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フィールド・イノベーション(2)
先進ユーザー事例【人とプロセスとITを一体化して革新体質をつくる】
株式会社ジェイアール東海髙島屋様
お客様満足度No.1の品揃えで
お客様をお迎えする百貨店づくりに向けた
フィールド・イノベーションの取り組み
自らの意思に基づいた品揃えができているか?
小売の原点に立ち返る

JR名古屋駅直上にそびえるJRセントラルタワーズの中核施設
「ジェイアール名古屋タカシマヤ」を運営
百貨店の取引形態は大きく「買取取引」と「消化取引」に分かれます。商品を仕入れる際に商品を買い取るのが買取取引です。一方、百貨店の仕入れの特徴は「消化取引」にあります。消化取引というのは、販売された時点で仕入れを起こす仕入形態です。現在の百貨店では過半が消化取引による仕入れであり、特に収益の中心であるファッション商品では多くが消化取引といっても過言ではありません。
消化取引による商品のマネジメントは、販売時点まではお取引先の在庫であるため、売れ残りによる在庫リスクはないものの、百貨店サイドでは、何がどれだけ在庫があるのかは把握できません。
そのため、マーチャンダイジング(商品の品揃え)自体をお取引先にお任せするスタイルになりがちです。近年では「カセット納品」といって、アパレル会社側で商品をパッケージ化し、店舗の売上規模により商品の量と組み合わせを変えてカセットとして配分するスタイルが定着化してきています。つまり、ブランドショップの品揃えはアパレル会社が組み立てるため、百貨店は品揃えの中身が分かりにくくなってきています。その結果、お客様のニーズを捉え、仕入発注業務を自らの意思で行う小売の原点が疎かになり、小売業としての強みが発揮できにくくなってきています。
株式会社ジェイアール東海髙島屋様も例外ではありませんでした。「カセット納品により、百貨店としての品揃えの意思や売れ筋把握のための業務プロセス、日常業務が後回しになり、結果としてお客様の満足のいく品揃えに支障をきたしているのではないか、という漠然とした問題認識が社内にはありました」と、花田氏は語られます。
そこで、現場の実態を正確に把握するために、売場マネジメントを取り仕切る、売場マネージャーの業務実態調査からスタートすることにしました。
RFIDタグによりワークスタイルを可視化
事実起点でトップと現場が課題を共有
「売場のマネージャーは売場の経営者であり、売場のマネジメントを任される重要な役割を担っています。彼らは、お客様に接したり販売員とビジネストークをする中でお客様ニーズを把握した上で、お取引先であるメーカーと交渉を行い、売れ筋商品を確保し、販売員を育成して販売力を高めていくことが期待されています」(花田氏)。
そこで調査は「マネージャーがどれだけの時間をどこで業務を行っていたかを定量的に把握することで、売上数字の整理や報告書を中心とした作業が多いのではないか、という仮説を検証することにしました。実施にあたっては、スピードと正確性を重視しました」(大橋氏)。具体的には、マネージャーがRFIDタグを所持し、受信機を売場の事務所や会議室に設置しました。これにより、正確かつ短時間でマネージャーの時間の使い方が定量的に把握できるようにしました。その後、マネージャーにインタビューを行い、現状の業務フローを明らかにしました。インタビューだけだと人の置かれた立場や雰囲気で結果が異なってきます。事実をもとにすることで、社内の課題認識が統一化され、改革の方向性が経営層も現場も同じ意識で取り組んでいけます。
さて、調査の結果ですが「マネージャーが売場にいる時間は予想以上に短いことが分りました。本来であれば売場でお客様と接し販売員との会話を通じて、ニーズを捉え仕入れに活かしていく必要がありますが、こういった時間が取れていないことが事実として明らかになりました。結果として、売れ筋商品を確保する業務を実践するための時間の確保と、仕入発注業務の業務フローを標準化していくとの方向性が全社で共有化されました」と、大橋氏は語られます。
月曜朝一番、マネージャーの一本の電話が
お取引先の意識も変える
花田氏は改革の意図を次のように語られます。「改革はお任せ型の商品マネジメントから自分たちの意思ある発注を行っていくことにあります。自信を持ってお勧めできる商品を、売場の意思により取り揃えた上で、お客様をお迎えし、おもてなしをしていくことが重要だからです。そのため、カセット納品に慣れたマネージャーの意識を改革していくことに重点をおきました。具体的には、売って行きたい商品を売場のメンバーとコミュニケーションを取りながら選定し、マネージャーが主体となって、商品の積み増しをお取引先と交渉していく業務プロセスを標準化していきました」。
こういった経験により意識と業務プロセスを変えることでフィールド(課題領域)も進化をすることも分かってきました。「当初は、売れ筋商品の積み増し交渉に注力していたマネージャーも、自分達が自信を持って売っていきたい商品を自らの目で選び、売れ筋商品へと育成できるようになってきました。つまり、目利きができるようになってきたということです」と、大橋氏は語られます。目利きができるようになるにしたがい、手作業では商品動向把握に時間がかかるため、ITの導入を決定されました。「百貨店は土日が売上の山場となるため、当初計画したよりも売上が好調な場合に月曜の朝一番でお取引先に商品を指定した積み増し依頼ができるようにすることが重要です」と、大橋氏は語られます。
そのため、お取引先と交渉して確保した商品の売上推移が一目で分かり、月曜朝一番にアクションを起こせるよう、新たな仕組みを導入されました。
月曜朝一番のお取引先への商品積み増し依頼は、お取引先にとっても、彼らは本気なんだと思わせることとなり、お取引先営業担当者の意識も変えていきました。また、現場第一線の販売員も、売っていくべき商品が明確になることで意識が変化しています。
企業の業務力は、正しい業務プロセスと業務を支えるITにより左右されますが、土台になるのは、やはり人の意識です。株式会社ジェイアール東海髙島屋様では、マネージャーの意識改革がお取引先や販売員の意識をも変えています。
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