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リアルタイムシミュレーションで“ものづくり”を効率化
仮想試作システム「VPS」
今日の製造業は、製品化プロセス全体の最適化が求められています。設計・製造・開発のフェーズは全コストの6~7割を占めるといわれており、大手メーカーではすでに、ものづくりにおける徹底的な情報技術の活用を始めています。富士通研究所では、長年研究してきたシミュレーション技術をベースとした仮想試作システム「VPS」の開発を行っており、現在、様々なものづくりの現場でその先進性を発揮しています。
「VPS(Virtual Product Simulator)」とは、実際のメカを試作せず、計算機上の仮想試作でメカ、エレキ、組み込みソフトの様々な事前検証を行って設計品質を上げ、開発をスピードアップする、ものづくり効率化システムです。「VPS」により7割以上の設計不具合を事前検証でき、開発期間は2割以上の短縮が可能です。「VPS」は、1990年代の宇宙ロボットシミュレーターで培った技術をもとに民生機器設計開発用システムとして94年から開発に着手しました。
99年に製品出荷を開始して以来、「VPS」は、医療機器、半導体装置、自販機、情報家電等、大手製造業を中心に200社以上の設計開発現場に浸透し、ものづくりの基本システムとして稼働しています。
「VPS」は、各部品単体の形状設計・性能評価を行うためのCAD/CAE(Computer-Aided Engineering)と、ものづくりのデータ管理を行うPDM(Product Data Management)をつなぎ、各部品を仮想的に組み立て、実際の製品としての様々な動作検証を行う階層に位置します(図1)。主要な市販3次元CADとのインターフェースを用意しており、異なったCADで設計した大規模製品の部品群も「VPS」上で容易にアセンブリすることが可能です。
開発段階で表出する問題の7割を
リアルタイムシミュレーションで事前検証
「VPS」の最大の特長は、部品同士の干渉チェックやケーブル等の柔軟物をリアルタイムでシミュレーションでき、さらにそれをベースにメカ/エレキ/組み込みソフトの統合検証を効率よく行うことができることです。例えば、保守作業の際に他の部品にぶつからないでドライバーを操作できるか、ワイヤーケーブルの余長をどのくらいにすればハードディスクを取り出せるか、あるいは制御ソフトの動作に異常はないか、といった検証を実際の試作機と同じ感覚で行うことができます。加えて、通常の試作機では再現しにくいような異常状態を人工的に作り出すこともできるため、耐障害性の高いシステムの構築も可能となります。あるメーカーで事務機器の設計開発に「VPS」を適用したところ、以前は実機で検証していた不具合の7割以上を「VPS」による事前検証によって発見することができました(図2)。
[図2]「VPS」による改善指摘件数の分析と検証結果例(あるメーカーの事務機器の場合)

このような検証を容易にしたのは、富士通研究所独自の機構表現技術です。3次元CADの計算に比べ100倍以上も高速な干渉チェックアルゴリズムやケーブル等のリアルタイム柔軟物モデリング技術により様々な動作検証を瞬時に行うことが可能になりました。
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