第3回 インターネット・ブランディング -コミュニケーション編-
ホームページを上手に使って信頼づくり!
かつては、企業がホームページを持てば、それだけで様々なビジネス機会が生まれるというような幻想が持たれていた時代もありました。今ではそのように信じている企業はさすがに多くはないと思いますが、「他社と遜色のないホームページを作ったはずなのに、効果が上がらない」と嘆いている企業は、まだまだ少なくないのではないでしょうか? インターネットは新聞や雑誌、テレビなどに比べれば、はるかに手軽でコストもかからない便利なコミュニケーションツールです。しかし、見栄えの良いデザインだけでは、お客様との信頼(=ブランド)はなかなか築けません。企業がホームページを通じてブランドイメージを確立するためには、そこから先の戦略が大切なのです。特に心がけたい点について、以下にまとめてみました。
インターネット・ブランディング、はじめの一歩
1.大事なページの更新は、外注業者に任せず、できるだけ社内で対応する。
社内にせめて1人~数人はWEB選任の担当者を置きたいが、それがままならない場合でも、CGIやブログ(ホームページを作るスキルがなくても、ブラウザ上から掲示板に書き込む要領で、日記の公開やページ更新などができる。企業サイトでは、インフォメーションやニューストピックスなどに便利)など、社員がスピーディーに更新できるような構造を採り入れる。
2.お客さまからの問い合わせメールには即座に対応する。
メールへの反応の早さは大切なポイント。その対応のスピードで会社のイメージが変わる。すぐに回答が出せない場合でも、「早急に調査して、○日頃ご返答いたします」といった返信メールをすぐさま送りたい。
3.メールマガジンの発行や、関連分野のコミュニティーページを設ける。
単なる商品案内ではなく、関連の役立つ情報を提供し、交流が持てる場を作りだす。
4.大切なことが明確に伝わるように、サイトの構造をデザインする。
あれもこれもと並列的に扱うのではなく、優先順位をしっかり決め、ユーザーが欲しい情報に最短で辿り着けるようにページを作っていく。
5.どんな情報がお客さまの興味を引いているのか、その反応を把握する。
問い合わせフォームにアンケート項目を設けたり、ページごとのアクセス解析をとるなど、反応をすくい上げる努力をする。
まず、これらを実現することが、真のインターネット・ブランディングにつながっていきます。WEBを効果的に使い、ブランディングに成功した3つの事例をご紹介しますので、サイト構築の参考にしてください。
写真好きのためのコミュニケーション広場を提供
カメラのキタムラ http://www.kitamura.co.jp
株式会社キタムラは、全国に約550店舗を展開するカメラ専門の量販店です。カメラ初心者からマニアまで確実に顧客の心をつかみ、事業を拡大していますが、激しい同業他社との競争に勝ち抜くため、WEBでの展開にも力を入れています。
ホームページを単なる販売窓口としてだけではなく、「写真生活応援サイト」と位置付け、それぞれの店舗とお客さまをつなぐコミュニケーションの場として展開しています。ショッピングのみならず、写真に関わる情報提供や、ユーザーが意見交換できる掲示板、各種コンテストの開催など、楽しいコンテンツが盛りだくさんです。
また、中古カメラの在庫検索は特に秀逸で、全店の最新在庫情報を検索できるため、膨大な数のデータからお目当ての商品を探し出すことができます。ここまで大量の中古カメラ情報を集めたデータベースは他にないのでは?ネットで探した商品は、近くのショップで手にとって確認でき、ネットとリアルショップの上手な組み合わせで新たな販売チャンスをつくりだしています。
シンプルなサイト構造で、アピールポイントを明確に
株式会社久米設計 http://www.kumesekkei.com
久米設計は軽井沢の万平ホテルをはじめ、恵比寿ガーデンプレイスや長野オリンピックのエムウェーブなど、数多くの有名建築物を設計した70年以上の歴史を誇る建築設計会社です。日本国内では有名でも、海外ではまだまだブランドが確立されていないのが実情でした。特に、オリンピックや万博の開催が予定されている中国では、世界中の企業が支社や工場の建築のために設計会社を探しています。そして、それら海外企業の多くは、ファーストコンタクトをホームページから行うのです。
そこで久米設計では、海外マーケットを強く意識し、実績紹介をメインとするホームページを英語と中国語で構築しました。あれもこれもと詰め込むのではなく、トップページからすぐに最新の建築実績にアクセスでき、短時間でその設計力・デザイン力の高さが感じ取れる構成になっています。
店長の人間味あふれるメルマガで爆発的人気
ワイナリー和泉屋 http://www.rakuten.ne.jp/gold/wine/
ワイナリー和泉屋は、オンラインショッピングモールの中で、何度も表彰を受けている有名オンラインワインショップです。現在ではワインだけで150ものショップがひしめくオンラインショッピングモールのなかで、なぜワイナリー和泉屋は月商数千万円を売り上げ、インターネット上に確固たるポジションを築くことができたのでしょうか?商品は他店舗でも扱っているワインであり、「一本3000円のワイン」は「一本3000円のワイン」にしかすぎないはずです。
その秘密は、お客様との信頼を確立するために、店長自ら毎日のように発行するメールマガジンにあったのです。そのメールマガジンには、海外のワインセラーを訪れて見つけたワインへの熱い想いが溢れていますが、決して気取ったものではなく、庶民的な視点で書かれています。普通の家庭では「ワインを楽しむ」といっても、毎日フレンチレストランやイタリアンレストランのような食事をしているわけではありません。そこで「今年豊漁のサンマに合う廉価ワインはこれ」というような、普段の食生活のシチュエーションに合ったワインの楽しみ方を提案してくれるのです。これなら無理なくワインを楽しんでみよう、という気持ちになりますし、なにより店長やお店がとても身近な存在と感じられ、さらにはそれが信頼へとつながっていきます。
WEB上でのブランドの確立には、上手なITツールの利用と、「どのようにお客様とコミュニケーションを行い、信頼を築くか」という戦略とのバランスが重要なのです。
著者プロフィール
雨宮 和弘(あめみや かずひろ)
クロスメディア・コミュニケーションズ有限会社 代表取締役社長- 1983年、日本テキサス・インスツルメンツ株式会社入社、コーポレートコミュニケーションおよびPRマネージャー。日本におけるインターネットの商用利用サービス開始と同時にインターネットによる日本初の人材採用ホームページを作成、その後日本TIの初代ウェブマスター。1996年インテルジャパンに転職、コーポレートマーケティング部にて同社のインターネット企画運営を担当。1999年クロスメディア・コミュニケーションズ有限会社として独立、現在に至る。
http://www.crossmedia.co.jp/
- 第2回 B to B ブランド構築
- 第3回 インターネット・ブランディング -コミュニケーション編-
- 第4回 インターネット・ブランディング -広報編-
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