ちょっと気になる「毛髪」の話(1)
私たちの髪の毛は、約10万本。一定のヘアサイクルで発毛と脱毛を繰り返し、全体の量を保っています。若くて健康な人でも毎日50~100本の毛が自然に抜け、全体の量が減ったと感じることはありません。
年をとると誰でも身体の機能が低下し、「毛母細胞」の力も衰えます。ところが、加齢以外の理由でヘアサイクルが乱れ、脱毛がすすんだり薄毛になったりすることがあります。
- 男性型脱毛症
- 円形脱毛症
- 頭皮の病気によるもの(皮膚炎、湿疹、真菌感染など)
- その他の病気や原因によるもの(甲状腺分泌機能障害や膠原病などの全身性の病気、過激なダイエットによる栄養障害、出産後のホルモンバランスによるものなど)
などです。
今回は、ストレスと深い関係があると言われていた「円形脱毛症」について簡単に説明します。
円形脱毛症とは、前触れなく突然円形や卵型に髪がバッサリ抜けてしまう症状で、一箇所でほとんど目立たない程度の大きさのものもあれば、頭全体に広がったり、まつ毛や全身の体毛が抜けてしまうこともあります。そして、性別・年齢関係なく、誰にでも起こりえる「病気」なのです。
よく、ストレスが原因と言われていますが、必ずしもそうとは限りません。
白血球の一種である「リンパ球」の動きに異常が起きたために起こる「自己免疫障害」であり、通常ウイルスや細菌などを異物とみなして攻撃するリンパ球が、何らかの理由で自分の毛根を異物と勘違いして攻撃してしまうのです。
ただし、そのリンパ球に異常が起こるきっかけに、「ストレス」が大いに関係していたという人が多くいます。他には、自立神経失調症やアレルギー疾患、内分泌障害、代謝障害などもきっかけとなります。
また、具体的にどのような仕組みで脱毛症になるか、詳しいことはまだ解明されていません。
円形脱毛症になっても、ヘアサイクルのうちのひとつ、髪の成長が完全に止まる「休止期」(約3~4ヶ月間)を過ぎれば自然に発毛して治ることもあります。
しかし、その後も発毛しなかったり脱毛が増えたりしたときには治療を行います。
薬物療法
軽症の場合は、たいてい外用薬の治療を行います。ステロイド薬、血管拡張薬などで、薬を塗った後にラップなどを頭に巻いて吸収を良くすることもあります。
内服薬の、抗アレルギー薬・血管拡張薬・ステロイド薬を使うこともあります。また、ステロイド薬の局所注射を行うこともあります。
日本では保険の対象外とされていますが、海外ではリンパ球の働きを抑える「免疫抑制薬」を使うこともあるようです。
物理化学療法
薬物療法と併用して、頭皮に刺激を与え、リンパ球の異常な働きを抑えたり、血行を促進して発毛を促す治療法もいくつかあります。
≪PUVA(光化学)療法≫
光に反応する「ソラーレン」を頭皮に塗り、紫外線をあたえて軽い日焼けを起こすことにより、リンパ球の活動を抑えます。
≪液体窒素療法≫
マイナス196.5度の液体窒素で頭皮に軽いやけどを起こさせると、解凍されるときに血行が促進されるのと同時に、やけどを治そうとするサイトカインという物質が頭皮に集まり、炎症を抑えます。
≪局所免疫療法≫
軽いかぶれを起こす物質を頭に塗り、炎症を起こさせ、かぶれを治すためにリンパ球が集まり、毛根に起こった炎症も抑えます。
円形脱毛症は命に関わる病気ではないため軽視されがちですが、本人や家族にとってはとても深刻なものです。
脱毛症について正しく理解し、もしそうなったら早いうちに皮膚科に行って相談し、適切な治療を行いましょう。治療をあせったり、くよくよ悩んだり、神経質になりすぎることも髪によくありません。
経営コンサルタント 島田 圭子
[2005年2月8日 掲載]
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