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フィールド・イノベーション(2)
TPSをベースとした
携帯電話の開発革新

人とプロセスの改善 ・・・ 大部屋開発手法の導入

「人とプロセスの改善」活動の一例として、06年から採用した「大部屋開発手法」についてご紹介します。
当時開発中の装置では、前機種比約20%の薄型化に取り組んでいましたが、4ヵ月かけてもまったく目処が立たずに開発現場には閉塞感が漂っていました。そこで、担当のプロジェクトマネージャー(プロマネ)が、毎月定例で開催していたTPS幹部会(注2)にこの悩みを持ち込みました。

注2)本部内各統括部門代表幹部で部門横断の開発革新課題を討議する会議体(毎月定例開催)

[図3]TPS幹部会での分析結果

TPS幹部会では、なぜ革新的なアイデアがでないのか、どこに本質的な問題が潜んでいるのか、を“見える化”するため、業務フローをホワイトボード上に書き出し、プロマネが抱える悩みを付箋紙に書いてホワイトボードに貼り付けながら整理していきました。
その結果、「課題の持ち帰り方式が全ての元凶である」という仮説にたどり着きました。そこで、課題が解決するまで関係者全員が合宿形式で討議する集中討議方式(大部屋開発)を提案し、翌日からさっそく実行に移しました。

[図4]仮説から導き出した答え

その効果は明白でした。情報を共有することで参加者全員の意識が一つにまとまり、課題解決に向けた闘志が湧き上がって、チャレンジングなアイデアが次々に提示されたのです。また、集中検討方式によって持ち帰りのムダもなくなり、2週間後には一挙に20%の薄型化が実現しました。
以降、「大部屋開発」手法を課題解決のための標準プロセスとして開発プロセスに組み込み、開発現場のムリ・ムダ・ムラの削減に効果を上げています。

人とプロセスの改善 ・・・ 規格・検証項目の削減

規格や検証項目は多ければ多いほど品質が良くなるとの先入観がありますが、開発現場の設計者にとっては過剰な規格や検証項目は開発効率化の大きな妨げとなり、逆に品質悪化の一因となっていました。そもそも、A4箱ファイルで5~6冊にも及ぶ全ての規格に目を通し理解することは事実上不可能でした。
そこで、規格の全面改訂を実施し、お客様の品質を妨げない必要最低限の規格に絞ることで、規格数を8割削減しました。同時に、1規格あたりの記載ページ数も品質マニュアル等の基本規格を除いて最大3ページまでとしました。これにより、全規格をあわせても100ページ程度となり、手軽に活用でき、かつ過剰な品質を要求しない実用的な規格となりました。
同様に、形骸化した会議体や報告資料、重複する検証項目等を全て見直し、開発者が開発に専念できる環境づくりを進めてきました。現場を知り、人の先入観や慣習を思い切って取り除くことができるかどうかが、こうした活動の成否を左右します。

開発革新のまとめ

「人とプロセスの改善」と平行して、構造や回路シミュレーションに代表される「IT活用」も同時に進めてきた結果、開発リードタイムを年間で約20%短縮することができました。

[図5]開発革新の施策と効果

これまでの活動を振り返ってみると、事実を可視化して“人の意識を変える”こと、が開発革新のポイントであり、以下の4点を着実に実行したことが成果につながったものと考えます。

  1. 課題を見極め、
  2. 事実に基づく仮説を立て、
  3. できることからすぐに着手し、
  4. ダメなところがあれば見直して粘り強く継続する。

次回は、開発革新のもう一つの柱である「IT活用による開発効率化」の取り組みと、「開発革新の今後の展開」についてご紹介いたします。

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