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ブロードバンド映像サービスを支える
富士通のH.264映像圧縮技術
IPをベースとした新しい通信インフラである「NGN」(次世代ネットワーク)の商用化が目前にせまり、高品質な映像を様々な形でやりとりするサービスのニーズは今後一層増えると予想されています。富士通では、30年にわたる映像技術をベースとし、最新の映像圧縮技術H.264の標準化活動への貢献や実用化への技術開発を行ってまいりました。そしてこの成果を、富士通のブロードバンド映像ソリューション「Broadsight(ブロードサイト)」へ適用し、豊かな映像サービスの実現に取り組んでいます。
動画データの保存や送信に使用される圧縮・伸張技術としてはMPEG-2が現在普及し、DVDやBS/地上デジタル放送においても採用されていますが、そのMPEG-2の次に来る技術として注目されているのが、MPEG-2の2倍以上の圧縮効率をもつ「H.264」です。
H.264の特徴
H.264は、ITU-T(注1)とISO/IEC(注2)が共同で策定した最新の映像圧縮の国際標準規格で、携帯電話用途等の低ビットレートから、ハイビジョンクラスの高ビットレートに至るまで、幅広く利用されることを想定した映像圧縮方式です。2006年春からサービスインした「ワンセグ」や、次世代DVDである「ブルーレイ(Blu-ray Disc)」、「HD-DVD」や、インターネットを利用した映像配信等で利用がすでに始まっています。
高い圧縮効率と広い適用範囲を実現するために、H.264では様々な技術が採用されています。例えばそれは、入力映像の中で、時間の流れで類似した部分を徹底的に再利用する、すなわち効率的な動き予測を行うことで伝送すべき信号を徹底的に少なくしたり、情報をデジタル変換(符号化)する方式を、効率の異なる2種類用意して選択できるようにしたり、主観画質を向上するためにMPEG-2等でよく見られるブロック形状のノイズを低減したりといったものです。また、多種多様な技術を組み合わせたプロファイルを複数規定し、用途に応じて最適な処理を選択できるような拡張性も備えています。
H.264の実用化課題
H.264は高い圧縮効率と幅広い適用範囲を持ちますが、その実用化においてはいくつかの大きな課題がありました。
まず一つが演算処理量です。用途に応じた圧縮効率が選択できるよう、MPEG-2と比べて1万倍以上の符号化モードを用意しているために、映像の圧縮処理に必要な演算量がMPEG-2の10倍以上も必要になります(H.264標準化団体が提供しているソフトウェアを用いた場合)。これに比例して、処理に必要なメモリへの要求性能(バンド幅等)も増大することになり、価格や電力面の課題につながります。
もう一つの大きな課題は主観画質です。MPEG-2の2倍以上の圧縮率によって情報量が1/2になるため、MPEG-2と同等の符号化制御では、映像によっては人間の目からは画質が著しく劣化していたり、不自然な映像に映ってしまいます。
富士通のH.264解決技術
H.264が抱える課題に対して、業界各社が独自の映像処理技術に取り組む中、富士通ではこれまで蓄積したノウハウや評価技術に基づき、次のような解決技術の開発に成功しました(図1)。
[図1]富士通独自の高画質/低演算量アルゴリズムによりH.264映像の劣化を大幅に改善

演算処理量の課題に対しては、映像の圧縮処理で時間の流れで最も負荷が類似した箇所を再利用する動き探索において、直前の画像の広い範囲をくまなく検索する方式とは異なり、H.264に最も適切な方法で縮小画像による段階的な探索と絞り込みの方式を考案しました。これにより、参照ソフトウェアと比べて、動き検索等の判定処理の負荷を約1/5に低減しました。
また主観画質に関しては、顔やゆっくり動く物体等、人間の視覚では劣化が目立つ絵柄を独自に抽出し、常時追跡する機能を低演算で実現するとともに、該当部分の圧縮率を一定かつ高画質に制御(メリハリ画質制御)するアルゴリズムを開発、映像のあらゆるシーンで安定した画質を実現しました。
このような開発にあたっては、膨大な数のシミュレーションを行う必要がありました。富士通では数百台規模のPCで並列処理を実現するグリッドコンピューティング環境「CyberGRIP」を活用し、開発期間の大幅な短縮に成功、高画質かつ低演算量のアルゴリズムを早期に開発できた背景には、このような富士通独自の環境が活躍しました。
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