世界初 識別機能+64k大容量高速読み書きメモリ機能のRFタグ

従来のRFIDタグは、わずかなメモリに識別用ID情報を書き込み、遠隔から電磁波により読み取り可能な、バーコードの次の世代と期待される商品管理識別の基盤技術です。富士通はこのほど、識別機能に加え、大容量メモリを搭載し、高速でデータを読み書きできる新しい「RFタグ(ICタグ)」の製品化に成功しました。
RFタグを必要とするグローバルなサプライチェーンマネジメント
生産性の向上やTCO削減のために、生産拠点や関連部門、パートナー会社を海外に置く企業は少なくありません。そこで課題となるのが、グローバルに点在する部門や拠点における商品の生産・物流、販売情報をどう一元管理するかです。効率的なサプライチェーンマネジメント(SCM)を実現するため、RFIDタグの導入を検討する企業が増えています。
典型的なケースが、世界各都市間で航空機を運航している航空会社の航空機部品の管理です。航空機を構成する部品は一定時間ごとに点検、改修、取り替えなどの管理が必要で、全拠点において確実に、効率的に管理をおこなわなければなりません。
また、部品のなかには航空機会社間において売買されることもあります。このため、国や企業組織を越えて移動する航空機部品を漏れなく把握し、部品1点1点を確実に、かつ低コストで管理する必要があるのです。
現在、多くの航空会社でおこなわれている部品管理は、アルミなどの銘板や紙媒体に管理情報を刻印、または手書きで書き込む方法です。しかしこの方法には、銘板上の情報が物陰にあって読みにくく、障害物を移動させるなどの作業が必要であったり、手書きのために書き間違いや、判読が困難という課題を抱えています。
こうした課題を解決する有効な方法が「RFタグ」なのです。RFシステムのインターフェースはデジタルなので、読み書きのエラーがありません。また「RFタグ」は電波を使って遠隔から非接触で読み書きができるため、障害物を移動させて部品を視認するといった手間も省けるのです。
識別機能+高速大容量書き込みが可能な「ワイヤレスメモリ」
航空業界向けに製品化
富士通では、航空業界におけるこのような課題を解決するため、これまでに蓄積してきたRFIDタグ技術をさらに発展させた、世界初といえる「RFタグ」の製品化に成功しました。
これまでのRFIDタグは、わずか64ビット、96ビットのメモリに識別認証コードを書き込み、電波で読み取るID(識別認証)装置でした。新しく製品化された「RFタグ」と従来型との大きな違いは、高い識別機能を備えた点と、64kバイトという大容量メモリを備えた点です。
この「RFタグ」は、「非接触で読み書きが可能なメモリ+従来のID機能」という新しいコンセプトの「RFタグ」であり、「ワイヤレスメモリ」という呼び名がふさわしい新製品なのです。
大容量メモリを搭載した「RFタグ」を航空機部品に装着することによって得られる主なメリットは、メンテナンスの品質向上です。
従来のRFIDタグの場合、IDデータだけを記憶し、リーダー装置で読み取ったIDによってデータベース内に蓄積されたデータ、たとえば航空機部品であれば製造年月日や整備履歴などを引き出して参照していました。
しかし新たに製品化された「RFタグ」は、読み書き可能な大容量メモリを備えているので、「RFタグ」内に部品の基礎データや整備履歴データなどを記録することが可能です。これにより次のようなメリットが得られます。
- 銘板や紙ラベルで起こり得る、毀損や汚れによる情報読み取り漏れや読み取りミスを防止できる
- データベースへアクセスすることなく、部品の詳細データを読み取ることができるので、整備作業などの正確性、効率が向上する
- データベースへのアクセス機能を備えていない空港でも利用可能
また、民間航空業界全体でRFタグを利用した部品管理方法を標準化しようとの動きもあります。会社ごとに、ばらばらにおこなわれていた部品情報管理をサプライチェーン全体で統合し、それぞれの部品の在庫や状態を見える化し、必要な時に必要なものを必要なだけ確保できる、業界全体のジャストインタイムを実現しようとしています。
大容量メモリ搭載RFタグの主な特長
大容量高速書き込みを非接触で実現
FRAM(注1)技術の採用により、64キロバイトの大容量を高速で書き込み可能です。これまでのEEPROM(注2)技術では、書き込み可能距離が読み取り可能距離より短いという制約がありましたが、FRAMでは同じ通信距離での読み書きが可能となります。

国際標準規格の準拠のみならず、国ごとに異なる認可周波数帯にも対応
品質の要求が厳しい航空機部品に適用されるSAE AS5678(注3)規格に準拠。さらに868~954MHzという広範囲の周波数帯域にも対応。国によって認可周波数が違うため、これまでは特定の地域だけに対応するRFIDタグが作られていましたが、サプライチェーンのグローバル化のニーズから、どの国の認可装置を使用しても送受信距離に大きな開きがないRFタグを開発しました。

耐環境性、金属面対応、難燃性
航空機に装着して運用する機器は、飛行中に壊れたり、他の電子機器に悪影響を与えたりしない仕様が要求されます。新開発のRFタグの性能はFAA(連邦航空局)が定める厳しい「耐空仕様」に準拠しています。
また、UHF帯のRFIDタグは金属面に接すると反応しなくなる特性があり、航空機部品にタグを貼付する場合、この特性が問題になります。しかしRFタグは金属面に貼付しても一定の性能が出るよう開発されています。さらに航空機仕様で要求される難燃性の基準、14CFR, Section25.853(a) AppendixF(注4)にも準拠しています。
産業界のなかでも極めて厳しい機能・性能、信頼性を求められる航空機部品の領域で、識別機能+高速大容量読み書き可能なRFタグの商品化に成功しているのは現在、富士通だけです。今後、ハイエンドユーザーである航空業界が求める品揃えに積極的に応えてまいります。
また、航空業界のビジネスモデルにより培われた技術、ノウハウにより各業界に共通のサプライチェーンへの適用も視野に入れ、開発に力を入れてまいります。
[2008年10月1日 公開]
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