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ヘルプデスクの運用を効率化する分析技術

ヘルプデスク業務の効率化を支援する分析技術

前記の科学的ヘルプデスク運用方法を実現するために開発したのが、「回答知識作成支援技術」と「要員配置支援技術」です。

回答知識作成支援技術

ヘルプデスクで使用する回答知識の大部分は事前準備できるわけではなく、運用中に蓄積される応対記録から、まず候補となる質問事例を選び出し、それに対して回答を記述するというプロセスで作成していく必要があります。しかしながら数十人の小規模なヘルプデスクでも年間のコール数は数万件、数百人の規模であれば年間のコール数は100万件を超えるため、人手により高頻度で出現する事例を網羅的に選び出すのは困難です。「回答知識作成支援技術」は、大量に蓄積された応対記録より自動的に応対内容が類似した文書の固まりを頻度順に回答知識作成者に提示するので、作成者は提示された事例順に回答知識を作成していけばよく、かつ現在応対記録の何%をカバーする回答知識が作成できているかを容易に把握することができます。技術的な特徴は類似した文書を集約するのに適した階層型のクラスタリングを大規模文書集合へ適用可能としたことで、数十万件規模の文書でも現実的な計算機資源で処理が可能となっています。

[図2]回答知識作成支援技術の説明図

要員配置支援技術

コールセンターの要員配置の科学的基盤は、20世紀初期に待ち行列理論の創始者アグナー・アーランがコペンハーゲン電話会社で行った研究に遡ります。そして、現在まで彼が考案した、呼損率(≧放棄呼率)や待ち時間の計算式が広く使用され続けています。しかしながら、アーランの計算式は全てのエージェントは同一の能力で単一のサービスをこなすという最単純にコールセンターをモデル化しているため、現実との齟齬を来たしています。特に、エージェント間の熟練度(能力)の差が大きく、しかも複雑化しながらコスト削減を求められる一方の最近のヘルプデスクでは、アーランの計算式では精度が不十分となっています。そのため、現実に近い複雑なエージェントのモデル(エージェント間の能力差、ライン間エスカレーション、複数サービス(マルチスキル)担当等)を組み込んだ、シミュレーション方式による精密な「要員配置支援技術」を開発しました。当技術の特徴は、コールセンターの現実に忠実なエージェントのシミュレーションと高速性で、1,000人規模のコールセンターの1日のシミュレーションが通常のノートPC上10分程度で可能となっています。

[図3]要員配置支援ツールの説明図
図3を拡大表示

今後の展開

「回答知識作成支援技術」は、すでに富士通のヘルプデスクには導入されており、ソフトウェアやハードウェア障害の回答知識の作成や顧客からの質問傾向の分析に用いられています。また「要員配置支援技術」は、従来ヘルプデスク導入時のコストと生産性の見積もり作業への導入に加え、大規模ヘルプデスク業務を対象とした要員配置支援への検討が始まっています。
これらの分析技術が分析対象としている応対記録は、質問内容や電話交換機のログといった電子化データです。しかし、ヘルプデスクのアウトソースを始める段階では全てのコールセンターでこのようなデータが存在するわけではありません。そのような電子化データが不在の場合、比較的容易に入手可能なのがエージェントと顧客の対話録音データ等です。アウトソース適用支援等を視野に入れながら、今後はこのようなデータも分析可能とするように技術の拡張を進めていきます。

お問い合わせ先

  • 株式会社富士通研究所 ITコア研究所
    ソリューションテクノロジ研究部
    Tel: 044-754-2674

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