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可視化技術(2)
フィールド・イノベーションを実現する
業務とシステムの可視化技術

業務プロセス可視化技術「BPM-E」

いまや業務遂行にITシステムは必要不可欠になっています。その一方でITシステムはどんどん巨大化・複雑化し、その中で業務が正しく効率的に行われていることを確認することは難しくなってきます。ITシステムが最初に設計した手順に基づいて使われていることは稀で、実際には設計者が当初思いもしなかった使われ方をしていて、それが業務上の課題になっていることが多いのです。
ITシステムを利用して行われている業務については、データベースやそのログに何らかの情報が記録されているはずです。したがってそれらの情報をうまく取り出して再構成することができれば、実際に起きている業務プロセスの実態を可視化することができるはずです。富士通研究所では、この可視化を実現する技術「BPM-E(Business Process Management by Evidence)」を開発しました。「BPM-E」は、データベース情報や更新ログから「いつ、何が処理されたか」というイベント情報を抽出してそれらをつなぎあわせることにより、IT化された全ての処理フローを生成します。さらにそれらを分析することにより、典型フローや例外的なフローの実態を可視化します。
実際のデータベースの設計や情報の格納形式等は様々なものがあり、データの量も膨大です。また多くの場合、業務全体は複数のシステムやデータベースにまたがって管理されています。このためイベント情報を抽出し、再構成することは簡単ではありません。「BPM-E」ではデータベースの設計パターンの分析を行い、それに基づいてイベントの格納形式を統計的に推定します。この技術により、詳細な業務知識や膨大なヒアリング等を必要とせず、システムに手を入れることなくデータベースの情報からイベントを抽出し、業務プロセスを可視化することに成功しました。

[図3]業務プロセス可視化技術「BPM-E」の全体像

業務プロセス分析ツール

またフローを生成するだけでは、その業務の特徴や課題等を発見することはできません。「BPM-E」は生成されたフローを様々な角度で分析するツールももっています。このツールを使うことにより、従来は困難だった複雑な業務プロセスの実態を把握することができるようになります。さらに典型フローや例外フロー、繰り返しや手戻り等といった課題の可能性のあるフロー等を発見し、業務改善につなげていくことも可能です。富士通研究所では、イベント抽出やプロセス分析の技術に関して7件の特許を出願しています。

[図4]業務プロセス分析ツール

業務プロセス可視化技術の適用状況と効果

「BPM-E」はすでに、受発注システム、購買システム、稟議システム、生産管理システム等幅広い領域の社内外のシステムに適用されており、例えば次のような気づきが得られています。

  1. 繰り返し等業務の非効率部分や改善の可能性の高い部分の発見
  2. 生産ラインにおける例外ルートや滞留箇所の発見とその削減によるリードタイム短縮
  3. 成績の異なる部署間の業務の進め方の違いの発見
  4. 承認のスキップ等コンプライアンス上問題のある可能性のある流れの発見

このように「BPM-E」は、複雑な業務プロセスの実態を可視化し、想定外の業務フローや業務の非効率部分の検出や改善に貢献します。

システム可視化技術

巨大化、複雑化、ブラックボックス化が進むITシステムの健康管理のための技術として「システム可視化技術」の開発、商品化も進んでいます。
この技術は、データベースに限らず、広くITシステムの動作を監視し、問題点を「昨日までの動作とはここがズレているから気を付けて!」という形で示してくれるものです。実際の運用中に処理される業務トランザクション1件1件のレスポンス値をリアルタイムで把握し、それに基づくリアルタイム可視化を行うという他にない特長を備えています。
この機能を実現するために、システム可視化技術では幾つかの工夫をしています。まず、対象システムの動作を把握するためにシステムのネットワークを流れるメッセージを直接観測しています。この方式により、サーバに監視用のプログラムを仕込んだりする必要がなく、他社のサーバやミドルウェアが含まれるシステムにも適用が可能となります。
また、ズレの発生を知らせるためには対象システムの「本来の挙動」を知らねばなりませんが、この「本来の挙動」を正常運用時の動作から自動的に認識し「挙動モデル」を生成する機能を提供しています。これにより、富士通がSIしたシステムでなく詳細な設計情報が得られない様な場合でも導入が可能です。
さらに、挙動モデルは業務トランザクションがサーバ間で処理される流れを表しますので、挙動モデル自体がお客様にとって情報源となり、「こんなタイミングで動いていたのか。ではここの高速化が必要だな!」というような発見につながることも多いのです。

システム可視化へのお客様の声

本技術は、社内、国内、国外のお客様システムでの試行を積極的に進めています。元々はITシステムの健康管理、安定稼働を目指して開発を進めてきた技術ですが、試行の中で、お客様のニーズは安定稼働だけではなく、他にも「説明責任」や「最適化」があることが分かってきました。
説明責任というのは、ITシステムに不具合や処理遅延等が発生した際の「動かないぞ!」というクレームに対して、「遅延が起きていましたが、現在は元に戻っています」等の回答が素早くできることです。システム可視化技術で常時監視を行うと、どの業務トランザクションにどの程度の遅れが出ているかをダッシュボード上で把握できますので、この目的に最適との声をいただいています。
また、システムを最適化し性能や安定性を上げていくためには、どこに問題があるかを把握し、関係者間で合意することがまず必要です。業務トランザクションの処理タイミングを挙動モデルとして関係者間で共有することで、インフラチームとアプリケーションチームの間の「アプリの問題だ!」「いいや、インフラの問題だ!」といった認識のズレを一掃できますし、また、実際の改修後に、所期の性能向上が得られているかを直ぐにチェックしてPDCAを確実に回していくことができます。

システム可視化技術の今後

システム可視化技術は2007年4月からの正式なサービス提供を予定しています。
ITシステムの複雑化・大規模化の中でシステム統合管理技術は、サーバの生き死に等の構成管理・資産管理に始まり、次にその上で働くソフトウェア群の関連性を管理するADM(Application Discovery and Mapping)と呼ばれる技術へと進化して来ました。現在は、さらにソフトウェア群の動的な挙動を管理するダッシュボードが求められてきています。
システム可視化技術は、次世代のシステム統合管理を支えるダッシュボード機能の基盤技術です。今後も、お客様の声に学びながら育てていきたいと考えています。

[図5]システム可視化技術の全体像
図5を拡大表示

お問い合わせ先

  • 株式会社富士通 生産革新本部 ソーシャルサイエンスセンター(フィールドワーク)
    Tel: 03-3730-3627
  • 株式会社富士通研究所 ITコア研究所(業務プロセス可視化)
    Tel: 044-754-2675
  • 株式会社富士通研究所 BI研究所(システム可視化)
    Tel: 044-754-2630

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