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第4回 運送業

人事労務コンサルタント/社会保険労務士 金子賢一


全6回シリーズで業種別に労務管理のポイントについて解説いたします。今回は第4回、運送業の労務管理です。
日本経済は安定的に成長していますが、運送業界は、事業者数の増加や燃料価格の高騰に伴うコストの増大などを背景とした厳しい経営環境におかれています。

ここでは運送業の特殊性や今日的テーマを考慮し、労働時間や労働災害対策を中心に重要項目をまとめてみました。


1. 労働時間

貨物自動車運送業事業者については、トラック運転者の労働時間等に関し、労働基準法に定める労働時間等の規定のほか、以下の「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」に定める拘束時間や運転時間の限度についても遵守しなければなりません。

1トラック運転者の長時間労働による過労運転・過重労働は、交通労働災害の原因となるだけに事業者の適切な労働時間管理が不可欠です。

(1)拘束時間・休息期間

始業時間から終業時間までの時間で、労働時間と休憩時間(仮眠時間を含む)の合計時間を「拘束時間」といい、勤務と次の勤務の間で睡眠時間を含む労働者の生活時間として労働者にとって全く自由な時間を「休息期間」といいます。この拘束時間と休息期間について基準が以下のように定められています。

<1> 1カ月の拘束時間

1カ月の拘束時間は原則として293時間以内です。ただし、毎月の拘束時間の限度を定める書面による労使協定を締結した場合には、1年のうち6カ月までは、1年間の拘束時間が3,516時間(293時間×12カ月)を超えない範囲内において、1カ月の拘束時間を320時間まで延長することができます。

<2> 1日の拘束時間と休息期間

1日(始業時間から起算した24時間)の拘束時間は13時間以内を基本とし、これを延長する場合であっても16時間が限度(15時間を超える回数は1週間につき2回が限度)です。1日の休息期間は継続8時間以上とする必要があります。つまり、拘束時間と休息期間は表裏一体のものであり、1日(24時間)=拘束時間(16時間以内)+休息期間(8時間以上)となります。

<3> 休息期間の取扱い

休息期間については、運転者の住所地での休息期間が、それ以外の場所での休息期間より長くなるように努めなければなりません。

<4> 休日の取扱い

休日は休息期間+24時間の連続した時間となります。いかなる場合であっても、30時間を下回ってはいけません。なお、2日続けて休日を与える場合は、2日目は連続24時間以上あれば差し支えありません。

(2)運転時間の限度

<1> 1日の運転時間

1日の運転時間は2日ごとの平均で9時間以内にする必要があります。1日当たりの運転時間の計算に当たっては、特定の日を起算日として2日ごとに区切り、その2日間の平均とすることが望ましいですが、少なくとも3日間のうち1日目と2日目の平均及び2日目と3日目の平均がそれぞれ9時間を超える場合は改善基準に違反することになります。

<2> 1週間の運転時間

1週間の運転時間は2週間ごとの平均で44時間以内にする必要があります。1週当たりの運転時間の計算に当たっては、特定の日を起算日として2週間ごとに区切り、その2週間ごとに平均を算出することになります。

<3> 連続運転時間

運転開始後4時間以内または4時間経過直後に30分以上の休憩等を確保することにより運転を中断しなければなりません。ただし、運転開始後4時間以内に運転を中断する場合の休憩等については、少なくとも1回につき10分以上としたうえで分割することもできます。

(3)時間外労働及び休日労働の限度

<1> 時間外労働の限度

時間外労働及び休日労働は拘束時間の限度の範囲内でしかできません。また、時間外労働及び休日労働を行う場合には、労働基準法第36条に基づく「時間外・休日労働に関する協定届」を事前に労使により締結し、所轄労働基準監督署長に届け出ておかなければなりません。

<2> 休日労働の限度

休日労働は2週間に1回の頻度でしか行えません。

(4)特例

<1> 分割休息期間

業務の必要上、勤務の終了後継続した8時間以上の休息期間を与えることが困難な場合は、当分の間、一定期間(原則として2週間から4週間程度)における全勤務回数の2分の1の回数を限度として、休息期間を拘束時間の途中及び拘束時間の経過直後に分割して与えることができます。この場合、分割された休息期間は、1日において1回当たり継続4時間以上、合計10時間以上でなければなりません。

<2> 2人乗務の特例

運転者が同時に1台の自動車に2人以上乗務する場合(ただし、車内に身体を伸ばして休息することができる設備がある場合に限る)においては、1日の最大拘束時間を20時間まで延長でき、また、休息期間を4時間まで短縮できます。

<3> 隔日勤務の特例

業務の必要上やむを得ない場合には、当分の間、次の条件の下に隔日勤務に就かせることができます。

  • 2暦日における拘束時間は21時間を超えないこと。ただし、事業場内仮眠施設または使用者が確保した同種の施設において、夜間に4時間以上の仮眠時間を与える場合には、2週間について3回を限度に、この2暦日における拘束時間を24時間まで延長することができます。この場合においても、2週間における総拘束時間は126時間を超えることはできません。
  • 勤務時間終了後に継続20時間以上の休息期間を与えること。

<4> フェリーに乗船する場合の特例

運転者が勤務の中途においてフェリーに乗船する場合には、フェリー乗船時間のうち2時間(フェリー乗船時間が2時間未満の場合には、その時間)については拘束時間として取扱い、その他の時間については休息期間として取り扱います。

フェリー乗船時間が2時間を超える場合には、上記により休息期間とされた時間を休息期間8時間(2人乗務の場合4時間、隔日勤務の場合20時間)から減じることができます。
ただし、その場合においても、減算後の休息期間は、2人乗務の場合を除き、フェリー下船時刻から勤務終了時刻までの間の時間の2分の1を下回ってはなりません。

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