モバイルWiMAX(ワイマックス)のトータルソリューションをご提供
2009年の商用サービス開始に向けて

富士通では、2009年初頭のモバイルWiMAX商用サービス開始に向け、端末向けチップセットや世界最小の屋外用基地局装置「BroadOne WX300」など、モバイルWiMAXの関連製品やソリューションの開発を進めています。
安価に高速アクセスできる無線システム
2.5GHz帯を利用した広帯域移動無線アクセスシステム(BWA)の周波数割り当てが2007年末に総務省から発表され、2009年初頭の国内商用サービスに向け、日本でもいよいよ「モバイルWiMAX」が動き始めました。
モバイルWiMAXとは、米国電気電子技術学会で標準化された「IEEE802.16」規格のなかの「IEEE802.16e-2005」を指し、WiMAX Forumによってモバイル用システムプロファイルとして定義された「Mobile WiMAX System Profile V1」規格を言います。富士通は、モバイルWiMAX機器間の相互運用性のテストや認定をおこなう業界団体「WiMAX Forum」に2002年からボードメンバーとして参加し、モバイルWiMAXの規格立案に積極参加してきました。
モバイルWiMAXの大きな特長は、無線LANの“高速性”とセルラー系システムの“移動性”を兼ね備え、屋外の移動環境において無線LANと同等の情報伝送性能を実現できることにあります。
セルラー系では、次世代通信規格としてLTE(注1)が注目されていますが、現時点では実験段階にとどまっており、実際のサービス展開には数年かかると見られています。一方のモバイルWiMAXは、各社から対応端末が次々と発表されるなど、市場は活性化しつつあります。

また、モバイルWiMAXのカバーエリアは、一般に500m~5kmと言われており、セルラー系と無線LANのちょうど中間に位置します。そのため、大規模で複雑なセルラーよりも低コストかつ短期間で導入可能であり、エリアの狭い無線LANよりも基地局が少なくて済みます。この特長を生かし、都市部では双方のエリアを補完する技術として、また物理的に有線敷設が困難な山村部など、デジタルデバイド地域における有線ブロードバンドの代替手段として、現在もっとも注目が高いソリューションとなっています。

チップからシステムまでのトータルソリューション
富士通では、セルラー系で培ってきた技術と総合力を生かし、モバイルWiMAXシステムに必要な基地局や端末向けの半導体など、チップからシステムまでのトータルソリューションをお客様にご提供すべく、モバイルWiMAXに関する技術開発をグループ全体で進めてきました。
2008年2月には、世界最小のモバイルWiMAX端末向けRF(高周波処理)モジュール「MB86K71」を発売し、ついで6月には、ベースバンド、RF、電源の3つのモジュールが一つになったチップセットを発売しました。
ベースバンドLSI「MB86K22」には、富士通の65nm世代CMOSプロセス技術を採用し、動作時の消費電力を従来製品と比較し36%削減したほか、未使用回路ブロックの電力を遮断する独自のパワーゲーティング技術「CoolAdjust-PG」によりモジュール全体でのスタンバイ電流を0.5mAまでに抑えています。また、RF「MB86K52」は、日本の2.5GHzに加え、欧州向けの3.5GHz、カナダや東南アジアを始めとする各国の2.3GHzと、3つの周波数帯をカバーしています。
これらの開発により、端末ベンダー様は、グローバル使用が可能な小型かつ低消費電力のモバイルWiMAX端末を短期間で開発することが可能になります。モバイルWiMAX端末向けのチップ開発をおこなっている国内ベンダーは富士通だけということもあり、国内外の端末ベンダー様から多くのお問い合わせをいただいています。

また基地局装置においても、重さ約20kg、容積約20Lという世界最小のモバイルWiMAX用屋外用基地局装置「BroadOne WX300」を開発しました。同製品はすでに、総務省からネイションワイドで事業免許を交付されたUQコミュニケーションズ株式会社(注2)様のWiMAX事業での採用が決定しています。
「BroadOne WX300」の最大の特長は、世界最高水準の高効率増幅器にあります。小型化(省スペース化)、軽量化、低消費電力化、静音化および高信頼化(メンテナンスフリー化)をはかることができる高効率化は、基地局装置の性能を大きく左右するものです。また、電力設備や空調設備など、モバイルWiMAXシステムの付帯設備の小型化、低コスト化にもつながります。
富士通ではKDDI株式会社様とかねてより高効率増幅器の開発に共同で取り組んでいました。今回発表された「BroadOne WX300」は、出力電力25W、動作周波数2.5GHz帯と、従来製品の2倍にあたる約30%の電力効率の送信電力増幅器を採用しております。

2008年5月、ドイツ・ミュンヘンで開催された「WiMAX World EMEA 2008」において「Best of System Design賞」を受賞、ついで6月には米国ラスベガスで開催された「NXTComm Eos Award」において「Wireless/Mobile Technologies and Applications」部門で表彰されるなど、世界的にも業界および専門家のなかで高い評価を受けています。「BroadOne WX300」は、地域系WiMAXへの展開も見据え今後さらに性能の向上とラインナップの拡充を目指します。

モバイルWiMAXで実現する新たなサービス展開
WiMAX元年とも言える2009年に向け、富士通ではモバイルWiMAX技術をお客様のビジネスにご活用いただけるよう、さまざまなソリューションをご紹介していきます。
モバイルWiMAXの特長を生かしたビジネス一例として、携帯電話ですでにおこなわれている、無線を使ってファームウェアやアプリケーションをアップデートするOTA(Over The Air)機能を、モバイルWiMAXを利用して家電を含むあらゆる機器に拡張することが考えられます。機器にWiMAXの無線モジュールをあらかじめ組み込んでおき、バグフィックスやアップグレードの必要が発生した時点でデータを自動送信することにより、製品回収などの膨大なコストを回避するといった効果があります。

また、モバイルWiMAXには放送モードがあらかじめ備えられていることから、公共の交通車両内で次の停車駅の情報を流したり、地方自治体が行政情報を市民に放送したりといったローカル放送サービスへの活用も注目されています。
この他、複数のユーザー間で楽しめるオンラインゲーム、モバイル環境からホームサーバにアクセスして自分が撮影した映像を見ることができるサービスなど、高速かつ安価なアクセスを利用した新しいサービスの展開が可能になります。
モバイルWiMAXで快適な社会を目指して
富士通では、今日の社会が抱える問題を通信で解決する大きな枠組みとして、モバイルWiMAXを活用したソリューションのご提供を目指しています。

「ヘルスケア」の問題では、たとえば救急車にモバイルWiMAXを搭載し、医師が患者の状況を事前に把握して到着と同時に処置にあたれるよう、搬送中に患者の情報を病院に送るといったことが可能になります。
「デジタルデバイド」の問題では、基地局と端末を置くだけで低コストかつ短期間で導入できるモバイルWiMAXで当該地域のブロードバンド化を実現できるようになります。
また「地球温暖化」の問題では、より臨場感のあるテレビ会議が低コストで導入可能なことから、交通機関の利用を減らしてCO2削減に貢献すること、さらに「安心安全」の問題では、地震などの災害時にモバイルWiMAXの基地局を一時的に設置して救援活動に役立てるといったことも可能になります。
このように富士通では、WiMAXシステムの高速データ性を生かしたソリューションを開発することによって、皆様の生活や企業活動に密着したサービスをご提供したいと考えています。
注記
- (注1)LTEとは:
- Long Term Evolution(ロング ターム エボリューション)略で、「Super 3G」とも呼ばれる。複数のアンテナを利用することにより100Mbps以上の高速通信可能とされる。
- (注2)UQコミュニケーションズ株式会社とは:
- KDDI株式会社、インテルキャピタル、東日本旅客鉄道株式会社、京セラ株式会社、株式会社大和証券グループ本社、株式会社三菱東京UFJ銀行が、ワイヤレスブロードバンド事業を運営するために設立した会社。(敬称略)
[2008年9月1日 公開]
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