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厳冬期を耐えたからこそ、実りを得ることができた
オンリー・ワン商品としての住宅設備・建材向け営業支援システム

写真左から、田中秀樹、吉村隆祐

住宅着工数の減少、少子高齢化、環境問題、顧客ニーズの多様化など住宅産業を取り巻く環境はますます予断を許さない状況にある。住宅産業に今、求められるものは経営の合理化、そして付加価値の高い製品開発やサービスの提供を通じて顧客満足度を高めることだ。
富士通が市場投入した「住設建材カセット」は、住設機器、建材業界を対象とした見積・プレゼン機能を備えた営業支援システムで、営業力の強化、顧客満足度の向上、エンドユーザーのニーズ掘り起しなどに威力を発揮する。
産業流通ソリューションビジネスグループPLM事業部のエンジニアリングソリューション部に所属する吉村隆祐と田中秀樹が「住設建材カセット」の開発経緯について語った。


ITバブル崩壊の次は建設バブルの崩壊だった

吉村隆祐

「バブル崩壊の煽りを受けてゼネコン向けのビジネスが不振となりました。事業の方向を転換する必要性があると社内で話し合い、住宅系、住設系、建材系のお客様を対象として営業部門の販売力向上をうたったソリューションビジネスへと方向転換を図りました。」と吉村は語る。

まず、チームが手がけたのは「住設建材カセット」の前身となる「営業設計ソリューション」だった。これは、パッケージビジネスを中心に以前より展開していた当社の2次元建築CAD「PersonalBLD」(パーソナルビルド)をベースとして、積算や提案書作成などの機能を付加したソリューションである。ビジネスの規模でいうと500万から4,000万円のレンジを狙ったものだ。

このソリューションの実績が増え、ノウハウが蓄積した頃に、某内装材メーカー様より大規模システム構築業務を請け負うことになる。パッケージビジネスから脱皮し、ソリューションビジネスへ移行しようという吉村たちの目標に合致したプロジェクトだ。

「従来の営業設計ソリューションは、業務のある一分野に特化してソリューションを提供するものでしたが、これを内装材メーカー様用に幅広く対応できるかたちに改修するプロジェクトでした。作っては見直し、作っては見直し、の連続で、カットオーバーまでに2年強を要しました。」と吉村は語る。

コンセプトは、現場にあった。
そのキーテーマは、工務店を囲い込むこと、そして施主との距離を近づけること。

田中秀樹

「住建業界はハウスメーカーの立場が強く、その下に工務店がいる構造だったのですが、この相関図が最近では工務店、販売代理店、建材卸、あるいは施主様が強くなってきています。これに合わせて工務店向けの見積書やパース作成にもスピードが求められています。」と田中は言う。
「従来も工務店から注文を受けて3日以内に見積書を返したり、絵や写真をつけて返すなどしていたのですが、その程度のスピードでは他の建材メーカーに勝つことはできません。」

また、商流に販売店代理店・建材卸を挟む構造のため、建材メーカーと施主の距離は遠く、顧客が何を求めているかが見えないというジレンマが存在していた。
「建材メーカーにとっても顧客の趣向をどう掴んでいくか、魅力ある提案をどうしていくかが課題となっていました。インターネットも普及しているし、もっとリアルタイムにサービスができないのかという相談をいただきました。」

さらには、メーカーの営業負担を極力抑え、自社に代わって工務店が直接操作できるシステムが欲しいという要件もクリアする必要があった。
これら課題を解決し、施主様への積極的な働きかけができるという視点から、田中は、オープンでWebベースのシステムを提案することにした。

「大きなコンセプトは、工務店を囲い込むこと、施主との距離を近づけることでした。これまで3日かかっていた見積書やプレゼンボードを即日仕上げることが可能となり、さらに家のシミュレーションをサービスとして提供、お客様に喜んでいただくことを提案しました。すぐに売上につながる訳ではありませんが、この点が内装材メーカー様に認められたポイントでした。」と田中は語る。


ビジネスモデルの変遷

柔軟で自由度の高い「住設建材カセット」
お施主様の顔が見える、声が聞こえる

前述のプロジェクトノウハウを外装分野に適用したシステムがニチハ株式会社様に納入した『VIEWSYSTEM』(ビューシステム)である。本システムは、インターネットを経由してメーカー、建材卸、販売店代理店、工務店、設計事務所、そしてお施主様を結ぶ戦略的なシステムである。商品情報の管理、見積書作成、プレゼンボード生成などの営業業務支援機能に加え、住宅外観シミュレーションシステムを備えている。

「ニチハ様が『VIEWSYSTEM』導入前に、利用していた営業支援ツールはライセンスベースのスタンドアロンCGパッケージでした。当社の『住設建材カセット』ならアップグレードやサポートに伴うライセンス料の負担が軽減されます。またWebベースのシステムですから、いつでも、どこからでもご利用いただけ、柔軟で幅広い営業展開が可能になります。」と吉村は言う。

ニチハ様では本システムを利用して、月あたり4,000棟の案件に対し10,000プレゼンボードを処理している。また、ひとつのお施主様に対して、外壁の貼り方ひとつ取っても複数パターンの提案が必要になるという。
「このような膨大なオーダーを『VIEWSYSTEM』を使えばエレメントデータ(間取図・仕様)の入力に30分~1時間前後、自動生成(立体化・CG作成・プレゼンボード作成)を10分前後で実現し、高品質な成果物をスピーディーに提供することが可能になりました。」


住宅外観シミュレーションCGシステム

内装材・外装材メーカー様でのシステム構築により溜まったノウハウをさらに広範な業種に適用すべく、住設機器、内装材、外装材、エクステリアなど商品の種別・業務に従い柔軟に、いわゆる実証済みの「カセット」を組み合わせた「住設建材カセット」の構想はこの頃から始まる。

「住設建材カセットの特徴として、FIT&GAPが可能であり、短期間・低価格・安定稼動が上げられますが、副次的な効果として積算の分野では、これまでは『ドアと床だけで見積もってください』というようなケースですと、手間を考えて要望された商材のみの見積を返していました。本システムの採用により営業の作業負荷が低減されたため、今では積極的に自社商材すべての見積と提案書を回答しようという風土が生まれ、顧客内シェア拡大に結びついているようです。」と吉村は言う。

IE(インターネット・エクスプローラ)で動く2D建築CADは富士通だけ

IEプラグインで動く2D建築CADは他社に例がないという。バージョンアップの多いブラウザ向けの開発は課題が多く、他社が手を出したがらない領域だからだ。
競合他社の多くが建築CADから撤退している中、バブル崩壊後の厳冬期を乗り越えて開発し続けた成果が実った。『住設建材カセット』は市場におけるオンリー・ワン商品であり類似品は見当たらない。

「今後もさらに洗練させていきます。高品質なCG画像を生成するパストレーシング・ラジオシティ技術の実装やPowersketch(注2)との連携による更なるパッケージ強化を図って行きたい。」吉村は確かな手ごたえを言葉にした。

今後はこの『住設建材カセット』を住宅産業に広く普及すべく、システムの核に更なる変更を加え、バリエーションある形でこれを提供していく予定である。現状では、水回りと言われるキッチンや洗面化粧台への展開が始まっている。


(注1)ArchiTREND21は福井コンピュータ株式会社の商標です。

(注2)Powersketchは株式会社マジックアワーの商標です。

2007年7月30日 公開


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