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フィールド・イノベーション(3)
TPSをベースとした
携帯電話の開発革新 2
見えない電磁波の見える化・・・電気系シミュレーション
高感度な無線ブロックを持つ携帯電話では、図7に示すような装置内部で発生するEMI(電磁妨害)による影響を受けやすく、シールドやパスコンと呼ばれる部品によって、その対策が講じられてきました。また、冬場の静電気等によって、精密な電子部品が誤動作する現象を防止するため、静電気がケースのスキマから内部に入り込まないように、スキマテープのような様々な貼物を追加して対策していました。
[図7]装置内で発生するEMI影響

このように、目に見えないEMI対策は、実機を用いたカット&トライ開発の代表的な事例でした。これに対し、シミュレーションで事象を可視化し、回路設計を最適化することによって、設計工数と部品点数を削減して、トラブルの未然防止と対策工数の削減を図りました。
(1)シールド効果を高めて部品を削減する検証
図8は、プリント基板に実装されたロジック回路からのEMI影響を軽減するために実装するシールド板金の効果を解析したものです。板金形状や基板との接触方法を短時間で最適化できるようになりました。
[図8]シールド効果検証

(2)静電気影響の解析
折りたたんだ携帯電話の可動部先端に静電気が印加された場合に、装置内のどこにどれだけの電荷が溜まるのかをシミュレーションで可視化したものを図9に示します。この事例では、ヒンジ近傍に強い電荷が溜まりやすいことがわかり、プリント基板設計や部品レイアウトを見直して対策しています。
[図9]静電気影響解析

(3)アンテナ性能改善
図10は、内蔵アンテナの性能を試作前に確認するために実施したシミュレーション例です。アンテナの先端部分に電界が集中し、良い特性が期待できる結果が見えています。
[図10]アンテナ性能の解析

(4)伝送路波形の解析
プリント基板上の各種伝送路波形が歪んだり、雑音が乗ったりしないかを検証した例を図11に示します。
プリント基板上の部品と、部品間の配線を指定するだけで、指定した伝送路を通る信号波形が画面上に表示され、問題があれば配線の長さや部品を替えることで信号波形の整形を行います。このように、実装設計段階から問題箇所の対策が行え、試作での評価工数を格段に削減できるようになりました。
[図11]伝送路波形解析

IT活用のポイント
ご紹介したような科学的検証手法が実用化され活用されだしたのは、実はごく最近のことです。図12を見ると、どのカテゴリーのシミュレーションも1年~1年半の試行錯誤を経て実用化に至ったことがわかります。導入した当初は、シミュレーション結果と実機検証結果があわなかったり、モデルの作り込みに膨大な時間を要してしまい試作した方が早いという状況が続き、設計担当からは採用を敬遠されていたのです。
しかし、IT活用は絶対に必要との強い意志で、試行期間から粘り強くパラメータの合わせ込みや機能のチューニングを繰り返すうちに、実機との整合が取れ、一度モデルを作ってしまえば他機種への展開も容易にできることもわかり、IT化は一気に進みました。
[図12]科学的検証手法確立までの歩み

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