Fujitsu The Possibilities are Infinite

 

  1. ホーム >
  2. 富士通ジャーナル >
  3. 差のつくビジネススキル >
  4. ビジネスシーンで好かれる言葉・嫌われる言葉 >
  5. 第4回(最終回) 今日からできるコミュニケーション力を上げる習慣

第4回(最終回) 今日からできるコミュニケーション力を上げる習慣
 ― 相手も自分も大切に、言葉を変える・視点を変える ―

本コラムもいよいよ最終回となりました。今回は、コミュニケーション・スキルを高めていただくために、自分も相手も大切にする「アサーティブ・コミュニケーション」をご理解いただき、自身の言葉グセ、思考のクセを改善する方法についてお話ししていきます。

ビジネスにおいては、取引先、上司・部下といった立場の異なる相手に対して、自分の考えを伝える(主張する)ことが必要な場面があります。けれども実際には、言いたいことを言えずに萎縮(いしゅく)してしまったり、反対に自分の意見を押し通そうとして威圧的になってしまうことがあるのではないでしょうか。コミュニケーションが上手くいかない原因を作り出しているのは、自分自身です。自分の考えを上手に伝えることができれば人間関係を円滑に保ち、組織やチームをよりよく機能させることができるのです。


コミュニケーションの取り方には、3つのタイプがある

では、まず、あなたのコミュニケーションのタイプをチェックしてみましょう。

【質問】注文した商品が期日までに届かなかった時、あなたはどうしますか?

A. 「一体どうなっているんだ!今すぐ持って来い!」と怒鳴る。
B. 相手のミスに対して何も言えず、泣き寝入りする。
C. 「本日着で依頼をしましたが、届いておりません。お調べいただけますか?」と冷静に頼む

あなたはどんな対応をとりますか?

コミュニケーションの取り方には、3つのタイプがあります。

A.「私はOKである。あなたはOKでない。」周囲と違っていても自分の意見を言える人→攻撃的タイプ

要求が通り満足しますが、先方は自分がミスをしていたとしても侮辱(ぶじょく)された感じで不愉快な気分になります。一見はっきりと物を言っているようにみえますが、相手の犠牲のうえに立った自己表現です。

B.「私はOKでない。あなたはOKである。」自分より他人を尊重しようとして、相手に合わせてしまう人→非主張タイプ

先方には何も言わないで我慢してしまいます。心では、「もう信用しないぞ」と思っていますが、笑顔で受け答え。何も言えない自分に落ち込んでしまいます。

C.「私はOKである。あなたもOKである。」自分の気持ちや考えを相手に伝えると同時に、相手のことも考慮できる人→アサーティブタイプ(アサーティブとは、自分も大切にし、相手も同じように大切にする態度をいいます。)

「本日着で依頼しましたが、まだ届いていないようです。」と、先方に事実を伝え、「お調べいただけますか?」と丁寧に頼みます。届かなかった理由を確認し、対策を練ることができます。

コミュニケーションの取り方3つのタイプ。A. 攻撃的タイプ。基本姿勢:自分を主張。傾向:断定的・相手に指示。態度:威圧的・高圧的。言語表現:「私は~だ」。「~すべきだ」。「それは違う」。声:語気が強い。早口・大きな声。B. 非主張的タイプ。基本姿勢:相手を優先する。傾向:服従的・依存的。弁解がましい。態度:相手の目を見ない。おどおど。言語表現:「私は~」と言えない・黙る。「多分~」。「そうかもしれません」。声:声が小さい・元気がない。しどろもどろになる。C. アサーティブタイプ。基本姿勢:相手も自分も大切にする。傾向:明確な自己主張。柔軟・自発的・積極的。態度:背筋を伸ばしてリラックスした態度。言語表現:適度に「私は~」と言える。曖昧な言葉は使わない。「私はそう思いますが」。声:ゆったりと落ち着いて相手に合わせて、聞き取りやすい。

自分も相手も大切にする「アサーティブ・コミュニケーション」

前述の「A. 攻撃的タイプ」「B. 非主張的タイプ」のような対応では、相手の気持ちを損ねてしまったり、言いたいことが伝わらず発展はありません。理想はやはり「C. アサーティブタイプ」です。自分も相手も大切にして意見を述べることは、お互いが気持ちの良い状態であるため意見交換が進み、そこから新しい何かが生み出されることになります。

C. のように「アサーティブ」な態度で相手の意見を尊重しつつ、上手に自分の考えを素直に主張(自己表現)することを「アサーティブ・コミュニケーション」といいます。コミュニケーションが上手くいくと組織やチームもよい方向に進み、信頼関係が築かれていくのです。

では、どうすれば「アサーティブ」でいられるでしょうか? 日ごろの言葉グセを見直しながら、改善法をご紹介しましょう。

自分の気持ちを上手く伝える「I(アイ)メッセージ」

相手の気分を損ねず、自分の気持ちを上手く伝える効果的な方法として、「私」に視点をおいて話をする「I(アイ)メッセージ」という方法があります。

私は(I)~ → こう思う/こう感じる/このようにして欲しい/このようにしたい

「I(アイ)メッセージ」で表現すると、責任の所在が私=I(アイ)となるため、相手を責めたり侮辱(ぶじょく)する言い方になりません。ですが、相手を視点にした「YOU(ユー)メッセージ」はしばしば問題を起こします。

お前は(YOU)~ → 間違っている/改めるべきだ/そうすべきだ

「YOU(ユー)メッセージ」は、相手が自分に対する非難の言葉として受け取ってしまいます。これは「A. 攻撃的タイプ」に見受けられる傾向ですね。

【I(アイ)メッセージ、YOU(ユー)メッセージの使用例】
YOU(ユー)メッセージI(アイ)メッセージ
「資料作りに(お前は)一体いつまでかかっているんだ!」「例の資料、明日までに仕上げてもらわないと(私は)困るんだけど、状況はどうかな」
「(お前は)もっと部下の気持ちを考えろ」「チームリーダーの君がもう少し部下の言うことに耳を傾けたらどうだろう?
そうすれば、彼も素直に反省すると(私は)思うんだがね」

「I(アイ)メッセージ」を伝える際は、「何のために」「どうさせるべきか」ということきちんと捉えたうえで伝えましょう。

言葉を受け入れてもらい、わかりやすいように伝える「DESC(デスク)法」

相手に言いづらいことやお願いしたいことを伝える時には、相手に言葉を受け入れてもらいつつ、わかりやすいように伝えることが大切です。

このとき役立つ方法が「DESC(デスク)法」です。この方法も、業務の改善や問題解決に向けて、相手に行動を促すためのコミュニケーションとなります。

それでは次の表現を「DESC(デスク)法」に置き換えてみましょう。


「いつもミスばっかりで、やる気があるのか! 後輩に示しがつかないぞ。
今度ミスしたら担当はずすぞ!」

D: Describe(描写する・事実を伝える)

現在の状況や相手の行動を客観的に描写する(主観は交えないこと)。

「いつもミスばっかりで」
→ 「これで2回続けての間違いだな

E: Express(自分の意見や気持ちを示す)

描写したことに対して、自分自身の主観的な気持ちを表現。「I(アイ)メッセージ」を使い相手が話を聞いてくれる状態にする。

「本当に(お前は)やる気があるのか!」
→ 「今回こそはと(私は)期待していたのに、残念だ

S: Suggest(提案・お願いをする)

状況を変えるための具体的な解決策・妥協案を提案。「クッション言葉+依頼形(第2回参照)」で丁寧な表現を意識する。

「後輩に示しがつかないぞ。」
→ 「今後迷ったら、聞いてくれないか?

C: Consequence(結果を示唆する)

提案・お願いを受け入れてもらえた場合、受け入れてもらえなかった場合、それぞれに対する自分の行動をあらかじめ考えておき、相手に示唆する。

「今度ミスしたら、担当をはずすぞ!」
→ 「そうしてくれれば、安心して仕事を任せられるのだが

攻撃的な表現(YOUメッセージ)では、部下は侮辱されたように感じ耳をふさいでしまいます。このように「DESC法」を使って表現を変えることで、部下は自分への期待を感じ、行動変革に繋げることができるのです。

未来に向けて思考するクセをつける

アサーティブのスキルを知っていても「失敗をしてはならない」「人に好かれなければならない」「人の期待を裏切ってはならない」など、根拠のない思い込みや非合理的な思い込みがアサーティブになることを邪魔してしまいます。これは「B. 非主張的タイプ」に見受けられる傾向です。

「どうせ~しても」「きっと~に決まっている」と可能性を封じ込める考え方から、「完璧でなくても良い」「もしかしたら~かもしれない」と未来に思考を向けて、ご紹介した「DESC(デスク)法」を使い聞いてもらうためのセリフを作り相手に伝えてみましょう。

「DESC(デスク)法」使用例
D (描写する・事実を伝える) いつもは、なかなか意見が言えませんでした
E (自分の意見や気持ちを示す) 今日の議題では、良いアイデアがあります
S (提案・お願いをする) よろしければ、私の意見を聞いていただけませんか?
C (結果を示唆する) その上でアドバイスをいただければ、私が○○します

いかがでしたか? 最後に、今日から実践できるポイントを下記にまとめてみました。

  • 自分の気持ちを上手く伝えるために「私は(I)~」で始まる言葉で話す
  • 言葉を受け入れてもらい、言いたいことをわかりやすく伝えるDESC(デスク)法を活用する
  • 可能性を封じ込める考え方から、未来に思考を向けて自己表現する

攻撃的に相手を従わせるのでもなく、言葉を飲み込んでしまう非主張的でもなく、素直な自己表現「アサーティブ・コミュニケーション」で自分らしく表現することを、是非今日から実践してみてください。

全4回「ビジネスシーンで好かれる言葉・嫌われる言葉」をテーマに言葉遣いについてお伝えして参りました。正しい言葉遣いは、あなたの品格を表し、安心感、信頼感を与えます。また、コミュニケーションは言葉のキャッチボールです。相手も自分も大切にするために、相手に関心を持ち、相手の言葉に耳を傾け、こちらから相手が受け取りやすいように言葉を選んで伝えていきましょう。

あなたが相手の心に届く言葉遣いを身に付け、益々ご活躍されますことを心よりお祈り申し上げます。

[2009年11月2日 公開]


著者プロフィール

山田 千穂子(やまだ ちほこ)
人財育成コンサルタント、株式会社レインボーコミュニケーション 代表取締役、岡崎女子短期大学 非常勤講師

愛知県瀬戸市出身、南山短期大学人間関係科卒業
安田火災海上保険株式会社(現 損保ジャパン)にて支店長秘書を勤め、2000年より人材派遣会社にて研修講師登録、企業の人財育成とともに数多くの講師育成にも携わる。
2007年3月、株式会社レインボーコミュニケーションを設立、代表取締役就任。
コミュニケーション心理学ともいわれる交流分析やNLP(神経言語プログラミング)など心理学をベースにした豊富な知識で人間力を高める研修を実施。
講師を軸に人財育成コンサルティング、キャリアカウンセラー、催眠療法士としても幅広く活動中。

主な著書:『なんで挨拶しなきゃいけないの? マナーの「ナンデ?」がわかる本』
http://www.rainbow-c.jp


ジャーナル最新のテーマ

今月のテーマ:新世代ERP 迅速な経営判断と戦略展開を支援します 続きを読む


今月のアンケート 第2回集計結果公開中 情報の「見える化」による予測の実現を望む声多数 2009年11月17日集計 気になる結果は?


お客様の声をお聞かせください

富士通ジャーナルに掲載している記事やコンテンツについてのご意見・ご感想を、ぜひお寄せください。

ご意見・ご感想フォーム いただいた、お客様の声


お寄せいただいたご意見・ご感想については、富士通からの回答をお約束するものではありません。ご了承ください。
なお、富士通からのご回答を必要とするお問い合わせについては、
富士通ジャーナルに関するお問い合わせをご利用ください。