先進ユーザー事例 【科学技術計算システム】
自然科学研究機構 分子科学研究所様
従来の16倍もの大幅な性能向上を実現
性能とコストのバランスも追求
分子科学研究所様の「計算科学研究センター」は、大学等では処理が困難な大規模かつ超高速の演算処理機能等を国内外の研究者に提供しています。このほど稼働させた「超高速分子シミュレータ」は、「密結合演算サーバサブシステム」と「高速I/O演算サーバサブシステム」から構成されています。このうち「密結合演算サーバサブシステム」を支えるのが、富士通の基幹IAサーバ「PRIMEQUEST」です。
[図1] 自然科学研究機構 分子科学研究所
岡崎共通研究施設 計算科学研究センター
分子科学研究所様は、大学共同利用機関として設立され、分子に関する基礎研究を行っています。同研究所が運営する共通研究施設「計算科学研究センター」(図1)は、大学等の計算機環境では処理が困難な、大規模かつ超高速の演算やライブラリ等を全国の研究者に提供しています。利用者は公募で選ばれ、分子科学だけではなくバイオサイエンスの研究者も利用しています。
国家プロジェクトの一翼を担う

分子科学研究所 計算科学研究センター
センター長
教授 工学博士
岡崎 進氏

分子科学研究所 計算科学研究センター
助教授 博士(理学)
森田 明弘氏
計算科学研究センター長である岡崎教授は「単に計算機環境の提供にとどまらず、物質に関わる計算科学分野における学術的発展そのものに中心的な役割を果たすことが、もう一つの大きな使命」と、話されます。2003年度に発足した国家プロジェクトである文部科学省の「超高速コンピュータ網形成プロジェクト」では、理論分子科学研究系、計算分子科学研究系とともに、グリッド・コンピューティングに基づいた「ナノサイエンス実証研究」を担当しています。さらに06年度からは「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」において、ナノ分野の「グランド・チャレンジ研究」へと展開しています。
「計算科学研究センター」では、基本的に5年のサイクルでコンピュータ・システムをリプレースしており、2000年より稼働を始めた旧システムのリプレースの時期が迫っていました。そこで04年から次期スーパーコンピュータ・システム(超高速分子シミュレータ)について検討を開始し、翌05年にシステムの仕様書を策定、入札を実施しました。そして、富士通が提案するシステムが選定されました。
選定理由について、岡崎教授は「新システムは、はっきり言えば計算性能が高ければ高いほど良いわけです。同時に様々な計算要求に応える高い汎用性も求められます。一方、限られた予算の中でいかに最高性能を実現するかが最重要課題でした。選定は性能、汎用性、信頼性を含めた総合評価の結果ですが、富士通の提案はItanium 2プロセッサを搭載したサーバを採用しており、性能とコストのバランスが良く、採用を決定しました」と、語られます。
従来の16倍、8TFLOPSを達成

分子科学研究所 計算科学研究センター
技術班長
水谷 文保氏
「計算科学研究センター」が導入した超高速分子シミュレータは、「PRIMEQUEST」で構成する密結合演算サーバサブシステム、日本SGIのスーパーコンピュータ「Altix 4700」で構成する高速I/O演算サーバサブシステムからなり、2つのサブシステムを一体として運用しています(図2)。2つのサブシステムはOSにLinuxを採用。理論ピーク性能はそれぞれ4TFLOPSで、あわせて8TFLOPS、メモリ容量は10.5Tバイト、ディスク容量は160Tバイトという大規模なシステムで、06年7月1日より稼働を始めました。
森田助教授は、「旧システムは0.5TFLOPSですから、超高速分子シミュレータは単純に16倍の性能を実現しています。今回の新システム導入で、ベクトル型CPUを搭載したスーパーコンピュータから、スカラー型CPUであるインテルのItanium 2を搭載したIAサーバへの移行があったわけですが、その結果、大幅な性能向上が実現できました。センターのシステムは、日本の分子科学及びバイオサイエンス分野の研究者に広く利用されています。多岐にわたるアプリケーションはスカラー・プロセッサへの移植が進んでおり、また研究室レベルで所有している計算機環境とスケーラビリティが確保される点を評価しています」と、語られます。
水谷氏も「新システム導入を検討する際、デュアルコア版Itanium 2がタイミングよく登場したことは幸運でした。利用者は倍増した性能を特に意識せずに利用できるようになり、CPUの能力アップの恩恵をそのまま享受できるのがスカラー型のSMP(対称型マルチプロセッサ)の大きなメリットですね」と、語られます。
640コアのHPCシステムを構成
2つのサブシステムのうち密結合演算サーバサブシステムは、「PRIMEQUEST」を32CPU/64コアのフル構成で10ノード、合計640コアで構成。「PRIMEQUEST」を使用したHPCシステムとしては最大規模のシステムとなります。システム・ボード間は高速のクロスバーで接続し、高速なSMP並列処理を実現。さらにノード間は毎秒16Gバイトのネットワークで結合し、分散並列とSMP並列をあわせた大規模なハイブリッド高速並列演算が可能です。
水谷氏は「「PRIMEQUEST」を使用する複数プロセスの並列処理等では、パフォーマンスが劣化する要因となるプロセス間の処理を高速クロスバーがうまく解消してくれます。また、「PRIMEQUEST」はInfiniBandの規格をサポートしているため、プロセス間通信もInfiniBandを16本束ねて16Gバイト/秒と非常に広い帯域幅を確保し、高速クロスバーのスループットをうまく活かしていると思います。富士通は以前からInfiniBandを使用したPCクラスタの技術を積み重ねており、その技術とノウハウが「PRIMEQUEST」に反映され、高い性能の実現に貢献していますね」と、説明されます。
日本の分子科学の発展に貢献
06年、「計算科学研究センター」が公募した利用課題の中で、センターの利用が認められた課題は約120。「超高速分子シミュレータによって、より広範かつ高度な課題に対応できるようになったので、分子科学計算の可能性を拡大するとともに、学術的発展にも大きく貢献すると期待しています」と、岡崎教授は語られます。
ユーザープロフィール
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 分子科学研究所
岡崎共通研究施設 計算科学研究センター
設立: 1977年5月
代表: 岡崎 進
従業員数: 12人(2006年11月末現在)
所在地: 愛知県岡崎市明大寺町字西郷中38番地
自然科学研究機構 分子科学研究所 計算科学研究センター ホームページ
製品紹介
先進ユーザー事例や「PRIMEQUEST」の製品情報はこちらへ
ITpro Special「Enterprise Server Journal II」
PRIMEQUEST公式ページ
お問い合わせ先
- 富士通コンタクトライン
Tel: 0120-933-200
電話受付時間 平日9時 ~17時30分(土曜日・日曜日・祝日・年末年始を除く)
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