフローと財務キャッシュフローは、間接法によっても直接法によっても同じものになります。変わるのは営業キャッシュフロー計算書の構造です。間接法、直接法それぞれにメリットやデメリットがあるのですが、「キャッシュの増減の原因を特定して正しく対処する」ためには、間接法による営業キャッシュフロー計算書を活用します。間接法による営業キャッシュフロー計算書は、税引前利益からスタートし、利益とキャッシュの差額を減価償却費、売上債権、棚卸資産、仕入債務等の項目で埋めていく仕組みになっているため、キャッシュのプラス・マイナス要因が細かく把握できるからです。
間接法による営業キャッシュフロー計算書の項目(例)
| 税引前当期利益 |
| +減価償却費 |
| -特別利益 |
| +特別損失 |
| -営業外収益 |
| +営業外費用 |
| -売上債権の増加 |
| -在庫(棚卸資産)の増加 |
| -その他流動資産の増加 |
| +仕入債務の増加 |
| +その他流動負債の増加 |
| 小計 |
| 利息及び配当金の受取額 |
| 利息及び割引料の支払額 |
| 法人税等の支払額 |
| 営業キャッシュフロー |
2.営業キャッシュフローの源泉は「利益」
間接法による営業キャッシュフロー計算書からわかるのは、営業キャッシュフローの源泉は「利益」であるということです。これは単に計算書の構造上の問題ではありません。直接法によっても、営業キャッシュフローは売上収入から仕入費用など諸々の費用を差し引いたもの、つまり(キャッシュベースでの)利益になります。利益がしっかり残せないと、営業キャッシュフローはスタート段階からマイナスとなってしまいます。利益がしっかり残せているか、昨年より減っているならその原因は何かを分析するには、伝統的な財務分析指標である「売上高対利益率」が有効です。
売上高対総利益率=売上総利益÷売上高×100(%)
売上高対営業利益率=営業利益÷売上高×100(%)
売上高対経常利益率=経常利益÷売上高×100(%)
これらの指標を前期比較して悪化原因を突き止め、その解決策を実施します。また、自社内での比較だけでは競争環境に勝てないので、ライバル企業や目標とする企業と比較してその差を埋めるような対応策を考えていくことも必要です。
3.売上高対利益率指標の分析
売上高対総利益率が低下している、他社に比べて低いということは、原価が高いか、あるいは販売単価が低いことを意味します。原価が高い場合は仕入先との交渉や生産効率の向上などで原価低減を図る必要があります。販売単価が低い場合は、値上げをしてしまうと販売個数が減って結果として売上が減少する可能性があります。値上げが可能なのは、その分だけ「付加価値がある」と顧客が認める場合のみです。付加価値の高い商品を開発するなど、利益率の高い商品の売上構成比を高めていく必要があります。
売上高対営業利益率が低下している、他社に比べて低いということは、販売費及び一般管理費(以下、販管費)が高いということが考えられます。販管費の中で金額の大きい費用の売上高に占める割合(売上高費用比率)を算出し、比較する必要があります。販管費で大きいものは、減価償却費や人件費です。減価償却費は過去の投資の結果なので削減はできませんし、キャッシュフローではプラス項目なのでここでは考慮する必要はありません。ここでは、キャッシュとして出て行く費用の多寡を分析します。売上高対人件費比率が悪化している場合は、人件費の高止まりや人材の活用が非効率であることが考えられます。配置の見直しや人件費の見直しなど、人事施策の実施が必要となります。
売上高対経常利益率が低下しているということは、金融費用が利益を圧迫していることが考えられます。余計な借入金は無いか、利率の高い契約は無いかなど、資本政策との関連も視野に入れながら見直す必要があります。しかしながら、長期の借入は実施してしまったら変更はできない、というのが実情でしょう。だからこそ、長期借入金によって設備投資などを行う際には、しっかりと採算性を分析する必要があると言えます。
中小企業診断士 那智久代
[2006年11月28日 掲載]
- 第1回 キャッシュフロー計算書の役割
- 第2回 営業キャッシュフローを管理する(利益編)
- 第3回 営業キャッシュフローを管理する(在庫編)
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